2014年11月11日

「ニンフォマニアック」

 まあ新作出たら一応チェックしてる(笑)ラース・フォン・トリアーの新作です。二部構成堂々四時間のエロ映画(苦笑)おかげさまで映画館は満杯。みんなこういうネタ好きやなあ。とはいえ「メランコリア」はメジャーでシネコン公開だったわけだからどちらがいいのか。劇場はガラッガラでしたけどね。あの時は。



 そしていわゆるラースの「鬱三部作の完結編(笑)」エロ映画にして鬱映画て、なんのいやがらせだーと思いつつ、まあ「メランコリア」の「早く病院に行った方がいいよ」感から見たら、回復期なのかなとは感じました。セックス依存症のヒロインが実にだるそうに面倒くさそうにセックスに励む様がなんともコミカルに描かれてしまってたりするのでした。実際、なんかこういう「苦笑」な感じは結構悪くないかも。

 ラースも実際、自分のヤバさを客観視して茶化して見ることができるようになった、ということでしょうしね。「メランコリア」の見ていてイヤーな感じから見れば、そんなに悪くないです。

 ただ、全般にみなさんの意見とも一致するんですが、私も第一部の方が面白かったかな。なんせ幕切れが

「感じないのーっ!!(涙)」→「暗転」

 で「第一部・完」やもんなあ。「ああ、彼女の運命やいかに!」やないがな(^^;

 第二部はちょいまじめになってしまってセックス依存症を克服しようとする闘病映画みたいになってしまった。そして語り終えたヒロインを待っていた運命は…

 ってまさかとは思ったけど、ここまでベタな「誰もがまあそうだろうなと思う」オチをヌケヌケとぶつけてくる図太さには絶句しましたよ。さすがラース。いかにもらしいのだけど、映画としての完成度はちょっと下がってしまった。このあたりはちょい残念。

 これで次回は心置きなく普通のSF映画撮れるよ、ね?(^^;
posted by てんちょ at 02:14| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月29日

「THE NEXT GENERATION -パトレイバー」第5章

 いや、いろいろ文句言いつつもこの映画見続けてるよなあ。そういう点ではこの企画成功なのかもしれん。



 そして今回は、最近では一番出来がよかった気がします。それを押井御大が手掛けていない、というのには少々複雑な気もしますが…

 確かにパトレイバーという作品には明確な「型」があって、それをいかにうまく回していくかが腕の見せ所であるのかもしれない。そういう点では、御大よりは職人的な若手の方が向いているのかも。

 特に「遠距離狙撃2000」は、ハードボイルド感満点でいい感じでした。隊員たちのゴルゴコントは少々寒いものがありましたけど。カーシャと師匠の間に実際に何があったのかはわからないまま終わっているのは結構粋でいい演出と感じました。二人の決着がどういう形でついたのか見せないのもいろいろ「わかってる」と思いましたね。まあ、レイバーぜんぜんでないんだけどね、これ。

 一方「クロコダイル・ダンジョン」は旧シリーズファンへのサービストラックで、アニメ版のいろいろなシーンを思い浮かべながら見るとニヤニヤしてしまう。しかし冷静に考えるとアニメの「地下迷宮物件」と実写のこの作品がごく自然につながって見えるというのはすごいことかもしれない。ことこの作品に限っては「投げっぱなし」もそれはそれでいいかなと思います。
posted by てんちょ at 01:49| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月19日

「テロ・ライブ」

 久々の韓国映画です。韓国語やってる割には、好きな韓国映画というのはあまりたくさんなくて、まあ基本韓流スターとかメロドラマとか勘弁という方なので。でもこれは本当に久々にすごく面白かった。



 最近の韓国映画はかなりえぐい描写に辟易することが増えましたが、テロがテーマであるにもかかわらず、派手なアクションや過激な暴力は最低限まで切り詰められています。落ち目のニュースキャスターが、スタジオにかかってきたテロリストからの電話に「出世のチャンス」と浮かれてテロリストとの駆け引きをテレビ中継させようとする。しかしもちろん展開は彼の思い描いたように進むはずもなく…
 舞台はほぼニューススタジオの中だけで、キャスターとテロリストの知恵比べがキリキリするような緊張感とともに描かれていきます。ここまでストイックな作品は韓国映画としてはちょっと珍しい。

 本当に夢中になって、100分弱、一気に見てしまった。まさしく時計を忘れる緊張感。一見、韓国らしさはすごく少なくて、どの国でもあり得る話に思えますが、ハリウッドリメイクをしたらこういう展開にはなるまい、というのが実に韓国的。そして、実はその隠された韓国的要素が巧妙な伏線になっている、という展開が非常にうまい。

 この手の話では、どのようにして犯人を登場させ、そこに意外性と説得力を同時に感じさせるかが非常に難しい。つまり、作品中で主人公とテロリストをなんらかの形ですれ違わせておく必要があるんだけど、この作品の場合、主人公はニューススタジオに籠りっぱなしなので、非常に難しくなる。もちろんメーンキャラクターでない人間を犯人にする手はあるんだけど、何らかの形で印象に残しておかないと「推理作家ポー 最期の五日間」のように、犯人判明の瞬間に「えーとあなたどなたですか?」ということになってしまう(^^;

推理作家ポー 最期の5日間 ブルーレイ [Blu-ray] -
推理作家ポー 最期の5日間 ブルーレイ [Blu-ray] -

 一方この映画はそのあたりが非常に巧妙で、すごくささいなセリフの端々で巧妙に犯人のヒントを伏線として張っている。結末シーンで「ああ、そういう手もアリか」と驚いてしまいましたよ。普通に考えれば観客が予想し得る犯人は二人しかいなくて、どっちが正解でも大したことはないなあとずっと考えてましたから。もろん、そういう風に思うこと自体が監督の術中にハマってしまってるんですけどね(^^;

 感情的に犯人を挑発する保守派の警察長官のセリフも、テロリストなのに妙に言葉づかいが丁寧な犯人の電話も、実に韓国らしい描写なのですが、これがみな伏線だというのだから恐れ入ります。あ、字幕は普通に荒っぽい言葉になってましたね。日本語では丁寧語にしても違和感になるだけなので。とはいえちょっともったいないところです。

 なんか地味に公開されて地味に終わりそうですが、これぞまさしく掘り出し物。見るチャンスのある人はぜひぜひ。
posted by てんちょ at 02:16| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月07日

The Next Generation パトレイバー#3〜4

 前回の第三話はスケジュールの都合で見られず(やはり二週間限定はしんどい)CSでなんとか補完、こういうときに限って前後編で難儀しましたよ。



 まあ怪獣ネタはそんなことだろうなあとは思ったけど、レイバーまったく活躍せず、肩透かし的オチ。それはまあ押井ブランドらしいので別にかまわないんですが、初めて「ギャグがスベってるんじゃないか」と思ってしまった。まあ30年同じことやってたらさすがに疑問に思うわ。いくら延々ずっと付き合ってきたとはいえ。

 特に芹沢博士が活躍しないというのはいかんでしょ、やっぱりこういう話では。すくなくともオチの場所には居合わせないと。

 少なくとも前後編にダラダラと伸ばすべき話には思えなかった。オタクを風刺するネタとかいらないし。

 そういう意味では、むしろ第四章後半の「タイムドカン」の方がおもしろく見られました。サスペンスあふれる展開の割には、結局発見できた爆弾はあからさまな一個だけというのが笑える。本気で探すよりは焦らせて主導権を奪い返す、というスタンスが興味深いエピソードでした。
 結局犯人がどこの誰だかわからないというのは、いかにも押井的だけどいいのかなあ。個人的には警視庁がいやがらせ的に仕掛けたものの、もともと実在しない人間なので逮捕後に煙のように消えてしまう、というのでもよかった気がする。

 ここに来て後藤田のキャラが立ってきたのが興味深い。あとは制作陣のイチオシとしてはカーシャなのかな。次回も主役を張るようだし。しかし、いまどきこれだけスパスパタバコ吸う映画ってほとんどないですよね(^^;
posted by てんちょ at 00:29| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月11日

「収容病棟」

 中国の驚異的映画監督・王兵の最新作。前後編計4時間。王兵にしては短いね(^^;



 中国の精神病院を描いたドキュメンタリー、というと、ワイズマンの「チチカット・フォーリーズ」のような抑圧的閉鎖病棟を思い浮かべますが、案外解放的。患者は施設の外には出られないけれど、回廊型の同一フロアは自由に行き来することができる。

 忍者さながらに現場に溶け込む能力ではぴか一の王兵だけに、カメラは患者と一緒に院内をうろうろとしながら、この小さな空間に馴染んでいく。

 素っ裸で回廊を全力疾走する兄ちゃんはいますが、その程度では別に拘束されない。その意味では日本の閉鎖病棟よりましかもしれない。まあ、毎日抗鬱剤らしきものをたんと飲まされるので、ぐったりとしている人がほとんどなのですが。それでも元気な人は元気で、そのあたり個性はかなり分かれます。

 手錠をはめられるほど大暴れした人はこの映画内では一人だけ。それもおとなしくなったらあっさり手錠外されてました。

 ただし、十数年も閉じ込められている人もいて、どんよりと淀んだ空気は結構キツい。撮り方がうまいので結構見入ってしまうけど、見終わってぐったり疲れました(^^;最後の字幕が衝撃的で、本当に精神を病んでいる人もたくさんいるのですが、「信心深過ぎる」という理由でぶちこまれているイスラム教徒も結構いる。実際、ベッドの上でお祈りしてました。そのあたりは、やっぱり中国なのですね。

 まあ、こうしてそういう現状を映画として見せても王兵が逮捕されないというのは、少しずつ変化が見られるのだろうか、という気もしますが。実際、王兵という存在がいるだけで中国映画はすごいと言わざるを得ません。

 今回も作品単体では世界水準なのですが、王兵の作品としては「うーん、ふつうかな」と逆に物足りなくなってしまうあたり、王兵のすごさを改めて痛感してしまう。「鉄西区」「鳳鳴」「名前のない男」「無言歌」と、次々と映画史を塗り替える衝撃的な作品をたたきつけてきた王兵ですから。次は何をするんだろう。
posted by てんちょ at 01:32| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月05日

「GODZILLA ゴジラ」

 ついに行ってきましたよ! 特撮系批評家は絶賛、一般批評家やインテリ層は冷淡、観客層は賛否まっぷたつという感じでしたがさて…めずらしくうちの家族が「見たい」と言うので連れていきましたが不安だよ!(^^;



 結論から言うと、二人とも絶賛。なんだこの化け物みたいな面白さ。すげえよこの映画!ちなみに異論は認めないのであしからず(^^;

 察するに「ゴジラ ファイナルウォーズ」の時の真逆の構図ですかね、これ。あんときは特撮批評家総罵倒、観客やっぱり賛否まっぷたつ、だったわけですが。あれは「怪獣のドツキ合いが見られたらええんや」という親子連れ層の受けがよく、「怪獣映画とは〇〇だろ」といううるさ型が吠えてた気がする。

 今回は、怪獣映画に神話的高踏性を求める層が熱狂して、「ゴジラ出んやないかい」と親子連れが怒り狂っている構図。まあそれもわかるんですけどね。ゴジラを悪役にしなくても、ここまで大人のドラマで壮大な現代の神話が展開できるということに驚かされてしまう。たぶんギャレス・エドワーズは、ゴジラよりは平成ガメラから多くを学んだんじゃないだろうか。

 核と放射能についてのアイロニーに満ちた寓話であり、荒ぶる自然を体現した神の物語でもある。特権的な主人公を設けず、スターを排し人間が神を見上げる視点から、多層構造の黙示録を完成させてしまった。

 いろいろ感心する点は多いのですが、個人的に一番印象に残っているのが、イギリス人としてのシニカルなユーモアがよく表れた場面。緊迫感に満ちた展開の後「この後扉の向こうから怪物が襲ってくるんだろう」とドキドキしながら見ていると、爆笑ものの皮肉な構図が目の前に開ける。ネバダ砂漠のシーンとか、ラスベガスのシーンとか、本当に強烈な風刺が効いていました。風刺ドラマとして、歴代ここまで秀逸なものはなかったんじゃないだろうか。

 核でなんでも解決しようとするアメリカ人をバカにした目線で描くのもやはりイギリス人だからなのでしょうねえ。実際、あの決断がなければ、後半のややこしい展開はなくもっとシンプルな姿になっていたはずなので。そこで芹沢博士の「人間が自然を支配していると思うのは傲慢だ」というセリフが効いてくる。

 見る人によってたぶん解釈はさまざまだと思うのだけど、それぞれに面白い解釈が生まれそうなのもこの映画ならでは。うちの家族の解釈をちょっと紹介してみると…

「ムトーって変なかっこうしてるけど、あれってオリガミじゃないかな」

 な、なるほど、折鶴を伏せたような恰好といえばそんな気も…

「最後の対決がチャイナタウンなのは、アメリカ人の中国嫌いを暗示してるんだよ」

 でも監督はイギリス人だし。ビル街の対決より絵的に映えるってだけでは?

「ムトーの夫婦愛に泣いた。最後はちょっとかわいそう」

 まあ、怪獣としては前代未聞のキスシーンまでありましたからねえ。「どうせなら最後まで描くべき」というのはNGだけど(^^;
 個人的にはもう少しムトーのキャラは立ったものにしてほしかったかな。キングギドラとは言わないまでも、怪獣映画は、メカゴジラぐらいには華のある敵役でないと。

 何にしても自然への畏怖すら感じさせるラストは秀逸で、早くも第2弾が待ち遠しい。これはたぶんDVD買いかも。あ、ちなみに見たのは字幕版2Dでした。無理に3Dで観なくてもいいと思う。とにかく猛烈におすすめですので、迷ってる人はぜひ。ただ、怪獣映画はどついてなんぼという人はやめた方がいいかも。結構辛口で社会派なので。
posted by てんちょ at 00:01| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月23日

「リアリティのダンス」

 夏アニメも一段落したので、本日は映画です。そんなわけで、先日「DUNE」をご紹介したホドロフスキーの新作。



 ボロカス言ってる人も少なくないので、かなり覚悟して見に行ったんですが、あれれ思ったほど悪くない。そして劇場も結構いっぱいだった。

 まあさすがに「エル・トポ」とか「サンタ・サングレ」から見るとショッキング度でいえばかなり和らいでしまっている。カルト・ムービーらしさを求めるひとには若干物足りないかも。一応今回もフリークスも導師も出てくるんですが、テーマ的には脇になります。どっちかというと、象徴的な表現も盛り込みつつも、ごくまっとうな文芸映画っぽい展開になってた。

 とはいえ、非常によくまとまっていて、2時間を超える長さですけど退屈では全然ないです。主題は監督の少年時代の記憶なのですが、老境に入った巨匠が陥りがちな甘ったるいノスタルジーとはならず、むしろ突き放した描写にびっくりする。そして、最初はホドロフスキー少年が主人公だろうと思っていたら、独裁的暴君として君臨していた父親がいつの間にか主人公になっていてびっくり。

 いかにもラテンマッチョで体育会系オヤジで、ホドロフスキー少年の憎悪を浴びそうな悪役キャラに思わせておいて、これが社会変革に燃える共産主義活動家としての側面も見せ始め、なんだかよくわからなくなってしまう。そして独裁者の暗殺に失敗した父は放浪の末に拷問を受け、辛苦の果てにようやく家族のもとにたどりつき、自らの過ちを悔いて、ようやく家族は和解するという結末。

 自分がさぞ憎んだであろう父親をかなり冷静な目線で描いてみせるあたり、ホドロフスキーという人、まだまだ枯れてませんね。もう一本ぐらい撮れるんじゃないだろうか。自作バンドデシネの映画化とかぜひやってほしい。
posted by てんちょ at 02:30| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月24日

「グランド・ブダペスト・ホテル」

 ウェス・アンダーソンは人気の高い監督さんですが、私は初見。いや、いつも予告編だけでおなか一杯になってしまうんよ(^^;



 すごく作りこんだ人工的な世界を見せる人なので、玄人受けするのもわかりますけどね。ちょっとあざとすぎるのは勘弁。

 じゃあ今回はなんで見たのかというと、個人的に関心のあるハンガリーが舞台で、ミステリ仕立てだと聞いたから。まあなんとか見れるかなと思った次第。例によって前評判は本当に高いし。

 そしたら、「ブダペスト・ホテル」だというのに、ハプスブルグ帝国も、ナチス・ドイツも、ソビエトもみんな架空の別名に変えられておったという(^^;まあ、作り物色を強めるための演出なんでしょうが、若干さみしかったかな。

 まあ、実に小器用に作られたキッチュなコメディだとは思いますが、ミステリ映画か?と言われると「えー」ではありましたね。ミステリならば三重構造の語り手に具体的なウソをつかせて話の矛盾点を観客に分析させていくと思うのですが、そういう風にはなってない。確かに語り手は全員ウソツキっぽくて実に信頼しがたいのですが、「だからこの話はみーんなウソかもしれんわけよ。なんちゃって」という風にしかなってない。

 だから非常に人工的な空間のみで話が進んでいくわけですが、殺人も陰謀もあるのになんとなくのんびりした雰囲気が漂ったままなのはなんだかなあという感じでした。好きな人はこれがたまらんのでしょうが、あまりにもとりとめがない。まあ、軽妙なのはうまいなとは思いますが。
posted by てんちょ at 01:05| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月15日

「ホドロフスキーのDUNE」

 アレハンドロ・ホドロフスキー。まさしく伝説の映画監督。大学生の時に初めて「エル・トポ」を見てのけぞった記憶がありますよ。あのころは大阪にもミニシアターはなく、ホール公開だったなあ。

 

 そんな戦慄の怪監督が撮ろうとしたフランク・ハーバートのSF「デューン」の映画化。でも結局実現せず、企画は頓挫しました。あっ、そうだろうね。どう考えてもイカレてるし。とあまり気にもとめていなかったのですが。その伝説の企画がどんなものだったのか、監督自身の口から明らかにしてもらおうというのが今回の趣旨。

 そして驚いた。メビウスの絵コンテは完璧な形で完成されていて、プレゼン用に製作された分厚いアートブックを読めばどんな映画になるはずだったかある程度わかるというわけ。今回の映画では、ホドロフスキーの語りに絵コンテをCGアニメに加工してある程度雰囲気をつかませることに成功しています。

 とにかく全体から漂う強烈な妄想力が半端ではなく、実際に完成したらすさまじいものになったろうなあと思います。いや、傑作になった可能性の一方で、資金が膨れ上がってやっぱり中絶したり、個性派アーチスト同士のいがみ合いで空中分解する可能性も同じぐらいあったと思う。

 とはいえ、これだけ壮大なアイデアを一本の作品にまとめあげたのは立派で、完成したわけでもないのにのちの作品に大きな影響を与えたというのはなるほどと思います。実際、まだあまり有名でなかったギーガーを映画の世界に引き入れたことは、ある意味で最大の功績。

 そして結構個人的に驚きだったのが「オーソン・ウェルズは食道楽の浪費家だった」という話。だからあんなに太ってたのか!いや金がなくて才能あるのに監督ができず、しょーもない映画や英会話教材に出まくっていた、という話は実は不正確だったということ。そりゃ、こんだけバカバカ飲み食いすればいくら稼いでも足りないわ!(^^;

 
posted by てんちょ at 02:33| 大阪 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月10日

「The Next Generation パトレイバー」第二章

 というわけで第二章行ってきました。今回は大阪の真ん中の映画館だったんだけど観客さみしいなあ。



 今回はいかにしてレイバーを「ただ立たせておくか」についての物語。こういうアイロニカルな薀蓄満点のストーリーは本当、得意ですよね。実写の方がアニメよりもマンガ的になるのもいかにも押井演出なのですが、監督は別の人。まあ、大づかみな部分では、いろいろと総監督の指導が入ったのだと思われますが。

 実際、オートバランサーがあやうくなってレイバーが左右にフラフラする場面は、実写ならではのおかしみがありますよね。アニメでやってもたぶんあまり面白くないでしょう。

 隊長が本庁を挑発した挙句とんでもないことになる、というのもこの作品らしいのですが、これが後藤警部補だったら、キレイに一本取ってたところだろうにねえ。だからといって投げっぱなしの結末というのはどうかと思う。

 続くエピソード3はヒロイン・明がゲーマーとしての情熱を燃やす番外編。その対戦相手がプロゲーマーである竹中直人というのが実にらしくていい。二人が対面する場面は立ち食い蕎麦屋マッハ軒だし。ちょっとコミカルなアヴァロンという感じでしょうか。ゲーマー押井監督の情熱が感じられます。ただ、これまたラストが投げっぱなし。なんだかなあ。各話監督に委託するとこのあたりの詰めが甘くなってしまうんだろうか。本人が監督すると、ここが一番の見せ場になるだろうに。
posted by てんちょ at 00:38| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月20日

「たまこラブストーリー」

 実は見に行く気ゼロでした。テレビ版は「まあ悪くない」程度の評価でしたしね。このシーズンのベストはなんといっても「琴浦さん」で、「たまこ」のテレビ版は「悪くはないがこんな商店街ないよ」とちょっと顔をしかめたくなる感じでした。



 ところがこの映画版の評判がおそろしくいい。うーんそんなにいいなら行ってみようかと、本日行って来たんですが・・・上映は朝9時ですよ!9時。正直参りましたが、確かにがんばって見に行く甲斐はある。ていうか、テレビ版よりははるかに完成度が高くて腰を抜かしました。

 テレビ版はちょっと時代からずれた人情豊かな京都の商店街の看板娘と、南の島の変な鳥と王子とシャーマン少女の交流を描いた下町コメディだったわけですが・・・劇場版、ぜんぜん雰囲気が違う!

 商店街はほとんど脇筋で、テレビ版では結局メインに出ることがなかったもち蔵とたまこのラブストーリーが非常にシリアスに描かれます。テレビ版では茶化されまくりでまるで報われなかったもち蔵でしたが・・・まさかこんな本気の青春ストーリーが展開されるなんてびっくりですよ。

 今までぜんぜん意識してなかったお向かいの男の子に告白され、周囲の風景がまるで見えなくなる、人の声が聞こえなくなる、そして男の子の顔がぜんぜん見られなくなってしまう・・・そうした青春ラブストーリー「あるある」な話が完全にたまこの主観として描かれるのがまさしくアニメとしてラブストーリーをやる意味なんですね。なるほど。

 そしてみどりちゃんも実はもち蔵のことが好きなんだけど、それは最後まで心に秘めて語られることがない。これ、最近の実写だと「あの子のことが大切な友達だから私のもち蔵が好きだという気持ちは言っちゃいけないの」とかべらべらしゃべってしまうんだろうなあ。でもそれはない。そして、そんな無粋なことをしなくても十分に観客には映像で伝わる。アニメですけど、テレビスペシャルじゃなくて、マジで映画にちゃんとなってるんですよ。ここは驚いた。

 もち蔵の告白後に二人がどうしても会話できなくて、微動だにしないまま教室で時間だけが過ぎていくシーンとか、大林宣彦みたいなコマ撮りが用いられていたのは面白かったですねえ。アニメなのにコマ撮り。ていうか、ゼロから全部描かないといけないので、ただただ大変なだけなのですが、アニメであると同時にちゃんと映画になっていて実に見事なシーンでした。

 たぶんたまこはこれにて完全完結、これ以上はまったく作られることはないでしょうが、「これにて完」という感じの見事な幕切れでした。テレビアニメだって映画になれる。本当すごい。京アニ、一歩踏み出したなという感じです。
posted by てんちょ at 01:58| 大阪 | Comment(4) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月08日

「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章」

 まったく期待してなかったんですが、近所の映画館でやっとるということで、ついつい見に行ってしまいました。思い切りガラッガラ(^^;



 ヒロインの真野恵里菜は思いがけなくしっくりきているし、なにより千葉繁がいつのまにかこんなにも重厚な老人の演技をしていることに衝撃。あー「紅い眼鏡」から二十年三十年近いもんなあ。お互い年を取るわけだ。

 長く押井ファンをやってる人間としてはなかなか楽しめる内容で、薀蓄と食い物談義、そして繰り返される退屈な日常の会話劇というまさしく押井趣味満載。

 ただ、それって今わざわざ実写でやるべきことか?

 どうも御大は「久々にざまあみろと思えるほどメジャーな作品ができた」と思い込んでいるみたいで、うーん誰か止めてさしあげろ。これなら「アヴァロン」の方がはるかにメジャーだし映画だし先進的だし。「ガルム戦記」の再起動を選んだ方が賢明だったのではと思う次第。

 まあ、ファンとしては肩がこらず楽しめるので最後まで付き合おうとは思いますが、たぶんこの企画途中で頓挫するか、短編シリーズはすっ飛ばしていきなり劇場版公開を迫られるかどっちかだなーうむ
posted by てんちょ at 02:38| 大阪 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月13日

「ウォールデン」

 実験映画やってる人間にとって、ジョナス・メカスはまさしく生きる伝説。そんなつもりはなかったし、自分とは遠い人だと思っていたけど、気づけばメカスに近いスタイルで映画を撮っていて愕然とした。



 まあ、私はどうしたってビデオの撮り方だし、メカスはフィルムの撮り方で、そのあたりはぜんぜん違うわけだけど。

 そんなメカスの代表作中の代表作。3時間もある大作で、今まで観る機会がなかったのですが、とうとう劇場公開されたのは感慨深い。まあ、東京公開はとっくに終わってDVDまで昨年に出てるんですけどね。

ウォールデン ジョナス・メカス

ウォールデン ジョナス・メカス

 しかしまあ、劇場で見たいじゃないですか。「リトアニアへの旅の追憶」は、どうしてもスケジュールが合わず、先にビデオで見てしまいましたけど。あちらはどちらかというとプライベート・ドキュメンタリーの色彩が強かったのですが、こちらは完全に「ポップアートとアンダーグラウンドの1960年代」を180分に封じ込めた時代の結晶。

 フラッシュバック的な独特の撮影方法が印象的ですが、これで目がチカチカすることもなく、とりとめもないイメージが次から次へと現れる時代の回想みたいに感じられるのだから見事。本当に神業的な編集技術ですよ。途中休憩入りで2プログラム制でしたが180分まったく飽きることがなかったのはまさに驚異。

 ウォーホルが出る、オノ・ヨーコとジョン・レノンが出る、べルベット・アンダーグラウンドが出る、いやそれどころか、カール・ドライヤーが出る、ハンス・リヒターが出る!無声映画時代の伝説的映画人、どちらもこの時代には存命だったのか!なんてすごい1960年。

 後半ではあのおなじみオールバックにブレザー姿のジョナス・メカスが登場するのですが、前半特に冒頭では七三分けでスーツ姿の若いメカスに爆笑。なんだこれ(^−^;

 しかし「ウォールデン=森の生活」をうたいながらも、本当に森の生活をしているのは、リール3で登場したブラッケージだけ。本当に山奥で世捨て人的に暮らしているのを訪ねていくんだけど…登場人物の大半はニューヨークのコンクリートジャングルで暮らしながら、映画で世界を変えたいと日々夢見ている。アートがあんなにも輝いていた時代。行ってみたい、でもかなわない、あの時代の空気がちょっとだけでも味わえるのはまさしく慶賀すべきことです。DVDになってよかった。ちょっと買いたい。
posted by てんちょ at 02:47| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月09日

「ホビット 竜に奪われた王国」

 行ってまいりました!これで五作目。毎回家族とみているわけですが、うちの家族曰く「イケメン見てるだけでも目の保養になる」と。確かに。



 アクション嫌いのうちの家族は「やりすぎ。ちょっと頭痛くなった」と顔をしかめてましたが、「でも見ないわけにはいかないのよねえ」とも言ってました。そう、それでジャクソンのうまさですね。みんな言ってますが、樽に乗って急流下りのシーンとか、いや、よくこんなバカげた構図(ホメ言葉)を思いつくなあとあきれてしまうほど。

 長すぎる前作と違って今回は岩波少年文庫で上下二巻しかない。それをわざわざ三部作に引き延ばそうというのだから大胆というかなんというか。しかももともと児童文学ですから、崇高さすら感じられる「指輪物語」と比較すれば、どうしたって呑気で間延びした印象は否めない。

 それをここまで壮大な物語に仕立てあげてしまい、なおかつ原作に忠実であるというのだからすごい。大暴れする竜スマウグの存在感が今回のクライマックスで、これぞ「高貴な悪」。すばらしい。原作通り貪欲で意地悪な最強の竜なのですが、それがここまでアクション的に膨らまされてしまうとは。

 これがあるから、映画オリジナルであるサウロン登場のシーンがメチャクチャ生きてくる。「ロード・オブ・ザ・リング」第一部の冒頭、ロボットみたいなサウロンは完璧な三部作の数少ない傷ですが、今回の得体のしれない圧倒的存在感はすさまじいものがありました。サウロンの挙兵に呼応する形で、スマウグもオークたちも動いていたのだと。この形ならば、実に自然に「ロード」の冒頭につながります。

 映画オリジナルのキャラクターであるエルフの女性剣士タウリエルは、下手をすると原作ファンを敵に回す冒険だったと思いますが、どうしてどうして。ある意味今回もっとも印象深いキャラクターとなりましたね。まさしく大成功!いやあエヴァンジェリン・リリーうまいなあ。アクションも凛々しいし。

 「キング・コング」は「180分もいらないんじゃない?」という感想でしたけど、今回はジャクソンのオタク魂がいい方向に転びましたね。膨らませた甲斐があったというものです。

 しかし原作だと残りは50頁もないんじゃなかったっけ(^^;どうなるんだ。まずは待ちましょう、完結編。またいろいろぶちんでおどろかせてくれそうですねえ。
posted by てんちょ at 02:53| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月01日

「スノーピアサー」

 韓国好きとしてはまあ、行かないわけにも行かんよね、と行って参りました。予告見るだけでツッコミ所満載なので、かなり気は進まなかったんですが(^^;



 「グエムル」のポン・ジュノですから、この設定の無茶苦茶さを分かっていないわけはない。それでも力技で押し切るつもりだったんでしょうけど…いくらなんでも無茶しすぎ!「グエムル」は、勢いに押されてあれあれという間に見てしまいましたけど、今回は見ている間ずーっと「ツッこんだら負け、ツッこんだら負け」と自分に言い聞かせていないと耐えられない感じ。

 でもさすがに寿司バーのシーンで噴き出してしまった。ごめん。

 これ、公開二週間てわずか一日一回上演になってしまってました。テレビ局映画をヘラヘラして観る層でもさすがにこの設定に疑問を感じるだろうし、我々もっとディープなファンでもこれはツラい。意外に原作のバンド・デシネファンには好評なようですが。

 まあ、これはいわば「社会」を戯画化した寓話劇みたいなものですよね。俳優陣の演技は結構良かった。映像の美しさはさすがポン・ジュノという感じ。でも、やはり一番好きなポン・ジュノ作品は「吠える犬は噛まない」ですね。おなじあっけにとられるのであれば、ああいう形で「なんだこれ?」とあっけにとられたい。

 今回一番良かったのは「グエムル」でも好演してたコ・アソンでしょうか。可憐な少女じゃなくて、一癖ある野生児として描いたのはよかった。

 で、ラストシーン…どう解釈すればいいんだ。
やっぱ、あの二人も熊に食われておしまい、と違う?(^^;
posted by てんちょ at 02:06| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月18日

「ROOM237」

 今年まだ二月ですが、たぶん今年の映画の中で極め付けの怪作ということになるのだと思う。監督自身がわかってやってるという点で実に食えない作品ではあるのですが(^^;



 スタンリー・キューブリックの代表作のひとつ「シャイニング」に注目し、その作品の背景に隠された謎を読み解いていく…というとまともに思えるかもしれませんが、そこから導き出される答えは「実は先住民虐殺を告発する映画だ」「ナチのホロコーストを隠喩的に読み替えた作品である」いやそれどころか「アメリカの月面着陸がねつ造されたやらせ映像であり、そのフェイク映像制作に加担したキューブリックが己の罪をひそかに告白している映画なのだ」とか言い出すと、ほとんどこれはもうトンデモ。

 でも実際、結構名の知れた研究者・評論家がそういうパラノイア的な珍説を大真面目に発表しているらしいのですね。アメリカ人ってヒマだ(笑)この監督さんはそれらの奇説を笑うでもなくまともに信じこむでもなく、一歩引いたところからコレクター的に並べて「面白いよな?」とニヤニヤしながら見せてくれる。まったく食えない人です(^^;

 ただ、キューブリックがこの映画の表面的なストーリーだけでは読み取れない膨大なデータを押し込んだことは間違いのないことで、自分の詳しいところ・気になっているところだけをつまみぐいしていくと、とんでもない奇説が飛び出してしまうかもしれない。

 まあ、キューブリックがホロコースト映画を断念しているのは確かなので、そこで使えなかったアイデアを加工してシャイニングに持ち込んでいることは十分に考えられる。そういう意味では、いろいろな見方に耐えうる重層的な作品であり、だからこそキューブリックは面白いのだと思う。

 それにしてもみんな変なことを考えるもんです。「逆回転で上映すると新たな発見が!」ってそんな(笑)
posted by てんちょ at 02:42| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月16日

「砂時計」

 先日非常に面白かったヴォイチェフ・イエジー・ハス監督のポーランド映画「サラゴサの写本」。今度は京都のみなみ会館で別の作品が見られるということで行ってきました。今回も結構な人出。マジで今まで日本では無名な人でしたけど、これを機に本格的な紹介が進んでほしい。

sunadokei.jpg

 今回も自由に時空を飛び回り、幾重にも折り重なった複雑怪奇な物語が紡がれるわけですが、前回のモノクロに対して今回はカラー。ややこしいけど一応明快なストーリーのあった前回に対して今回はまったくのドタバタなイメージの羅列に近い内容となってます。

 しかし今回もオリジナルではなく、ブルーノ・シュルツの小説を原作にしています。ブルーノ・シュルツといえば現在では人形アニメの鬼才クエイ兄弟の代表作「ストリート・オブ・クロコダイル」の原作者とし有名ですね。

 今回もシュルツの原作をかなり読み込んで映像的イメージを展開しているようで、詩的な著述スタイルですが原作至上主義者というのが面白いですね。まあ、原作からしてどちらもかなり曲者ではあるんですが、それに負けずに個性を発揮できるのがこの人の持ち味というところでしょうか。

 危篤状態の父親を見舞うためにサナトリウムにやってきた若い男が、時間の波に飲み込まれて時間と空間を行き来しながらてんやわんやの混沌に飲み込まれてしまいます。なんでそんなことになるのかというと、このサナトリウムの医師が処方しているのが時間治療なるSF的な診療方法で、父親のまわりの時間をさかのぼらせることによって「実際はもう死んでいる君の父を治療しているのだ」とかすごいことを言いだす。

 そして「父上のそばについていてあげたまえ」という医師の助言を素直に聞いたばっかりに、青年はいろいろな年齢の父親や自分自身にも会い、どんどんわけがわらなくなっていってしまいます。途中でいろいろな人間がゼンマイ人形に置き換わっていくP・K・ディックのスチームパンク版みたいな展開も面白かった。

 「サラゴサの写本」とはかなり味わいが異なりますが、これもまた魅力的な世界でした。これもDVDにならないかなあ。むしろこちらの方が繰り返し見て分析してみたい。
posted by てんちょ at 02:11| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月18日

「サラゴサの写本」

 話題を集めた「ポーランド映画祭」の一本として上映され、大変な反響を呼んだ一本なのですが、見逃してしまってました(^^;

 このたびようやく一回だけリバイバル上映される!ということで万難を排して行ってまいりました。平日の夕方という半端な時間だというのにシネヌーヴォはほぼ満杯の大盛況。みんな耳ざといというか、熱心だなあ。確かにこれは何が何でも見ておかねば。
 前二列が空いて残りの席はすべて埋まり、後ろにパイプ椅子の補助席がズラリと並ぶというわけのわからない状態に!

 実はつい先日DVDも発売されたんですけどね(^−^;

【送料無料】サラゴサの写本 Blu-ray/ズビグニェフ・ツィブルスキ[Blu-ray]【返品...

【送料無料】サラゴサの写本 Blu-ray/ズビグニェフ・ツィブルスキ[Blu-ray]【返品種別A】

 それにしても実にヘンテコな内容で、なるほどこれはデビット・リンチやルイス・ブニュエルが熱狂するわけだと納得する不思議極まりない物語。

 ナポレオン戦争時代のスペインで、廃屋から発見された手描きの古書が語りだす幻想のエピソードの数々。何が不思議といって、物語の中の登場人物が新しい物語を語り、さらにその物語の中の登場人物がまた別の物語を語り…といった具合で複雑怪奇な入れ子構造の物語がどんどん逸脱を繰り返していき、次第に話はあさっての方向へ…向かうと見せかけてそれぞれの登場人物は微妙に関連し話を補い合ってひとつの大きな、そしてもっと奇妙な物語を作り上げていく…

 なんか記憶にある題名だなあと思っていたら、原作は国書刊行会の「世界幻想文学大系」に収録されたヤン・トポッキの「サラゴサ手稿」だとのこと。ただし、これはオリジナルの五分の一しかない部分訳で、東京創元社から完訳版が出る出るといわれつついまだに出てないそうな(^^;

 このややこしくもおかしくて面白いエピソードの魅力は主に原作を忠実に映像化したおかげだそうで、そういう意味では原作もぜひ読みたいところですが、吊るされた二人の山賊の遺体、というキービジュアルを何度も何度も登場させることで迷宮感覚とリズミカルなスピード感を生み出しているのはこの映画版ならではの魅力かもしれません。

 とにかくわけがわからないけど難解なわけではなく、すっきりとわかりやすく面白いけど混乱を極めているという不思議な矛盾した面白さ。これは見てもらわなければわからない。来月、京都みなみ会館での上映では、ヴォイチェフ・イエジー・ハス監督のもうひとつの代表作「砂時計」が上映される予定とか。必ず見なくては。
posted by てんちょ at 02:39| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月05日

「ゼロ・グラビティ」

 結構な話題作になりましたね。ヒットしているのは喜ばしい。



 今日もけっこうたくさん来てました。そして皆様のお勧めは「3D吹き替え」とのことなので、私もそれで見てきました。

 そのほうが3Dが効果的とのことだったけど。いや、そこまではなかったかな(笑)

 でもセリフが膨大で画面に集中する意味では、確かに吹き替えの方がよかった。ずっと3D嫌い通してきたし、今でも大半の映画は2Dで充分と思いますが、確かにこれは3Dである意味が十分にありました。しかもアトラクションじゃなくて、きちんとドラマとして機能していたし。吹き替えの声優陣は非常に力のある人ばかりだったから、文句もないです。渋くていい。

 この作品何がいいって、ハリウッド製なのに、シンプルに刈り込まれて無駄がないんですよ。変にダラダラした序盤とかなくていきなり本題入るし、キャラクターは最小限、ていうかほぼサンドラ・ブロックただ一人!しかも途中で退場した人がいきなり再登場とかしないし。いや、実は再登場するシーンあって、見たときは「あーやっぱり」とか思ったけど、見事に肩透かしを食らわせてくれる非情さがまたよかった。

 こういうのってもはやSFには見えないんじゃないかなと思っていたんですが、結構ずっしりSFしてました。なんかうれしい。
posted by てんちょ at 02:57| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月29日

「ファイアbyルブタン」

 パリ・クレイジーホースといえばフレデリック・ワイズマンの「クレイジーホース」が忘れがたい。ストリップから性的搾取を拭い去り、アートにまで高めたセンスの良さがしっかりと感じ取れる、ワイズマンならではの秀逸なダンス映画でした。

 で、こちらはというと、靴デザイナークリスチャン・ルブタンをゲストデザイナーとして招き、ルブタンの靴を使った華麗なショーの一部始終をまるごと見せてくれます。3Dで!(^^;



 まあ確かに実にカラフルでオシャレで、女性が誇りを持って見られる実にフェミニンなショーです。実際観客はおばさん・姉ちゃんばっか。しかしやはりワイズマンとは視点が違って、3Dでたるんたるん揺れる胸を見せられると、はっきり言って落ち着かない(笑)いくら小ぶりなダンサーの胸とはいえです。さすが鍛え抜かれたダンサーたちですから、不自然にでかい乳はないですね。それもあって淫靡さが完全に抜け落ちているのだけど。

 ただ、ルブタンは靴デザイナーなので、ショーも完全に脚フェチ一本。脚しか出てこないステージも多くて、脚・脚・脚の洪水にさすがに飽きた(^^;うーむ私はやはり脚フェチの気はないということか。上映終了後「脚はもうええわー」とつぶやいてたおばさんたちに笑ってしまった。いや、でも同意。

 デビット・リンチが音楽、というのにも惹かれてたんですが、使われてるのは一曲だけりのワンステージ。そんなん詐欺やー
posted by てんちょ at 02:15| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月28日

「ブランカニエベス」

 しばらく行ってないなーと、ひさぴさに映画出かけてきました。やはりミニシアターめぐりはいい。



 この作品、一昨年の「アーティスト」と同様、無声映画です。こういう試みはどんどんやってほしい。映画にはそれぞれ固有のリアリティがあるべきで、コントロールすべき情報の幅は多いよりは少ない方がいいに決まっているからです。もちろん観客としてはより多くの情報を求めるのが自然な流れだけど、それで面白くなるかどうかは別。むしろ情報が少ない方が、より荒唐無稽な物語でもリアリティをもって語ることができる傾向があるからです。

 この作品もそうで、設定だけ聞くとほとんど笑うしかないような荒唐無稽さ。闘牛士とカルメンの間に生まれた娘が数奇な運命を経て自分も闘牛士になり、七人の小人を従えて、闘牛場に立つ…って、なんだそのストーリーは。でも不思議なことに、これがサイレント映画だと結構リアリティを感じられるのですね。そういう意味でこの選択は正解。

 ただ、メタ映画的仕組みを持っていた「アーティスト」と違い、こちらはどちらかというと、80年代のカルトムービーを思い起こさせる。あのころは、本当に変な映画がたくさんありました。今はすっかり洗練されてしまって、あんな荒々しい映画はなかなか見られない。時には、こういう映画の前近代的見世物性に思いをはせた作品も見てみたいのですが。

 ただ、前半はもうちょっとはしょれたと思いますね。継母=魔女役を務めたマリベル=ベルドゥがスペイン映画界を代表する大女優らしく(「パンズ・ラビリンス」にも出てたらしい)大活躍の怪演で、ちょっと出番を増やしすぎました。確かに爆笑ものなんだけど。演じていて楽しかったろうなあ。次から次へとまったく無意味なコスプレショーも(^^;

 しかし最終局面での思いもかけない結末は、たぶん白雪姫を熟知している人ほど引っかかるかもしれない。私も見事にしてやられました。そう来たか!途中でとても変な伏線があるので「これどこで回収するつもりだろう」と思っていたら、ちゃんと生きてました。結末は、まさしく正当なカルトムービーの申し子という感じ。実にエレガントでうなってしまいました。いいですよね、カルトムービー。実際に日本でも手堅くヒットしているようで、うれしい限りです。
posted by てんちょ at 01:24| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月14日

「ハンナ・アーレント」

 なんか結構ヒットしてるみたいです。こんな地味な映画が。よいことだ。



 以前、この作品の姉妹編ともいうべきドキュメンタリー「スペシャリスト」を見ているので、その関心から見てみた次第。予想以上に重厚で力強い内容で素晴らしかった。確かにあの特異なアイヒマンのキャラクターは忘れがたいものがあり、この映画でもアイヒマンに役者は使わず「スペシャリスト」でも使われた裁判記録の映像がそのまま用いられています。そのことで、ハンナの主張が非常に説得力のあるものとなりました。

スペシャリスト(トールケース) [DVD] / エイアル・シヴァン (プロデュース); エイア...

スペシャリスト(トールケース) [DVD] / エイアル・シヴァン (プロデュース); エイアル・シヴァン (監督)

 ホロコーストを主導した怪物のような殺人鬼、ではなく、どこにでもいるような凡庸な小役人。ところがモラルという人間として大切な信念を捨て去っていたがために簡単に残虐行為に加担してしまった。

 ナチのユダヤ人迫害の被害者でありながら、シオニズムとは一線を画し、人間の普遍的な悪を暴き出したハンナのゆるがない知性を力強く描き出した監督には喝采を送りたいと思います。そうか、「ローザ・ルクセンブルク」の人だったんだ。

 確かにホロコーストを錦の御旗にして殺伐を繰り返していたイスラエルには、ハンナの結論は許しがたいものだったろうなあと思います。でも、イスラエルもまた凡庸な悪に染まっていたことは、歴史が証明してしまった。こんな早い時期にアイヒマン裁判からこれだけの概念を引き出したハンナがどれほどすごい人であったか。いくら賞賛しても足りません。

 なおこの映画の中では触れられていませんが、裁判の同年には有名な「アイヒマン実験」が行われており、ハンナの主張の傍証となったと思われます。状況次第では、あなたも私も、アイヒマンになり得る。だからこそ人間は状況に流されずモラルを維持しなくてはならない、というハンナの言葉は、今も有効であり続けています。賞味二時間ある映画だけど、夢中になります。ぜひ多くの人に見てほしい。
posted by てんちょ at 03:01| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月05日

レフ・クレショフ傑作選「掟について」

 というわけで行ってきました。残り一本。クレショフの最高傑作ということで期待してたんだけど、途中までは結構眠い展開。



 しかし突然の発砲事件から俄然盛り上がり、極限状況の中でいかにして理性を保つかという哲学的テーマがほとんど滑稽なほどの苦闘とともに描き出されていきます。

 ゴールドラッシュ時代のカナダを舞台に、殺人者の男とそれを監視する夫婦が小屋の中に閉じ込められ、孤立してしまうという設定で、超低予算の制約の多い環境を逆手にとって、モノクロサイレント時代では一種信じられないほどの暴力と惨事が描き出されていきます。

 床に飛び散った血を始末するため、床板にカンナをかけるとか、絶句ものの独創的表現に唖然。サイレント期ですから当然制約は極めて大きいし、しかもこれ社会主義ソビエトの作品ですよ!もちろん現代のような直接的暴力描写はあり得ないんだけど、こんなにも独創的な形で残酷と暴力を描いてしまうクレショフの天才には圧倒されるばかり。誰も火を消さず燃え上がる誕生日ケーキとか、生涯忘れられないかもしれない。

 今回上映された三本はそれぞれまったく違う作風で、どれも大変に面白かった。クレショフ、これからも日本で紹介が進むといいなあ。
posted by てんちょ at 02:41| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月17日

山形国際ドキュメンタリー映画祭2013表彰式

 もちろん当方は帰宅してしまったんですが、本日、受賞作が決定しました。

http://www.yidff.jp/2013/2013.html#award

 グランプリは「我々のものではない世界」かぁー。「ウルトラ7」(笑)

 一番最初に見て沈没してしまったやつだぁ(−−;もう一回見る機会があればいいんですが。

 「殺人という行為」と「蜘蛛の地」が賞取れたのは大変にうれしい!!優秀賞は2本とも未見のやつです。なんてことだ(^^;
posted by てんちょ at 01:39| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月16日

「山形国際ドキュメンタリー映画祭2013」5日目

 さきほど帰宅しました。大阪は暑い!やはりぜんぜん違いますな。

 そして最後に見たのはこの2プログラム。

 6つの眼差しと〈倫理マシーン〉
「被写体」
 スペインで物乞いをしながら飄々と生きる身障者の男の物語。このシリーズ、結局2本見ましたが、これはこれで挑発的で面白い企画でした。全部きちんと見たかったなあ。わずか75分の作品でしたが、この物乞いの男がぜんぜん同情とか求めない毒吐きまくりの男で、ところがなぜか憎めない。むしろ「オレはお前よりも金持ちなのさ」と挑発してきたりするんだけど、なぜか憎めない。そして同情って結局は人を下に見る態度なんじゃないかとかいろいろ考え始めてしまう。

クリス・マルケルの旅と闘い
「キャンプニュース8」「ブルーヘルメット」「コソボの市長」
 ボスニア紛争とクリスの関わりをまとめた三本。特に後半2本は国連軍参加者とコソボの市長へのインタビューをまとめただけで、現地映像がほとんどない反報道映画というべき作品です。バストショットどころか顔が画面一杯にアップになり他に何も映らない。見つめていると結構酔います(^^;これ、王兵の「鳳鳴」のさきがけというべき作品なのですが、王兵ほどは成功してない。そういう意味では王兵、すごい人なんだなあ。まあ、クリスの先駆あればこそなのでしょうけど。

 最高に悔しかったのが、この後に続く「笑う猫事件」とか「集合論」とかSFタッチの作品群が見られなかったこと。まあ思えば、クリス・マルケルだって本当は全部見たかったし、「ともにあるcinema with us」とか「アジア千波万波」とか、見たい作品が目白押しなのにぜんぜん見られなかった。

 今回最大の不満は、各プログラムが魅力的すぎて、何を選んでも欲求不満が残ってしまったこと。裏番組録画とかできないもんですか(^^;

 それでも見た作品の中から今回の収穫を検証してみれば、「アンドレイ・アルセニエヴィッチの一日」「アレクサンドルの墓:最後のボルシェヴィキ」「サン・ソレイユ」「殺人という行為」「蜘蛛の地」「物語る私たち」あたりでしょうか。特に「殺人という行為」は、劇場公開されそうだなあ。

 明日グランプリ発表ですね。要注目。
posted by てんちょ at 00:59| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする