2017年03月15日

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

 なんかびっくりするほど不評なのか、近所の映画館はあっという間に終わってしまった。というわけで、慌てて都会の映画館へ。



 例によって画面はキレイだしCGも映えるのですが、なんか最近のバートンにありがちな空っぽ感がこの作品もずいぶん感じてしまう。「ビッグアイズ」は久々に出来が良かったんだけどなあ。今回は自分の本領に近いぶん、いつものノリでルーチンな作り方をしてしまった可能性が高いということかもですね。

 近年の作品で顕著に目立った「勝ち組の高慢」ぶりはあまり感じなくて、そこは良かったんだけど、なんか特に前半は眠くて困りました。なんかバートンもパターンにハマりつつある感が否めない。本当「だから何だ」感が否めないというか。クライマックスの闘いもイマイチひねりがないし、かつてのような世の中への恨みに満ちたまなざしというのはなくなってしまったかもなあ。バートンも大人になってしまったということです。まあ、これからも新作が出るたびにブツブツ言いながら観ることになるのでしょうけど。
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2017年02月12日

「虐殺器官」

 はい、観てきましたー過去二作はまあまあの入りぐらいだったんでナメてましたね。前日にもう劇場が埋まってる!! まあ当日行って空振りにならなかっただけマシだけど。



 全体としては、「なんかハリウッド映画をアニメにしたみたいな感じの絵作り」でした。まあ、それはもともと伊藤計劃の原作がそんな感じだからしょうがない。なんかめっちゃ俳優に演じさせたCG映像みたいな動きだったんだけど…… 特にアクション場面。まあゲームっぽいそらぞらしさを出すという点ではわざとやってる感もあるのでしょうけどね。

 なかなか食えない作品だと思います。ただ、原作がもともとそうだから言うまでもない。逆にモンティパイソン度はもっと高くてもよかった気がする。同じ実写でも、これだと「あすかりんのこぜにかせぎ」の方がずっとモンティパイソンですわ(^^;

 あ、スネーク感はよく出てるんじゃないですか。ミリタリゲームくわしくないんで知らんけど。ただ、オッサンばっかりのキャスティングはやたら豪華で、金曜ロードショーの吹き替え見てるみたいだった。

 三作通して見ての感想では屍者の帝国>虐殺器官>>>ハーモニーって感じ。ハーモニーだけ飛び抜けて失敗作ですが、あと2本は十分見る価値あります。特に今回は伊藤計劃のキモですから、理論面がじっくり料理されて、そのぶん作画面はおいてきぼりになったかもしれない。まあ、一度頓挫した企画ですからしょうがないんですが。ただ、日本人が一人も出ないアニメって、作画がやたらリアルなだけに、不思議な気持ちになりますね。そして、アメフトのテレビ中継場面でのアナウンサーと解説がマジで本物なのか(^^; なんか力の配分ポイント間違えてんぞ。
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2017年01月06日

「ドント・プリーズ」

 やー昨日は満杯で入れず、今日は出直してみたらガラガラだったんだけどなんだこの映画(^^;



 さすが前評判が高かっただけあって、アイデアは大したものだと感心しましたよ。要するに「座頭市の家に忍び込んでしまった泥棒三人組の災難」の話。それをホラータッチのサスペンスで見せるというアレンジの面白さがすべてと言っていいでしょう。こんなやり方があるとはねえ。まだまだプログラムピクチュアにも可能性はあるってことだ。

 ハリウッド映画で今時80分ちょっとという尺の短さも大変好ましかったですしね。登場人物もとっても少なくて、事実上ほぼ四人だけ。最後のキャストのところにズラズラと名前が出てきて「え?」と思いましたけど、ああなるほど、スタントマンがいっぱい出てたのね。CGじゃなくて。そういう手作り感も大変に好ましい。

 実は、もっと大勢で押し入って次々殺されていくのかと思っていたので、わずか3人で80分もつのかと思いましたけど、次から次へと、小道具をうまく使った見せ場の連続でしたね。まあ「座頭市」の国の人間としては、強盗は皆殺しになって終わりが好ましいと思うんだけど、ホラー的な文脈から言うとこういうのもアリかねえ。続編あるってことか。

 ハリウッド映画はダラダラと背景を説明して本題に入るまでが長い場合が多いのだけど、結構スムーズにスパっと本題に入っていったのは良かったです。意外といまやこういう由緒正しいB級がないですねえ。とにかく短いので、ちょっと退屈でなんかいい映画ないかな、という場合には大いにおすすめの一本です。特にこの冬はあんまりいい映画がなかっただけにね。
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2016年12月01日

角川映画祭「悪霊島(オリジナル版)」

 横溝映画は結構追いかけてきた身にしてみれば、これを見られずに終わっていたのは結構「負い目」といえば「負い目」。本日、大阪のシネ・ヌ―ヴォであった「角川映画祭」で見てきましたよ。



 そう、故あって、なかなか完全な形でソフト化されず、当時見逃した身としては悔しく思っていたので、このたび非常に美麗なフィルムでオリジナル版が鑑賞できたのはうれしい限り。

 確かにこの映画、原作にはない「レット・イット・ビー」が重要な役割を果たしていて、ラストシーンですばらしい効果を発揮しています。確かにこの映画はこうじゃなきゃいけない。本当に万感の思いでした。当時はなんかオドロな怪談映画みたいな扱いでの宣伝でしたから、引いてしまって行かなかったんだけど、観ておけばよかったなあ。でも、あの万感こもったラストは当時子供で見てもポカーンだろうなあ。

 もちろん横溝映画のベストと言っていい「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」と比べてどうか、と問われたら「さすがにそこまでは行かないかも」という感じですが。あれは伏線のさりげない見せ方が本当に絶妙だった。

 今回は画面が非常に華麗で美しいのですが、伏線の見せ方が丁寧すぎて「ここが証拠ですよ」という感じになっているので、誰でも割とあっさり真相がわかってしまう。まあ、混乱をきたしてなぜ真相にたどりつくのかさっぱりわからない、なんてことはないし、いくらなんでも無理筋、ということもない。ミステリ映画としては十分に合格点で、「手毬唄」と「獄門島」の間ぐらいの出来かなあ。

 なにしろ原作はすさまじく錯綜していて、私も細部は忘れてしまっていたので、今回見て「ああ、そうそうこういう話だっけ」と頭を整理できたのは非常にありがたかったです。真犯人はけっこうあっさりわかりますが、共犯者と例の双子の登場のさせ方が実にうまい。篠田正浩の本来の作風とは違いますし、代表作はと問われるならばやっぱり「心中天網島」となるでしょうけど、やっぱり和装を撮るのがうまいのは強い。隠れた秀作として後世に伝えるべき作品と思います。

 「角川映画祭」は今後も各地を巡回していくと思われるので。見かけたらぜひ。あ、「蔵の中」もいいです。
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2016年09月20日

「ライト/オフ」

 なんかヒットしませんでしたねーもう今週末で終わりのようで。慌てて行ってきました。



 でも無理して行って良かったですよ。まだの方で行く余裕のある方はぜひ。低予算ホラー映画って「パラノーマル・アクティビティ」でだいたいやれることをやってしまった感があると思っていたんですが、まだこんな余地があるんですねえ。

 主要登場人物はわずかに5人、主な舞台はたった二カ所。それでここまで怖くてオリジナリティのある表現が可能になるとは。暗闇にだけ出られる怪物の話、とはまた古風なと思いましたよ最初は。でもあまりに前評判がいいので観てきました。地味すぎたのか一か月もちませんでしたけど、観られた人はラッキー。今時スプラッタ要素を使わずにここまで怖い作品ができるとはお見事。

 確かに暗闇への人間の本質的な恐怖を利用しているあたりアイデア的にはやや凡庸かと錯覚してしまうんですが、普遍的な恐怖であるぶん、うまく使えばまだまだ強力に効くことを証明してくれる作品でした。でもこれ、間接照明主体の欧米圏だから通用する話ですよね。部屋の隅々まで煌々と明かりで照らす日本だとあり得ない。間接照明だと灯りをつけてても薄暗い部分がいっぱい残っていて、どこから襲われるかわからない。これが怖い。そして、どうやって灯りを見つけて反撃していくかというのもある意味で勝負所。そういう見どころポイントがいくつもしつらえられているのがこの作品のうまさ。

 ある意味非常に通俗的なびっくり箱映画なのですが、その分、うまく作りこまれていると非常に「効く」ことになります。この手の映画では勝負どころがふたつあって、それをうまくクリアできるかが作品の出来を決めることになります。ひとつには怪物の成り立ちと発生の理屈づけ、そしてもうひとつにはどのようなオチで締めるか。どっちもなかなか唸らされる秀逸さでした。今時ここまでできるのか、それもホラー映画の文脈から大きく外れることなく。まさに王道中の王道で、ここまでできるということに勇気づけられるし、大いに喝采したいところです。お見事でした。もともとは配信動画のショートホラーとのことですが、次回作も楽しみになりました。
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2016年09月12日

「ソング・オプ・ザ・シー 海のうた」

 海外アニメ見るのも久しぶりです。海外アニメにはかなり愛想尽かしてたつもりだったんですが、まだまだこういう才能が生まれてるんやなあと侮れない気分です。アイルランドの監督による北欧数か国合作の大作です。



 CG主体になってから、海外アニメはすっりペラペラになって魅力が減ったと思っていたのですが、ようやくうまく使いこなした層が出てきたというところなのでしょうかね。ED映像でちょっとメイキング映っていたんですが、その通りなのだとすると、日本のアニメとおなじく、線画を手で描いて、そこにCGでエフェクトを乗せていく感じ。

 アイルランドの民話をベースにしつつも、兄妹の成長物語にもなっていて、大人も子供も楽しめる、非常にクオリティの高い作品。アイルランドには、妖精がアザラシに化けて人間の世界にやって来る、という伝承がありまして、実写映画でもジョン・セイルズの「フィオナの海」という秀作がありました。この作品では、妖精の母が幼い兄妹を残して海に帰ってしまい、妹は次第に人間離れした行動が目立ちはじめます。そのころフクロウの魔女・ジンが土地の妖精たちを次々と襲って石に変える事件が頻発、妖精たちは目覚めたばかりの妹の力を借りようとするのだけど、力の源となるコートを父親に捨てられてしまい、兄妹は力を取り戻す旅に出ることになります。

 キャラの目が大きくてかわいらしくアクションが派手なのは、どうやら日本のアニメの影響らしい。そんなわけで、我々が見ても大いに楽しめます。
 しかもアイルランドの紋様をベースにしたと思われる非常にグラフィック性の強い画面で、固定した背景の前でキャラがスタスタ歩くのではなく、キャラと背景が一緒にぐねぐねと動く感じ。多少CGの助けを借りたとしても、本当、気が遠くなるような作業が必要だったはずだし、そもそもきっちりと画面構成ができていなければ、ここまで緊張感に満ちた画面はできなかったはず。
 魔女・ジンの顔がどんどんでっかくなって迫ってくるのなんかは、宮崎駿の影響でしょうなあ。でも、ただのマネになっておらず、しっかりオリジナリティを得ているのがすばらしい。上映は限定的ですが、お近くの方はぜひ。あ、子供向けで英語も簡単なので、ぜひ字幕版をお勧めします。ケルト好きの方もきっと楽しめるかと思います。
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2016年08月23日

「ハイ・ライズ」

 久々に映画です。すいません(^^;



 まあ、NWSFファンとしては行かないわけにはいかない。たとえ壊滅的に客が入っていなくて、ヤフー映画の星取り点数が2点台だったとしても。

 SFファン行った方がいいと思いますよ。そうでないと後後悔する。ただ、バラードの映画化は難しいなとしみじみ思いました。「太陽の帝国」は論外としても、「クラッシュ」の微妙さには近いものがあるかも。ただわたし、「クラッシュ」は結構好きなんで。

 「クラッシュ」と「ハイ・ライズ」に共通しているのは、どっちも原作に忠実に映画化した結果、かなり狭い世界の話になってしまったこと。あと、「ハイ・ライズ」の暴力描写って、映像でそのまま見せるとかなり安っぽくなるのねと痛感しました。あれは文章でしれっと書くから変なおかしみと「おいおい」という感じの風刺感が出るわけであって、そのままやると本当にミもフタもない。

 「ハイ・ライズ」は基本的に高層ビルの高層階に住む上流階級と下層階に住む下流階級が戦う話なんですが、両者が戦い始めて以降、どちらもボロボロになって区別がつかなくなってしまうのが最大の問題。両者がそれでもアイコン的なものを手放さなければ大分印象は違ったと思う。シルクハットと鳥打帽とか。でもそんなものはなかったので、最後はもうグダグダ。

 住民の転落死が起きても外部からの干渉が一切ない、ということを指摘するところは興味深かったし、どうやらマンションの外でも何か異変が起きているらしいことをほのめかす映画オリジナルの演出は良かったと思います。

 映画的には、この転落以降が完全にグダグダなのですよね。ところどころ、プールのシーンとかはとてもいいんだけど。あと、この作品のキモはやはり冒頭「電話帳を焼いて犬を食いながら」というところが大切なので、犬だけ再現しても意味がない。やはり大事なのは電話帳だったと思うのですよ。

 バラードの作品は、むしろ原作に忠実にやらないほうが、原作の気分に寄り添える気がしました。本当、活字ならではの表現なので。「結晶世界」とか、一見映画向きですけど、映像化すると「それがどうした」という感じになるのが目に見えてるもんなあ。

 もし次になにか映画化するのであれば、思い切って「残虐行為展覧会」とかチャレンジしてほしい。ただし、主人公は作品を書いているNW時代のバラード本人にして、そこに作品が入り込んでくる形にするとか。そういう点では、「クラッシュ」ってそれなりによくできていたんだなあと、しみじみ。あ、でもファンは観ておいた方がいいと思いますよ。高層ビルの特撮演出とかは結構いいです。 
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2016年08月02日

「シン・ゴジラ」

 あまりに評判がいいので観てきたんですけど…… ダマされた(−−;



 ネタばれが、ネタばれがって言われてますけど、これはっきり言ってストーリーといえるようなものはありません。冒頭いきなりゴジラが東京に襲ってきて(理由は最後まで説明されず)、政府と官僚と自衛隊が右往左往しながらなんとか食い止めるさまが、延々と退屈な会議と印象的な特撮を交互に挟む形で描かれていきます。

 登場人物に市民はおらず、鼻持ちならない官僚、俗悪な政治家、粗野な自衛官、バカなアメリカ特使。この四種類しか登場しません。しかも「踊る大捜査線」かなんかかと思うような感情のこもらない早口のセリフが全員に強制されており、ストーリーも展開もさっぱりわからない。全員不愉快な人物しかおらず、観ていて非常にストレスがたまる。しかも主人公と言えるような人物は皆無。こんなマイルドヤンキーみたいな連中に国家が、市民がと御託を言われても腹が立つだけ。市民は避難所や逃げ惑う場面でチラチラ見えるだけです。

 ベテラン俳優までことごとくこれですから、おそらく壁に張ったセリフを読み上げさせているんでしょうね。それのどこが面白いとおもったんだか知りませんが。怪獣映画は、やっぱり一市民の視点から描いていかないと、怪獣の巨大さと畏怖の感情が表現できません。この点金子ガメラと金子ゴジラはうまかった。

 はっきり言ってストーリーは支離滅裂。まったく評価に値しません。大自然への畏怖という点でも、前回のハリウッド版ゴジラの方がはるかに優れてました。文明批評とアイロニカルな視点というところでも一本芯が通っていましたし。

 ただ、特撮場面の各ショットは確かに印象的な絵づくりはなされているんですよ。庵野という人は、そういうビジョンはいっぱい持ってるんでしょうね。ただ、あまりにも人間嫌いが過ぎて、ドラマというべきものがまったく作れない。それはエヴァも同じですが。せっかくのいい絵が台無しです。

 どうかもっとドラマのうまい監督に、一市民の視点から描いたドラマパートを撮り直させたアナザーバージョンを作らせてほしい。

 しかし、本日映画の日だからどんだけ混んでるだろうと気負って行ったら、もうそれは見事にガッラガラでした。田舎の映画館じゃないですよ。大阪・梅田の一番館。475人入れるスクリーンに、たぶん80人ぐらいしかいませんでした。この映画がヒットしているってどこでのことなんだろう。
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2016年06月02日

「神様メール」

 久々に映画の日に休みがもらえましたので、なんか面白そうな映画はないかなーと行ってきました。



 タイトルだけ聞くとものすごくダメなチャラい日本映画みたいなんですが、なんとこれがベルギーの映画! ベルギーの映画なんてそもそも見たこともないですよ。アニメならラウル・セルヴェが有名ですが。

「夜の蝶」ラウル・セルヴェ作品集 [DVD] -
「夜の蝶」ラウル・セルヴェ作品集 [DVD] -

 今回の作品は、なんと神様が現代のブリュッセルに住んでるけど、ものすごいダメ親父で娘が反乱を起こすという奇想天外なストーリー。いいのかキリスト教圏で。マジメな人が見たら怒りそうなストーリーですが、むしろ現代文学とかナンセンス好きの人にはぜひ勧めたい作品。実に軽妙で、ケラケラ笑っているうちにスカッと終わってしまう。

 とことんダメな暴力親父に女たちが反乱するというストーリーが現代風です。これが一家庭のお話ならただの教条的フェミニズムなのですが、ことが神様の話なので、全編奇跡の連続。神様はパソコンオタでシムシティみたいな感覚で天地創造をして気晴らしに天変地異や災厄をまき散らす。

 それに対して娘(10歳)は、下界に降りて使徒を6人見つけ、彼らに「新・新約聖書」を書かせて神の権限を上書きしてしまおうという大胆な作戦に出ます。そして娘が一人使徒を見つけるたびに、ダビンチの「最後の晩餐」に一人ずつ描き足されていくという展開がまたおかしい。しかも新しい使徒たちは殺し屋とか性倒錯者とか変な人ばかりで…… まあともかく見てほしい。おかしなものが好きな人なら絶対に退屈はしないはず。往年の仏大女優カトリーヌ・ドヌーブが爆笑の珍妙な役どころで出るのも注目。

 オチもなかなかイカしてるのですが、ただまあ、とりあえずウズベキスタンに謝れと(^^;
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2016年05月21日

「GARM WARS The Last Druid」

 押井守の新作、なんと初日に行ってきました。ファンの鑑やな、オレ(^^;



 最近の押井作品の吹き替えが極めて微妙だったので、とりあえずあえて字幕版で。もしよほど吹き替えの評判が良ければそちらも行きますが。少なくとも字幕版は棒ゼリフではないので、事故物件とは化していません。ただ… 問題は内容なんです。つまり、ストーリーと呼べるものがない。

 まあもともとの18年前の予告映像見てると、期待が膨らんでしまうのも無理はない。今回の予告映像もなんかすごいし。確かにものすごい画面を作ることにかけては相変わらず健在ですよね。心がざわざわする。ただ、この作品はやっぱり頓挫しただけのことはあって、企画にどっか欠陥があったんだと思う。完成した作品はどこかうつろで、出し遅れの証文と化していました。

 システムだけ残してシンプルなストーリーに変更しマイナーチェンジした「アヴァロン」として完成させた当時の製作陣の判断は間違っていないと思う。確かに「アヴァロン」は衝撃的だったし、デジタル時代の見事な露払いとなりました。

 ただ、問題は押井守自体がここからこれ以上のものを作れなくなってしまったことで。アニメも「イノセンス」がひとつの頂点となって、これ以降は、ほぼマトモな作品がなくなってしまう。

 今回も、18年前にこの映像ができていれば「すごい」となったでしょうが、今やこれぐらいは「ちょっと上等」ぐらいの画面でしかない。そして、やたらナレーションが多くてストーリーがさっぱり頭に入ってこないあたりも押井監督らしくない。非常にアイロニカルなラストは「ちょっといいな」と思ったら、まったく意味の分からないエピローグが付いて「完」。いや、わかんない(^^;

 わかんない押井守はウエルカムのつもりだったんですけど、魅力的に謎を提示するスマートさがすっかり失われたなあとちょっと残念に思いますよ。初日からガラッガラの劇場がなんとも痛い。そして観客に中高年が多いこと。うん、みんな歳取ったよね監督も含めて。それでもこれからも付き合うのだろうけど。
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2016年03月23日

「牡蠣工場」

 なんかこう、珍しくも新作映画なんかを。



 想田和弘監督作品の「観察」シリーズもこれで6本目。ん?思ったより進んでるな、と思ったら、「演劇」の1と2は別にカウントするのね(^^;

 フレデリック・ワイズマンを敬愛し、ノーBGM、ノーインタビューを貫いてきた想田監督ですが、今回はかなり雰囲気が違います。とにかく、撮られる側がカメラを意識しまくってる。想田監督も積極的にカメラ超しに話しかけ、事実上のインタビューとなってます。まあ、だからこそ「東日本大震災でこっちに来た」とか「中国人は二人まで雇うことにした」とかいう話が聞けるわけですけど。

 今回なぜそうしたのかなと思ったんですが、今回は「撮られる」ことを意識することにある程度意味があるわけです。呉の牡蠣工場で中国人研修生が殺人事件を起こしてしまった直後だから。

 実際取材は大変だったようで、とにかく「おっかなびっくり」な様子で取材を受けている様子そのものが重要な時代の記録でもあるという。しかし、普通の人は牡蠣剥きができるようになるのに半年かかるところを、中国人たちはわずか数日で覚えてしまうというのはなんかすごいと思いましたよ。パートのおばちゃんたちも認めてましたけど

「家族を食べさせなあかんと思うと、人間必死になるんやね」

となるほど。見れば見るほど過酷な環境で、こんなところで産業としての牡蠣は支えられているんだなあとしみじみ思ってしまいましたよ。なんだかんだいって、こうした人々なくしては、牡蠣は食べることがかなわない。改めて労働に敬意を。
posted by てんちょ at 23:42| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月23日

「ハーモニー」

 映画評ズタボロ。計劃信者の怒りを買いまくっていると聞いてまるで見に行く気がしなかったんですが、このままではすぐに打ち切られてしまうと慌てて行ってきました。



 映画館超満員でしたよ。心配して損した(^^; 相変わらずの熱気で、原作未読のアニメファンも来ている模様。まあ実際、声優陣は豪華ですからねえ。前回は女性向け、今回は男性向けですが。

 みなさんが散々期待値下げてくれていたので、「あれ?そこまで言うほどひどくないよな?」というのが初見の感想でした。そういう意味ではよかったなあ。むしろちょっとホッとした気分。もともとなかむらたかしの演出方法が嫌いで、クセの強いキャラクターデザインもかなり疑問に感じていたのですが、実際に映像の形で見てみるとそれほど悪くない感じ。「ファンタジックチルドレン」とか、ヘンにベタついたキャラクターデザインにかなり生理的嫌悪感を抱いたものでしたが。まピンクの繭がズラリと並んだような異形の健康ディストピア日本は、なかむら監督の気持ち悪さを逆手に取った作戦でなかなか良かった。確かにこの都市に監禁されたら一発で自殺衝動が発動しそう。

 アニメファンの間からは「サイコパスと似てる」という指摘が出てましたけど、これは先に映像化した「サイコパス」の勝ち。むしろ伊藤計劃的アイデアをオリジナルアニメ化したのがサイコパスなのですが、そんなことを言っても始まらない。

 ある意味、バカ正直に頭から順に映像化していったなかむら監督が悪い。批判の大半もまずそれですが、ミァハの長い長いモノローグを延々声優に朗読させるのは映画として敗北である気がする。押井守のようにそれがドライブ的な効果を発揮しているのならそれでもいいのですが、そういう事態は起きていません。ただただ眠いだけ。せっかくの長台詞も半分くらいしか頭に残らないし。「屍者の帝国」のように、台詞をアクションとしての映像に変換していく作業が必須だったはずです。オーディオドラマじゃないんだから。

 あと、ラストシーンは、まさに活字で描くしかないもので、どう料理してくるかなあと思ったんですが、ああ単にパソコン画面で逃げましたか。映像として何かを見せる方法はあったと思うのだけど。

 それでも全体には破綻が少なく、なかむら作品としては完成度の高い仕上がりになっていたのではないでしょうか。「屍者の帝国」のホモに対して今回は百合、らしいんだけど、かなり愛情表現はあっさりめ。これならまどマギの方がはるかに濃密です。「愛してる」とは言うけど、女同士の友情とか共感に近いものに感じられましたねえ。

 さてそして、大本命の「虐殺器官」は来年公開予定とか。最後はぜひキレイに締めてほしいなあ。
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2015年11月15日

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」

 最近、ドキュメンタリーが面白い。これもそんな一本です。



 生前、まったく自作を発表せず、無名の乳母として世を去ったものの、撮りためていた膨大なスチール写真がオークションに流れ出したことから一躍注目されるようになった幻の女性写真家。子守りの傍らに街に出て様々な人々の一瞬の姿を忘れられない表情で切り取ってみせています。確かにこれはとんでもない強烈さ。

 生前の彼女はかなりの変人だったようで、巨体にブーツという異様な風体で闊歩し、ところかまわずシャッターを切りまくっていたらしい。ところがその写真を見せる気はまったくなかったようで、結婚もせず、寡黙に暮らし、プライベートに触れられることには極度に嫌っていたようで。だから、雇い主たちは彼女がどんな写真を撮っていたのかはぜんぜん知らなかった。

 不思議に矛盾した性格だったようで、一見人間嫌いに見えるけど、作品からは非常に温かい人間へのまなざしを感じる。たぶん、地球にやってきた宇宙人のような好奇心をもって外側から人間世界を観察していたんだと思う。観察対象としての人間には深い愛情を持っていたけど、その中に溶け込むことはできなかった。

 大量のセルフポートレートやムービーも残しており、彼女がどんな人間であったかは、残された膨大な作品からある程度組み立てられてしまう。人とほとんど交わらない生涯だったにも関わらず。ここが実に面白い。しかも非常にインパクトのある大女であるわけですしね。観ていて「ヴィヴィアン・マイヤーなんて写真家は実はおらず、これはフェイク・ドキュメンタリーなんじゃないか?」とか思ってしまいましたよ。

 もちろんそんなことはなくて、実際に写真集も没後に何冊か刊行されてる。今後、日本でも紹介されていくことになるのでしょう。なんか劇映画で彼女の生涯とか撮っても面白いんじゃないか?とか考えた。こういう不思議な巡り合わせによって偶然が生み出していく物語。現実って面白い。
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2015年11月02日

「岸辺の旅」

 もう終わりらしい、というわけで話題作見てきました。確かにまあ、黒沢清ファンとしては久々に満足できる完成度だったかな。



 現実を侵食する非現実、という黒沢ホラーの文脈を幽霊ファンタジーの文脈に応用した作品。なんか少女マンガみたいだった。まあそれでもここ最近の雇われ作品よりははるかにマシ。普通に考えれば幽霊の亭主は主人公にしか見えないはずなのだけど、みんなに普通に見えてて、実はこの世界では幽霊が人間に混じって当たり前に暮らしてると。いかにも黒沢ホラーな世界観を「なんかこええ」じゃなくて、「どっかほのぼの」に仕上げてるのがミソ。

 このままあちこち廻って幽霊の人々を成仏させてまわるのかな、とか思っていたらそうはいかない、意外と一筋縄では終わらないのがこの作品てことですかね。実はこれ、主人公が死んでるんじゃないかと思ったらそういうわけでもなかった。意外とふつうに「女性の自立」という当たり前のオチで終わった。

 それでも、なんかファンタジーとしていい感じの締めだったので、割と結末はさわやか。いいもん見た、という感じでした。まあ、「カリスマ」とかの衝撃に比べたらどうしようもないですが。次回はまた久々にエッジの効いたホラーが見たいなあ。
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2015年10月22日

「屍者の帝国」

 なんともう上映終了なんですってーというわけで慌てて行ってきました。なんか前評判の割に大コケで一か月もたなかった、とか言われてましたけど、ウソつけ劇場満杯でビックリしたよ!どうして興業打ち切る必要があるのかさっぱりわからん。



 なんかネット評は賛否まっぷたつだったのであまり期待してなかったんですが、なんだおお、面白いじゃないですかこれは。思わずパンフ買ってしまった。原作と著しく違うと拒否反応起こしている人もわかるんですが、文字による記述に重きを置いた円城塔の表現方法と映像で語らなければならないアニメは根本的に違う表現だということを理解しなければ。

 開巻いきなり爆弾屍者の応酬と馬車チェイスという派手な幕開けで、語りを動きに翻訳しようという制作陣の強い意欲を感じましたよ。ええ加減な気持ちで上澄みだけすくっているのと、とことん読み込んだうえで取捨選択しているのは違うし、それは観ればわかる。そういう点では見事だと思います。実際、重厚な絵柄は実に見事だし。

 「テレビで観たかった」という意見もわかるんですが、なんせこの内容、テレビではコードにひっかかりまくりでまったく何も描けなかったでしょうね。劇場版だからこその怒涛の表現まさに拍手。

 なんせ刊行直後に一回読んだきりでしかも結構難しい話でしたから、すっかり忘れてしまっていまして、「あれーこんな話だっけー」とずいぶん動揺したんですが(^^; いや、いくらなんでもMが悪役とかはないから!(笑)

 そしてこんなにほもほもしい話だったかなあと。いやそんなわけないわ(^^;腐女子のみなさん大歓喜みたいですが。ワトソンとフライデーがホモ友で、死別したフライデーを取り戻そうとして、エージェントの世界に飛び込むと。
 ただ、媚というよりは、「うまいな」とは思ったんですよ。原作では、ワトソンの動機がどうもはっきりしなかったので、ヤバいくらいの執着的な愛が動機なら、なるほどここまで突っ走るわなあと。この冬は、ワト×フラ本が大量増殖しそう。

 原作信者の方は怒るかもですが、私は大いに評価したい。ハダリーの描き方とか、原作よりかっこよかったぐらいですからね。しかしなんでもう終わるんだ。もったいない。
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2015年08月17日

「野火」

 終戦記念日らしい映画をと観てきました。まあ塚本晋也好きだからなんですが。



 いやー予想以上に面白かったなあ。今時戦争映画でここまで面白くて見入ってしまうというのもすごいし。設定自体はゲンナリしてしまうほどシリアスなんですが、それがここまでぐいぐいと見せられる作品になっているというのは塚本監督だからこそ。

 日本の戦争映画は伝統的に文芸映画のスタイルで描かれていることが多くて、だからこそ見ていてつらいのだけど、これは本当にすごかった。なんか感覚的に戦争のおぞましさと恐怖が感じ取れる。90分を切るシンプルな構成もいい。

 終わったあといろいろ考えていたのですけど、日本の戦争映画の伝統であるリンチとかストレスのたまるシーンが意外に少ない。わけのわからないうちに最果ての見知らぬ島につれてこられて、よくわからないままに追い立てられ、ひたすら逃げ回る羽目になる。しかも敵の姿はまったく見えない。これは怖い。これもまた戦争の一面なのですが、こういう形で戦争を描く例はあまりなかったなあと。実に効果的に恐怖映画の表現をうまく用いた気がする。

 戦争は怖い。ぜったいに行きたくなんかない。そういう傑作がこうして生まれたことは喜ぶべきことです。しかも、ちゃんと映画として見応えのあるものになっている。必見です。
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2015年05月02日

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦

 ながーく付き合ってきたこのシリーズも、これにて完結。えーと、これで終わり?



 うーん。これで最後と言われるとちょっとなあ。もう少し余韻とかそういうのはないものか。この困惑は、むしろOVA第一シリーズの最終話が近い。押井監督、いろいろ語り足りてないんでないの?

 これならばプロローグの前章の方がずっと面白かった。要するにプロローグで盛り上がった期待を十分に受け止め切れていない。アニメ版「パトレイバー2」のように、薀蓄部分がアクションの抑制を補強する材料となっているわけではないですしね。

 「パトレイバー1」でお蔵入りしたアイデアの「帆場は実は死んでた」ネタが唐突に使われていたのも大いに疑問。いや、あのアニメ版ではそれなりに意味があったかもしれんけど、ここではなんの意味もないでしょう。灰原は実態を持たない帆場と違って明らかにいまこの場に存在している個人なんだから。ただ身元不明になったというだけで、異様な驚きにはならんでしょう。

 そして、ステルスのヘリがいくら暴れまわったところで、「ソフト的な戦争状態」が作り出せたとは思えない。そのあたりの理論は、アニメ版の方で語りつくされているしはるかに上。そもそもテロ時代以降にこんなことしても「だから?」ですよね。

 うーん。監督、「ガルム戦記」の方に意識が行ってしまったんですかね。そっちは期待しますんで。早く公開されるといいなあ。
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2015年01月26日

「ホビット 決戦のゆくえ」

 ようやく見ました。3Dはイヤなので字幕2Dで。



 しかしなんだろう。「指輪物語」の時のような深い感動はなかったなあ。壮大な蛇足を観た気分。いや、悪くはないんですよ。ただ、龍が冒頭三分で倒されるってどうなんよ、という感じ。ちょっとがっかりしてしまった。なんのためにここまで引っ張ったんやーと。二部作でよかったんとちゃう?(^^;

 どうせならドラゴンとサウロン軍とドワーフとエルフの三つ巴の戦いとか観たかった。

 確かにもともとの原作は子供向けということもあってそのまま映画化するとショボいし腰砕け。でもフロドの盗賊スキルで戦争を回避するとか、結構小粋でいいラストと思ったんだけどなあ。映画版では戦争は起きてしまうし、被害は甚大、ドワーフの仲間たちはバタバタ死んでいく…そんな。

 ここまで大風呂敷広げた以上、きちんと指輪物語に繋げてみせるというジャクソンの心意気は立派。指輪戦争につなげるのであればこういう殺伐たる苦い結末にならざるを得ないというのはわかるけど…それでも原作の能天気な楽しさもどこかに残してほしかったなあ。重厚に終わらせた手際はすばらしいと思うけどちょっぴり複雑。そんな感じ。

 ともかくもこれにて指輪物語は六部作として完結。あとをまだ続けるのであれば、シルマルリオンでもやるしかないのだけど、たぶんそれは腰砕けになるからやめたほうが…とでもこれだけヒットした後となれば作られてしまうかもですねーそれはそれでまあまた観るかもしれない。

 残りは未完の断片ばかりなので、かえってジャクソンの思うがままにできていいかもしれません。
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2015年01月20日

「THE NEXT GENERATION -パトレイバー」第7章

 これにてシリーズは終了。でも最終話は劇場長編の序章かぁ。



 アニメ版とストーリーをくっつけてきて、なおかつ違和感を感じさせなかったのはある意味立派。実写版がアニメ版と地続きに感じられたというのは結構大したものかもしれない。

 相変わらず劇場はガラッガラで、この企画大丈夫かと思わざるを得ませんでしたが、個人的には非常に楽しめた一年でした。この一年でじっくりキャラが描きこまれたこともあって、かなりメンバーに愛着が持てるようになったのはうれしいことです。後藤田の策略家ぶりや、明のまっすぐさは、オリジナル版のキャラより立ってたんじぉないかとすら思えました。個人的にはカーシャの存在感が一番お気に入りでしたけどね。

 オリジナル版がOVAでスタートした時は「紅い眼鏡」にハマってたこともあって「特車二課の解散前夜をこそ描くべきだ」とか言いまくってたものでしたが、しかしまさか、あれから三十年を経て、本当に特車二課の解散前夜が描かれることになろうとは…

 何にしても五月公開らしい長編版は楽しみになりました。結構迫力ある面白いものになりそう。そして南雲さんも出るのか、声だけは。
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2015年01月03日

「天才スピヴェット」

 結構大ヒットした作品ですが、なかなか時間が取れず、ようやく見てきました。ミニシアター系だけど3D。監督は「デリカテッセン」「アメリ」「エイリアン4」の仏監督ジャン・ピエール・ジュネ。結構好みの監督さん。フランス資本だけどでも英語。まあ舞台はアメリカなんだけど…「フランス人が考えたアメリカ」みたいなヘンテコなセカイが面白いといえば面白い。



 ただし…うーん。やっぱり3Dは好きになれませんねえ。オモチャにしか見えない。ミニシアター系なら少しは違うかと思ったけど、あんまり変わらない。ていうか、これ3Dである必然性があまり感じられません。

 画面から剣を突きだしたり、「ほら3Dですよ〜」とばかりにいろいろ見せてくるんだけど、あまりうまくいっておらず、うまくとびだしてないし、「別に飛び出さなくても話はできるよね?」という感じ。

 せっかくジュネらしい作りこんだケッタイなセカイが面白いのに、画面に集中できず入り込めませんでした。実に残念。映画評では3Dを勧めてましたけど、私としては「2Dで充分」と思う。

 「ど田舎に住んでる天才少年が都会に出て見世物扱いされるけど、これまた天才にして変人の両親と和解して助け出され、田舎に戻る」

 というそれだけの話。子供向けの童話を大人のセンスでちょっとひねった感じですね。これ、主人公がニューヨークに着くまでの旅のシーン、もっとはしょってもいいよね…全体にだらだらした印象になり間延びしてしまっている。105分は長い。たぶん75分ぐらいがちょうどいい小品じゃなかろうか…
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2014年12月28日

「ゴーン・ガール」

 ハリウッドきっての名監督デヴイッド・フィンチャーの久々の新作です。やっぱり映画館は満杯。結構な長尺なのになーブランド化してる。



 さすがサスペンスを得意とするフィンチャー、実に手慣れたものです。個人的には「ソーシャル・ネットワーク」が最高傑作と思ってますけどね(^^;

 妻の失踪に始まるものの次第に夫が疑われてきて…というあたりまでが予告でも描かれていたパターンですが、ここから先が実は見応えたっぷりのどんでん返しの連続。くわしく書けないのが残念ですが、「あれ、ここで終わるの?」とちょっと拍子抜けしたのも事実。ここまで引っ張ったのであればもうひとひねりさらなるどんでん返しをと期待したいところですけど、しかしそれをやると普通のハリウッドサスペンスになってしまうんですよね。ルパン三世みたいにお互いにビリビリ仮面のはがしっこという感じの。

 しんみりとイヤーな感じで終わるのはよく考えてみればいかにもフィンチャー演出ではあるのですよね。そういう意味ではらしくてよかったというべきかな。木戸代はきっちりカバーしてくれるのがフィンチャーのいいところ。知恵比べ的展開もなかなかいい。メインキャラがすべてエキセントリックでIQが高いというところがポイント。あ、主人公はそうでもないのか。まあ、よくがんばった!(^^;
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2014年12月18日

黒澤明映画祭「乱」

 というわけでもう一本の劇場未見黒澤作品。行ってきました。たぶん、今後も35ミリで見られる可能性はほとんどないと思います。



 なんせ国内では「老人の妄想」「大枚をはたいた駄作」という評価が確定しているので、今も人気が高いモノクロ作品のようなリバイバル上映も望みにくい。

 ただ、この作品欧米では異常に評価が高くて、「黒澤の最高傑作」とする評価すら珍しくないんですね。まあ日本人は「欧米のエキゾチシズム趣味」と片付けてしまいがちですが、久しぶりに見た感想としては「それほど悪くないし欧米人が熱狂する気持ちもわからないではない」と思いました。私はきらいじゃないです、こういう映画。

 まあ、モノクロ時代の黒澤作品とは似ても似つかない「お芸術」な作品で、「これぞ娯楽」という路線を求める人には失望しかないでしょう。ただ、ここまで一人の人間の美意識が貫かれた映画は早々なく、その点ではある意味立派。そして久々に見て気付いたんですが、これ時代劇じゃなくて明らかにシェイクスピア劇。なによりもまず舞台劇なんですよ。だから映画としては非常に空々しいし、時代劇として当然クリアするべきいろいろな要素がすっ飛ばされてしまっている。

 でも欧米人にしてみれば、時代劇のよくわからない約束事が省略されて、自分たちに親しいシェイクスピア劇にぴったり寄り添ってくれているのですもの。それはもう嬉しいしスッと頭に入る。騎馬戦も時代劇というよりは中世騎士道的質感がありますね。ある意味寓話的。初公開当時「庶民がどこにもいない」という批判がありましたけど、まあそれはないものねだりというもの。寓話で舞台劇なんだから。むしろ個人的には「七人の侍」の「侍とは」「百姓とは」という押し付け気味な御託の方がウザいので、むしろこれ位がちょうどいい。

 そしてなにより仲代達矢のリア王は見事なはまり役。その後仲代がシェイクスピア劇に傾倒していく先触れとなったとすら言えます。狂気の芝居をやらせたら、この人ほどハマる人もいない。「影武者」はイマイチ合ってませんでしたが、これは実にぴったり。

 しかし考えてみれば、黒澤明って、結構バタ臭い監督だったんだなあとしみじみ。そういう点では、小津安二郎と結構似てる。そして私は日本的な部分よりもバタ臭い部分の方が好きだったりするので。最高傑作は、と問われたらやっぱ「用心棒」と答えるかな。 
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2014年12月02日

「THE NEXT GENERATION -パトレイバー」第6章

 公開されたらすぐ行っておかないとあっという間に終わってしまう!というわけで行ってきました。本日なんて一緒に見てた人3人ですよ。大丈夫か…



 超派手な軍用レイバーとの一騎打ち、と銘打ってはいますが、それは例によって一瞬だけ。まあ、今回は3章でも登場したテロリストのしぶとさを楽しむエピソードとひなびた田舎宿エピソードのカップリングというところでしょうか。あ、レルヒさんも出てたな。地域振興の意味もあるのか。

 リアリティ求めていたらかなり笑止なエピソードでしたが、まあかなりおちゃらけて作っているのがわかるつくりなのでまあいいかなと。とはいえ、もう少し真面目に作ってもバチは当たらないと思いますよ。サスペンスっぽいけど実はどっか間が抜けてるぐらいがちょうどよかったんでないでしょうか。

 むしろ後半の明の同窓会エピソードの方が往年の今関あきよし調青春ドラマっぽくて楽しかったかも。昔の彼氏がレイバーの出動と絡めばなおよかったんですけどね。しかしこの手の話は判で押したように過去シーンはソフトフォーカスなのね。でもまあ、「長いお別れ」と映画を絡めた演出はなかなか悪くないと思いました。
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2014年11月20日

黒澤明映画祭「生きる」

 大阪・シネヌーヴォの社運を賭けた大企画「黒澤明映画祭」。結構なお金を投じて2か月にわたる大興業だそうです。もちろん黒澤が35ミリで見られるというのは、京都文化博物館とフィルムセンターを除けばこれが最後になるだろうし、極めて貴重な機会であることは言うまでもないのですが、私はすでに大半の作品をフィルムで見てしまっているので残るは「生きる」「乱」「夢」ぐらい。

 というわけで見てきましたよ。どれだけ混んでるかと戦々恐々としていたら、入場30人ぐらい。うーん大丈夫かな…



 たぶん見るのは20年以上ぶりなんですが、ストーリーを細部まではっきり覚えていたのには驚きました。やっぱ、そういうクリアさは黒澤の魅力ですよね。小津の映画を細部まで語れと言われたらたぶん無理ですもん。ただ、このテーマで150分というのは現在ではあり得ないし、当時の黒澤作品としてもかなりの異色作だったんだなと再見して思いました。

 結構セリフでベラベラと設定をしゃべってしまうのが黒澤映画の悪いところで、だからこそだれにでもすっきりわかるから人気があるのだけど、いっぱしの映画通を気取るようになるとみんな自己ベストの中から黒澤映画を排除したくなるというのはそこなんでしょうね。私も今のところほとんど入れてない。たまに気まぐれで「用心棒」を入れるかどうか。

 やっぱ映像で語ってこそ、とか思うじゃないですか。

 そういう意味で言うと、これは黒澤映画としてはまったくの異色作で、意外なぐらいセリフが少なく、人物のアップと無言の形相が延々と映されるシーンがかなり多用されています。そして、セリフを排しているからこそ、この膨大な尺数が必要とされたこともよくわかる。

 後半の葬儀シーンでの、最初は建前ばかり語っていた出席者たちが、酔いがまわるにつれて「そういえば」と本音を語り始めるシーンの巧みさなどは手の内をよく知った今の方が「なるほどうまい」と感心してしまいます。いかにも通夜の席で話されそうな無駄話・思い出話でしかないはずなのに、主人公の行動がありありと見えてきてしまうという。

 そして、実際には渡辺氏のような英雄的地方公務員はほとんど現れず、陳情に来たおばちゃんたちがその後市民運動を組織して世の中を変えていくことになるのだよな、とこうして見返してみると感慨深いものがありました。そして公務員って今もぜんぜん変わってない(笑)そういう意味では今も見られるべき作品。

 さて、とはいえその後の黒澤作品はずっと著述的になっていってしまい、これがカラー化に際して巨匠を苦しめることになります。色がノイズになってしまうのですよ。黒澤映画では。そのあたりの話はまた「乱」の折にでも。世評と違って、私は結構この作品好きなんですが、フィルムで見るとさてどうなるか…
 
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2014年11月16日

「楽園追放」

 今までアニメ映画はほぼアニメ一般に分類してきたのだけど、これは映画に分類してもいいでしょう。いや見事でした。素晴らしい!

 

 知り合いがちょっとかかわっているもんで、ついつい気になって初日に見に行ってしまいましたよ。梅田ブルグ7でマジにほぼ満杯になったらどんだけ混雑するか初めて実感しました。まず入口から劇場までとろいエスカレーターが一基しかないので、長蛇の列に並んで劇場に向かうと、上映時間ギリギリになってしまう、終演後は下りエスカレーターがまた長蛇の列なので、階段を駆け下りて早めにパンフを奪取。2000円!高っ。でもそのあととんでもない長蛇になってました。普段はどんだけガラガラかですねーこの劇場。こんなん初めての経験ですわ。

 よく考えたらこれすごいことで、別に有名な原作があるわけでもないオリジナル作品で、事前にテレビ放映されたシリーズがあるわけでもない。これ単体の劇場オリジナル、つまり海のものとも山のものとも言いかねる作品にこれだけの観客が押し寄せる、虚淵玄ブランドなくしてはあり得ない事態で、しかもその期待を裏切らないクオリティの作品を届ける力量。感服しました。

 ふつうはアニメ作品の劇場版というのはテレビの延長にしかならない。しかしそこはさすが単発のオリジナルを仕掛けてくるだけあって気合入ってました。ここで何度も言ってますが、映画が映画らしさを獲得する一番重要なファクターとは「奥行き」だと思ってます。そして、サイバー空間を生かして実に鮮やかに「奥行き」を見せてくれるのがこの映画。

 しかしこの作品紹介するのが難しいなあ。パンフが厳封されているぐらいで、ネタを紹介すると面白さが半減してしまう。そのあたりは劇場版「まどか」に近いかもしれない。

 ただ、この作品に込められたいろいろな「SF魂」にはもう滂沱の涙ですよ。SF好きの方はぜひ見てほしい。まあ別にSF好きじゃないという人が見ても十分に楽しいとは思いますが。そのあたりの間口の広さもこの作品の魅力と言えます。宇宙・バーチャル空間・ロボット・人工知能・未来管理社会・ユートピア・認知科学など様々なSFの定番を盛り込みつつお約束に陥ることなく、新たな物語を展開することに成功していることには驚くほかない。

 そして主役三人のベテラン声優の味のある芝居が実にいい。ハリウッドとか日本のテレビ系映画だと非常に安易なラブストーリーになるところなのでしょうが、「愛」でも「友情」でもなく「仁義」を持ち出してくるあたりいかにもブッチーさんだなあという感じ。しかもそれが全然いやな感じじゃないのがすばらしい。

 劇場でブルーレイ売ってましたがうーんどうしようか。というのもこれ、やはり劇場で見ないとたぶん効かないだろうなあという思いもあるのですよ。本当に人々の「SFアニメ映画」万感です。拍手!

 
posted by てんちょ at 00:19| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする