以前、ここでも取り上げたスペインの俊英ホラー映画監督の新作。前回の「ダークネス」は、アイデアは抜群だったもののオチですべてが台無しというかなり痛い展開で頭を抱えたものでしたがさて今回は…
前回イマイチだったのに今回なんで見ているのかというと、非常に前評判がよかったから。そして上映時間がなんとわずか75分!これはちょっと時間ができればいけますねーというわけで行ってまいりました。難波でしかやってないんで不便だけどね(^^;
結論から言うと、「ブレアウィッチ」的なハンディカメラによる偽実録ホラードキュメンタリー。悲しいほどの低予算ですが、その低予算ぶりをうまく生かして、非常に直球のホラーに仕立て上げたセンスは前回よりもずっと評価できます。
消防署の密着ドキュメンタリーを作るはずだったスタッフたちが、急病人の通報を受けて行って見たあるアパートから出られなくなり、ゾンビめいた怪物たちに襲われる…という内容。本当、ド直球ですね。確かに前半はかなりかったるいんだけど、そのことも計算に入れての75分という短さなんでしょうね。いや、後半の怖いこと怖いこと。ネットでもしきりに語られてますけど、屋上の部屋に閉じ込められてからの展開の驚きと怖さはハンパじゃない。最後も本当に直球で、闇の奥に消えていくヒロインがいつまでも脳裏に残ります。
興味ある人はぜひ。なんせ75分なんだから。実に愛あるB級です。
2008年07月09日
2008年06月28日
「神様のパズル」
みんな大好き…というよりはすごい好きな人は好き(笑)な世界のミイケこと三池崇監督の新作。最近、「ケータイ捜査官7」の予告見て、あまりの面白さにスルーしていたことを深く後悔しました。さすがミイケ、テレビだからって容赦しませんな。
そんな中、映画の新作もちゃんと撮ってる人。いくら早撮り名人とはいえ、すごいなあ。三池監督の映画は低予算でひっそり公開、ということが非常に多いので、今回もうっかり見逃しかけて、終了直前に大慌てで見てきました。なんか興行的には大失敗らしいんだけど、好きな人は好きなのか、朝10時半からの劣悪な上映環境にもかかわらず、結構人が入ってました。若い子ばかりかというとそうでもなく、老夫婦とかが「わはは」と大声でわらってたのが意外。
とはいえ、これは客入らないかもなあ。何しろ「宇宙論」についてのSF映画だから。自称神=角川春樹が獄中で一読して「これはオレが撮るべき映画だっ!」と啓示を受けたものの、獄中なのでどうにもならなかったといういわくつきの作品(笑)それでもあきらめないのが春樹らしくて、出獄後に映画企画を立ち上げ、「こんな理系の映画は、体育会系の三池に撮らせるべきだ」とよく分からない理屈で三池に依頼したそうで。
原作は小松左京賞受賞の小説ですが、パラパラと読んでみて、あまりに薄い文章とステレオタイプなキャラクターに絶句。こんなんで賞取れるんか。確かに作者は理系の人らしいんで資料を集めれば可能だろうとは思うけど、眼鏡っ娘天才少女とおちこぼれ大学生が「宇宙の作り方」に挑戦するというラノベな展開には閉口。そもそもこの安っぽいタイトルなんとかしてほしい。「リアル鬼ごっこ」じゃないんだから。
もちろん三池がそのまま映画化するなどというのはあり得なくて。主人公は大学生ですらない寿司職人(笑)になっていて、相方の天才少女は圧倒的なカリスマキャラとなっていた。さすが三池。おお。それにしても天才少女を演じた谷村美月のカリスマには驚き。すごいなあ。
そして、寿司職人の宇宙講義から宇宙崩壊の危機へと話が進み、最後は暴風雨の中で少女が寿司を食べることでなぜか世界が救われてしまうというものすごくよくわからない超展開(笑)さすが三池。もう劇場、爆笑の嵐です。宇宙の超理論には超演出で、ということでしょうか。うわー寿司が宇宙を救ってしまった(^^;
DVD買おうかなー
そんな中、映画の新作もちゃんと撮ってる人。いくら早撮り名人とはいえ、すごいなあ。三池監督の映画は低予算でひっそり公開、ということが非常に多いので、今回もうっかり見逃しかけて、終了直前に大慌てで見てきました。なんか興行的には大失敗らしいんだけど、好きな人は好きなのか、朝10時半からの劣悪な上映環境にもかかわらず、結構人が入ってました。若い子ばかりかというとそうでもなく、老夫婦とかが「わはは」と大声でわらってたのが意外。
とはいえ、これは客入らないかもなあ。何しろ「宇宙論」についてのSF映画だから。自称神=角川春樹が獄中で一読して「これはオレが撮るべき映画だっ!」と啓示を受けたものの、獄中なのでどうにもならなかったといういわくつきの作品(笑)それでもあきらめないのが春樹らしくて、出獄後に映画企画を立ち上げ、「こんな理系の映画は、体育会系の三池に撮らせるべきだ」とよく分からない理屈で三池に依頼したそうで。
原作は小松左京賞受賞の小説ですが、パラパラと読んでみて、あまりに薄い文章とステレオタイプなキャラクターに絶句。こんなんで賞取れるんか。確かに作者は理系の人らしいんで資料を集めれば可能だろうとは思うけど、眼鏡っ娘天才少女とおちこぼれ大学生が「宇宙の作り方」に挑戦するというラノベな展開には閉口。そもそもこの安っぽいタイトルなんとかしてほしい。「リアル鬼ごっこ」じゃないんだから。
もちろん三池がそのまま映画化するなどというのはあり得なくて。主人公は大学生ですらない寿司職人(笑)になっていて、相方の天才少女は圧倒的なカリスマキャラとなっていた。さすが三池。おお。それにしても天才少女を演じた谷村美月のカリスマには驚き。すごいなあ。
そして、寿司職人の宇宙講義から宇宙崩壊の危機へと話が進み、最後は暴風雨の中で少女が寿司を食べることでなぜか世界が救われてしまうというものすごくよくわからない超展開(笑)さすが三池。もう劇場、爆笑の嵐です。宇宙の超理論には超演出で、ということでしょうか。うわー寿司が宇宙を救ってしまった(^^;
DVD買おうかなー
2008年06月18日
「幻影師アイゼンハイム」
翻訳文学界の大スター・柴田元幸先生紹介による米作家、スティーヴン・ミルハウザーの初めての映画化作品。柴田先生のおかげで日本ではちょっとした人気作家であるミルハウザーですが、米ではかなりマイナーなんだとか。よく映画化できたよなあ。
案の定、原作にはないアイゼンハイムの恋とか入れられていかにもハリウッドらしく俗物化されているのが悲しいところなんだけど。まあ撮り方自体は非常に堅実で、職人的に手堅くできているので、見る価値は十分アリかと。撮影はなかなか美しいし。
実際、原作は偽伝記っぽい構成で、三人称で淡々とスケールの大きなホラ話が語られていく。それだけに確かにそのままでは映画化しにくいんだけど、何もベタな三角関係を持ち込むことはないじゃないか。原作はあくまで「自尊心」がアイゼンハイムを突き動かす原動力ですから。「プレステージ」なんかは、映画でもちゃんと奇術師の自尊心を描けてましたからね。全体の完成度はさておき。
ただ、独立した映画としては、結構楽しめます。狂言回し的に登場するオーストリア警察の警部がなかなか楽しいキャラクターで、映画全体を華やかに引き立てる役目を担っているのがいい。
ちなみに最後に登場する「どんでん返し」は映画オリジナル。個人的には、原作同様、アイゼンハイムが煙のように消えるところで終えた方がいいと思うんだけど。あの「どんでん返し」は、個人的にはかわいくて好きですね。だって警部のひとり合点にすぎないのかもしれない、という描き方だから。結局最後まで真実は「霧の中」なのかもしれない。
案の定、原作にはないアイゼンハイムの恋とか入れられていかにもハリウッドらしく俗物化されているのが悲しいところなんだけど。まあ撮り方自体は非常に堅実で、職人的に手堅くできているので、見る価値は十分アリかと。撮影はなかなか美しいし。
実際、原作は偽伝記っぽい構成で、三人称で淡々とスケールの大きなホラ話が語られていく。それだけに確かにそのままでは映画化しにくいんだけど、何もベタな三角関係を持ち込むことはないじゃないか。原作はあくまで「自尊心」がアイゼンハイムを突き動かす原動力ですから。「プレステージ」なんかは、映画でもちゃんと奇術師の自尊心を描けてましたからね。全体の完成度はさておき。
ただ、独立した映画としては、結構楽しめます。狂言回し的に登場するオーストリア警察の警部がなかなか楽しいキャラクターで、映画全体を華やかに引き立てる役目を担っているのがいい。
ちなみに最後に登場する「どんでん返し」は映画オリジナル。個人的には、原作同様、アイゼンハイムが煙のように消えるところで終えた方がいいと思うんだけど。あの「どんでん返し」は、個人的にはかわいくて好きですね。だって警部のひとり合点にすぎないのかもしれない、という描き方だから。結局最後まで真実は「霧の中」なのかもしれない。
2008年06月13日
「秘密結社鷹の爪THE MOVIEU私を愛した黒烏龍茶」「古墳ギャルのコフィー12人と怒れる古墳たち」
というわけで常に有限実行、予告通りに作品をあげてしまうスピードクリエイター、FROGMAN氏の劇場最新作、行ってきました。大阪も上々の評判のようで、早くもパンフが品切れ。別の日に出直して買ってきたほど。ただ、混雑を避けて早朝9時半の回にしたのは失敗で、さすがにガラガラ。こういう話はたくさんの人と爆笑しながら見た方が楽しいからなあ。
前作「菅井君と家族石THE MOVIE」はゆる〜いできばえで、テレビスペシャル程度。別にテレビで毎日深夜に5分ずつ流してもいいんじゃないかと思ったほどで、1000円均一で上映されたのもむべなるかな。
要するにFROGMAN氏は「これだけは」と思った作品に精力を集中投下するタイプの人なんですね。なら最初から仕事を減らせばいいのに。
そのぶん、今回の出来のすばらしさはベスト級で、数少ない「Uの方が面白い映画」となりましたね。ちゃんと映画になっていて、しかもUの方が完成度が高い。吉田君がちょっとカッコよすぎる気はしましたけど、それは別に不自然になっていなくて、ちゃんと泣けるしちゃんと驚ける。うちの家族なんか「鷹の爪は男の子向けすぎてあまり好きではない」と言うんだけど、そんなことないと思う。FROGMAN作品の中では、一番設定として奥深い表現ができる世界なんじゃないだろうか。
今回は、バジェットゲージも細かく上下していて、それを見ているだけでも飽きなかったし(本編見ろよ)、「リラックスタイム」にはしてやられたし、プロダクトプレイスメントは、今回の方がちゃんとスターリーに絡んでいて、いちいち笑える。そしてラスト、うーん、総統カッコいいなあ。銀河万丈・滝口順平など超大物声優をめちゃくちゃ「間違った」起用の仕方をしていたのも笑った。おいおい。いやこんな手があろうとは。「金をドブに捨てる」とはこのことだなあ(笑)
一方、併映の「コフィー」。うーん。確かに「十二人の怒れる男」を見ていると笑えるんだけど、それは筒井康隆の「十二人の浮かれる男」でやってるからなあ。基本的にコフィーもそれとあまり変わらないです。だいたい、最初は「十二人の怒れる古墳たち」じゃなかったのか。「古墳は十二人とは数えない」とツッコミが入って人間の裁判員に変えたんだろうけど、「怒れる古墳たち」はどこへ行った、と相変わらずツッコミめる気が(^^;
前作「菅井君と家族石THE MOVIE」はゆる〜いできばえで、テレビスペシャル程度。別にテレビで毎日深夜に5分ずつ流してもいいんじゃないかと思ったほどで、1000円均一で上映されたのもむべなるかな。
要するにFROGMAN氏は「これだけは」と思った作品に精力を集中投下するタイプの人なんですね。なら最初から仕事を減らせばいいのに。
そのぶん、今回の出来のすばらしさはベスト級で、数少ない「Uの方が面白い映画」となりましたね。ちゃんと映画になっていて、しかもUの方が完成度が高い。吉田君がちょっとカッコよすぎる気はしましたけど、それは別に不自然になっていなくて、ちゃんと泣けるしちゃんと驚ける。うちの家族なんか「鷹の爪は男の子向けすぎてあまり好きではない」と言うんだけど、そんなことないと思う。FROGMAN作品の中では、一番設定として奥深い表現ができる世界なんじゃないだろうか。
今回は、バジェットゲージも細かく上下していて、それを見ているだけでも飽きなかったし(本編見ろよ)、「リラックスタイム」にはしてやられたし、プロダクトプレイスメントは、今回の方がちゃんとスターリーに絡んでいて、いちいち笑える。そしてラスト、うーん、総統カッコいいなあ。銀河万丈・滝口順平など超大物声優をめちゃくちゃ「間違った」起用の仕方をしていたのも笑った。おいおい。いやこんな手があろうとは。「金をドブに捨てる」とはこのことだなあ(笑)
一方、併映の「コフィー」。うーん。確かに「十二人の怒れる男」を見ていると笑えるんだけど、それは筒井康隆の「十二人の浮かれる男」でやってるからなあ。基本的にコフィーもそれとあまり変わらないです。だいたい、最初は「十二人の怒れる古墳たち」じゃなかったのか。「古墳は十二人とは数えない」とツッコミが入って人間の裁判員に変えたんだろうけど、「怒れる古墳たち」はどこへ行った、と相変わらずツッコミめる気が(^^;
2008年06月12日
「靖国」
超超話題のこの映画、やっと見てきました。「平日なら座れる」というネット情報を見て行ってみたら、それでも「何とか座れる」というレベル。まだまだ満杯ですね。
大阪の第七芸術劇場というところは、十三の風俗店街の真ん中にあって映画館にたどり着くまでに声かけられまくり。普段は非常に行きづらいのですが、こういう時は非常に安心です。何か色町に守られてる感じでしょうか(^^;見ていて身の危険はまったく感じませんでした。
見た結果としては、よくいわれているように、いきりたって抗議するような内容では全然ないです。むしろ非常にニュートラルであまりにも無思想であるがゆえに、「もの足りない」と批判を受けているんだろうけど。私も見終わった瞬間は「?」とキツネにつままれたような気分になりました。
ただ、その後数日かけて映画の気になった場面を反芻しているうちに、自分なりの靖国観はできてきた気がします。それはイデオロギーと無縁の所から形成されたもので、この映画を見るまで靖国に対して抱いていた考えともまた違うもの。しかし、過去の靖国観を消し去るタイプのものでもない。
そのときやっと「ああ、これはそういうタイプの映画なんだ」と気づいたわけですが。自分の中に生まれたものが何なのかを説明するのはすごく難しい。あんまり肯定的なものではないが。少なくともこんな恐ろしい場所なんだとしたら、絶対に靖国神社には行きたくないですね。ささいなことでいきなり罵倒されたり殴られたりするなんて。
あと、靖国刀の鍛冶のパートは不要だという人が多いですが、個人的にはそうでもないです。少なくとも青竹と濡らした藁で人間の硬さを再現して試し斬りした、というエピソードは、靖国刀の本質を示すものだろうし、「百人斬り」のエピソードにもつながってくる。
この作品をヒステリックに否定している人の多くがどんな内容なのか見てもいないのは気がかり。どっちの側から見てもスカッとするような描き方ではないけれど、両者が頭を冷やして「靖国とは何か」を話し合うためのいいきっかけにはなっていると思います。
個人的には、この監督さんのデビュー作である「2H」が好きなのです。ひじょうにひっそりと公開されたので知らない人も多いでしょうが、国民党の英雄であった将軍が日本に移り住み、東京でひっそりと鍼灸師を営んでいる。それを見守っている日本人女性との交流を穏やかに描いていく、そんなドキュメンタリー。あれはよかった。誰が見ても泣ける傑作でした。それからみると今回はずいぶん難解なんですが、うーん。でも、やっぱり見てほしい。
大阪の第七芸術劇場というところは、十三の風俗店街の真ん中にあって映画館にたどり着くまでに声かけられまくり。普段は非常に行きづらいのですが、こういう時は非常に安心です。何か色町に守られてる感じでしょうか(^^;見ていて身の危険はまったく感じませんでした。
見た結果としては、よくいわれているように、いきりたって抗議するような内容では全然ないです。むしろ非常にニュートラルであまりにも無思想であるがゆえに、「もの足りない」と批判を受けているんだろうけど。私も見終わった瞬間は「?」とキツネにつままれたような気分になりました。
ただ、その後数日かけて映画の気になった場面を反芻しているうちに、自分なりの靖国観はできてきた気がします。それはイデオロギーと無縁の所から形成されたもので、この映画を見るまで靖国に対して抱いていた考えともまた違うもの。しかし、過去の靖国観を消し去るタイプのものでもない。
そのときやっと「ああ、これはそういうタイプの映画なんだ」と気づいたわけですが。自分の中に生まれたものが何なのかを説明するのはすごく難しい。あんまり肯定的なものではないが。少なくともこんな恐ろしい場所なんだとしたら、絶対に靖国神社には行きたくないですね。ささいなことでいきなり罵倒されたり殴られたりするなんて。
あと、靖国刀の鍛冶のパートは不要だという人が多いですが、個人的にはそうでもないです。少なくとも青竹と濡らした藁で人間の硬さを再現して試し斬りした、というエピソードは、靖国刀の本質を示すものだろうし、「百人斬り」のエピソードにもつながってくる。
この作品をヒステリックに否定している人の多くがどんな内容なのか見てもいないのは気がかり。どっちの側から見てもスカッとするような描き方ではないけれど、両者が頭を冷やして「靖国とは何か」を話し合うためのいいきっかけにはなっていると思います。
個人的には、この監督さんのデビュー作である「2H」が好きなのです。ひじょうにひっそりと公開されたので知らない人も多いでしょうが、国民党の英雄であった将軍が日本に移り住み、東京でひっそりと鍼灸師を営んでいる。それを見守っている日本人女性との交流を穏やかに描いていく、そんなドキュメンタリー。あれはよかった。誰が見ても泣ける傑作でした。それからみると今回はずいぶん難解なんですが、うーん。でも、やっぱり見てほしい。
2008年04月19日
「スルース」
かつての英ミステリ映画の傑作「探偵・スルース」がリメークされました。舞台劇の映画化ということで富豪のミステリ作家の館から一度も出ずに老作家とスケコマシ青年の男2人の頭脳戦が繰り広げられる、という巧妙な設定。登場人物は二人だけ。オリジナル版はローレンス・オリビエとマイケル・ケイン。リメーク版はマイケル・ケインとジュード・ロウ。
あれ?
そうです。オリジナル版で青年役をやっていたマイケル・ケインが今回は老作家の役を好演。うーん凝ってるなあ。しかも印象的な美術のせいもあって、実に引き込まれる。オリジナル版はガチャガチャしたギミックが大量に登場して、そこが効果的だったのですが、今回は非常に洗練された前衛的なセット。そのせいで非常に引き込まれます。
たいていこういうリメークは無残な失敗に終わることが多いのは確かです。しかも監督はいつも微妙な作品ばかり撮っているケネス・ブラナー(笑)しかし今回は特別な仕掛けがあります。ノーベル賞劇作家のハロルド・ピンターが脚本を執筆しているのですなんと。さすがセリフまわしの印象的なところといったらなく、字幕併用なら結構セリフを追える。さすが世界を代表する劇作家だけのことはありますねえ。
どうです。ポールさん、見たくなったでしょう(^^;
公式サイト http://www.sleuth.jp/
オリジナル版の紹介はこちら。
http://cinema-magazine.com/new_meisaku/tantei.htm
実はこの映画のこと知らなかったんですよ。面目ない。大昔にビデオになったことがあるだけ、ということだから、無理もないのかもしれないけど。05年にCS放映されたこともあるそうだけど、うーん、こっちも見てみたいなあ。
たぶん、今回はやや前衛的な演出が施されているようで、ややラストは難解ですが、そのぶん読み解く楽しみは十分。うーんもう一回見てみたいなあ。オリジナル版と比較して。
あれ?
そうです。オリジナル版で青年役をやっていたマイケル・ケインが今回は老作家の役を好演。うーん凝ってるなあ。しかも印象的な美術のせいもあって、実に引き込まれる。オリジナル版はガチャガチャしたギミックが大量に登場して、そこが効果的だったのですが、今回は非常に洗練された前衛的なセット。そのせいで非常に引き込まれます。
たいていこういうリメークは無残な失敗に終わることが多いのは確かです。しかも監督はいつも微妙な作品ばかり撮っているケネス・ブラナー(笑)しかし今回は特別な仕掛けがあります。ノーベル賞劇作家のハロルド・ピンターが脚本を執筆しているのですなんと。さすがセリフまわしの印象的なところといったらなく、字幕併用なら結構セリフを追える。さすが世界を代表する劇作家だけのことはありますねえ。
どうです。ポールさん、見たくなったでしょう(^^;
公式サイト http://www.sleuth.jp/
オリジナル版の紹介はこちら。
http://cinema-magazine.com/new_meisaku/tantei.htm
実はこの映画のこと知らなかったんですよ。面目ない。大昔にビデオになったことがあるだけ、ということだから、無理もないのかもしれないけど。05年にCS放映されたこともあるそうだけど、うーん、こっちも見てみたいなあ。
たぶん、今回はやや前衛的な演出が施されているようで、ややラストは難解ですが、そのぶん読み解く楽しみは十分。うーんもう一回見てみたいなあ。オリジナル版と比較して。
2008年04月14日
「実録連合赤軍」
話題の大作、とうとう行ってきました。今まで何度かこの場でも語ってきましたが、小学生の頃に図書館で連合赤軍の歴史を読み漁った人間としては、これは行かないわけにはいかない。3時間の超大作だけど、音楽のすばらしさ、カットつなぎのテンポのよさ、原田芳雄のかっこいいナレーションもあって、悲惨な話だというのに思わず引き込まれてしまう。まさしくこれぞ傑作といって疑いないでしょう。
いまどき珍しく「実録」と銘打っているだけあって、獄中の赤軍の当事者達に接見して集めた証言をもとに構成した正真正銘のノンフィクション再現ドラマ。冒頭には「この作品はすべて事実をもとにしている」と字幕が堂々登場します。
そしてここで再現されていることが事実なのだとすれば、あさま山荘事件は山岳ベース虐殺事件のつけたしにすぎない、という若松監督の主張はまさしくその通りだと思います。そしてもう一点。本当にこれが事実なのなら、山岳ベース虐殺事件とは、永田洋子のまったく個人的な犯罪だということです。特に監督はそう主張してはいませんが、大半のメンバーが泣きながら同志を撲殺している中、ひとりほくそ笑み、無理やり殴らせ、山中なのに化粧をしていた、私より美人だ、男といちゃついていた、などなど、本当にくだらない理由をつけて女たちを殺していく。しかも自分では直接手を下さず、いつも人にやらせる。みんな泣きながらおびえているのに、最高幹部の森の後ろに隠れて、森を炊きつけながら一人一人血祭りにあげていく。森はもともと内ゲバ抗争に参加せず脱走した前科があって、それを後ろ暗く思っているがゆえに、焦りを感じている。そこを巧妙に利用した永田洋子は本当に恐ろしい。
たぶん、永田洋子はサイコパスか快楽殺人者だったんじゃないかと思う。事実、永田が山を降りて逮捕された後は、より厳しい冬山であるにもかかわらず、一人の死者も出ていない。いつの時代も過激なグループを立ち上げると、右左を問わずこういう快楽殺人者が漏れなくついてくる傾向はあるようで、今もイラクやアフガンではその手の資質の持ち主が闊歩している。思想なんて実はどうでもよくて、敵味方問わず人を殺すのが好きでしょうがないものたち。まったくやりきれない気分になります。
それにしても注目すべきは、山中で軍事訓練を行うと称して大量の銃火器を集めていたにもかかわらず、同志の処刑には一発の弾も使われていないということ。すべて撲殺か刺殺か屋外での放置死。アメリカだったら30秒後には銃撃戦になっているだろうに、日本人には所詮、銃は縁遠い武器だってことを象徴する出来事ですね。
そして「結末」としてのあさま山荘。要するに山岳ベース虐殺事件が発覚し、メンバーが散り散りになって逃走していく途中で数人が逃げ込んだ場所があさま山荘に過ぎなかったということ。本質的に邪悪である永田洋子に対して、坂口弘という人はどこか応援したくなるかっこよさがありますね。山荘でつまらないことから同士討ちになりそうになったときに「銃は権力に向けろ」と一喝してその場を収めるとこなんか、まさしく指導者の鑑…といいたいところだけど、彼にも山岳ベース虐殺は止められなかった、というか山岳ベースで彼はいったいどこにいるのか映画内では不明。常に永田と別のベースにいたのかもしれないけど、どうもはっきりしない。うーん。もう一回見てみるか。とりあえず分厚い解説書が出てるから買ってこよ。
少なくとも坂口にも連帯責任があるのは確か。だから、いろいろと批判の的になっているラストの高校生の発言ですけど、坂口の責任を指弾するという意味であれは必要なセリフだったと思います。確かにこの作品中では数少ない「事実ではない」セリフなんですけどね。
何にしても若松監督の「本気」が詰まった生涯の大傑作。ぜひとものおすすめです。
いまどき珍しく「実録」と銘打っているだけあって、獄中の赤軍の当事者達に接見して集めた証言をもとに構成した正真正銘のノンフィクション再現ドラマ。冒頭には「この作品はすべて事実をもとにしている」と字幕が堂々登場します。
そしてここで再現されていることが事実なのだとすれば、あさま山荘事件は山岳ベース虐殺事件のつけたしにすぎない、という若松監督の主張はまさしくその通りだと思います。そしてもう一点。本当にこれが事実なのなら、山岳ベース虐殺事件とは、永田洋子のまったく個人的な犯罪だということです。特に監督はそう主張してはいませんが、大半のメンバーが泣きながら同志を撲殺している中、ひとりほくそ笑み、無理やり殴らせ、山中なのに化粧をしていた、私より美人だ、男といちゃついていた、などなど、本当にくだらない理由をつけて女たちを殺していく。しかも自分では直接手を下さず、いつも人にやらせる。みんな泣きながらおびえているのに、最高幹部の森の後ろに隠れて、森を炊きつけながら一人一人血祭りにあげていく。森はもともと内ゲバ抗争に参加せず脱走した前科があって、それを後ろ暗く思っているがゆえに、焦りを感じている。そこを巧妙に利用した永田洋子は本当に恐ろしい。
たぶん、永田洋子はサイコパスか快楽殺人者だったんじゃないかと思う。事実、永田が山を降りて逮捕された後は、より厳しい冬山であるにもかかわらず、一人の死者も出ていない。いつの時代も過激なグループを立ち上げると、右左を問わずこういう快楽殺人者が漏れなくついてくる傾向はあるようで、今もイラクやアフガンではその手の資質の持ち主が闊歩している。思想なんて実はどうでもよくて、敵味方問わず人を殺すのが好きでしょうがないものたち。まったくやりきれない気分になります。
それにしても注目すべきは、山中で軍事訓練を行うと称して大量の銃火器を集めていたにもかかわらず、同志の処刑には一発の弾も使われていないということ。すべて撲殺か刺殺か屋外での放置死。アメリカだったら30秒後には銃撃戦になっているだろうに、日本人には所詮、銃は縁遠い武器だってことを象徴する出来事ですね。
そして「結末」としてのあさま山荘。要するに山岳ベース虐殺事件が発覚し、メンバーが散り散りになって逃走していく途中で数人が逃げ込んだ場所があさま山荘に過ぎなかったということ。本質的に邪悪である永田洋子に対して、坂口弘という人はどこか応援したくなるかっこよさがありますね。山荘でつまらないことから同士討ちになりそうになったときに「銃は権力に向けろ」と一喝してその場を収めるとこなんか、まさしく指導者の鑑…といいたいところだけど、彼にも山岳ベース虐殺は止められなかった、というか山岳ベースで彼はいったいどこにいるのか映画内では不明。常に永田と別のベースにいたのかもしれないけど、どうもはっきりしない。うーん。もう一回見てみるか。とりあえず分厚い解説書が出てるから買ってこよ。
少なくとも坂口にも連帯責任があるのは確か。だから、いろいろと批判の的になっているラストの高校生の発言ですけど、坂口の責任を指弾するという意味であれは必要なセリフだったと思います。確かにこの作品中では数少ない「事実ではない」セリフなんですけどね。
何にしても若松監督の「本気」が詰まった生涯の大傑作。ぜひとものおすすめです。
2008年04月04日
空の境界第二章「殺人考察(前)」
こりずにまた見てしまった第2話。
さすがに演出そのものは今回の方がずっと落ち着いていていいですね。ちゃんとホラーらしくなってきましたし。まあ、式(ヒロインの名。ひねりすぎですな)が多重人格殺人鬼、と思わせる構図ですが、まあたぶんそうではない、っていうオチなんだろうな。なんせ(前)なんだそうで、キツネにつままれたようなよく分からないオチに「???」という感じ。まあ、前回からちりばめられた謎があちこちでささやかに開示されていましたんで、たぶんこの先付き合っていけば知ることができるんでしょう。
ただ、「多重人格殺人」というネタはあまりにも手垢がつきすぎたものなので、はたしてどう料理してくるやら、お手並み拝見といきますか。なまじのネタでは驚かないと思うよ。
ちなみに、すっかり定着してしまった真下的映像シャッフル演出ですが、ちゃんと最終的に整理されて落ち着くべきとこに落ち着くのかどうか。スタイルのみは似ているけど、「ほのめかすだけで見るものに推理させる」という真下の感覚的なスタイルはやっぱり似て非なるものだと実感。あれはマネできんわ。
まあ、でもいちおう最後まで付き合うことになるかなーこういう公開スタイルは面白いと思うんで。10夜連続深夜放映テレビアニメ、でもよかった気もするけど。CSじゃなきゃ無理か。
さすがに演出そのものは今回の方がずっと落ち着いていていいですね。ちゃんとホラーらしくなってきましたし。まあ、式(ヒロインの名。ひねりすぎですな)が多重人格殺人鬼、と思わせる構図ですが、まあたぶんそうではない、っていうオチなんだろうな。なんせ(前)なんだそうで、キツネにつままれたようなよく分からないオチに「???」という感じ。まあ、前回からちりばめられた謎があちこちでささやかに開示されていましたんで、たぶんこの先付き合っていけば知ることができるんでしょう。
ただ、「多重人格殺人」というネタはあまりにも手垢がつきすぎたものなので、はたしてどう料理してくるやら、お手並み拝見といきますか。なまじのネタでは驚かないと思うよ。
ちなみに、すっかり定着してしまった真下的映像シャッフル演出ですが、ちゃんと最終的に整理されて落ち着くべきとこに落ち着くのかどうか。スタイルのみは似ているけど、「ほのめかすだけで見るものに推理させる」という真下の感覚的なスタイルはやっぱり似て非なるものだと実感。あれはマネできんわ。
まあ、でもいちおう最後まで付き合うことになるかなーこういう公開スタイルは面白いと思うんで。10夜連続深夜放映テレビアニメ、でもよかった気もするけど。CSじゃなきゃ無理か。
2008年03月13日
「空の境界」第一章俯瞰風景
なかなかパリ報告がアップできません。うーむ(^^;
というわけで本日も映画ネタをば。
東京ではとっくに公開終わってると思いますが、大阪は始まったばかり。というわけで、行って参りましたよ。
なんかねーすごい人入ってますよ。しかも若い子ばっか。最近はアニメ見に行ってもおっさんと遭遇することが増えましたけど(笑)奈須きのこってのは、やっぱり若い子たちのアイドル作家なのかな。私は特に何か感想はないですね。彼に対しては。
だから原作本も読んでません。全7章を1時間ずつ7本の中編映画に分けて公開する、という変わったコンセプトに興味を持って見に行ったわけですよ。まあ、ホラーはきらいじゃないしね。「フェイトステイナイト」は第1話でなんか肌が合わなくて視聴やめましたが。好きな人は好きみたいですね。
謎めいたストーリー、りりしいヒロイン、と原作がそうであろう魅力的な要素はおぼろげに感じ取れたのですが…
うーん。これ、なんといっても演出がダメですね。音楽は梶浦さんだし、断片的なショットの積み重ねで謎を演出していくスタイルは、まさしくわれらが真下社長を思わせるものですが…謎がどうも魅力的に感じられない。ただバラバラなイメージを並べただけというか。
断片的なショットを有機的な一体と感じさせるためには、それなりの工夫が必要です。全体をまとめるテーマ的な小道具を何度も何度も登場させて、一定の方向付けをしないと。え?あっただろって?ペットボトルに留守番電話。うーん。ちょっと具体的すぎるかなーそれぞれにイメージがつきすぎていますから。われらが社長のように月とかペンダントとか、もっとあいまいなもののほうがよかった。
それと、ここぞという見せ場のシーンにもあまり思い入れが感じられない。ヒロインが赤ジャンパー羽織って出陣するシーンなんて、真下社長が演出したら、ここぞとばかりに大ミエを切ったケレン味たっぷりの動きを見せてくれたはず。そういうところがもっとないと。
惜しいですけどねー広大な廃棄されたマンションの光景とか、ヒロインの後ろに素っ気なくボトリと女が飛び降りて死ぬとか。そういう光る場面は確かにあった。
次章は演出家も変わるらしいので、まあまた見に行ってみますかね。しかし、よく調べてみたら、この作品、毎回演出家が変わるの?総監督はいないんでしょうか。うーん。このままじゃ無秩序な伝言ゲームになってしまわないかな。ちょっと心配。
というわけで本日も映画ネタをば。
東京ではとっくに公開終わってると思いますが、大阪は始まったばかり。というわけで、行って参りましたよ。
なんかねーすごい人入ってますよ。しかも若い子ばっか。最近はアニメ見に行ってもおっさんと遭遇することが増えましたけど(笑)奈須きのこってのは、やっぱり若い子たちのアイドル作家なのかな。私は特に何か感想はないですね。彼に対しては。
だから原作本も読んでません。全7章を1時間ずつ7本の中編映画に分けて公開する、という変わったコンセプトに興味を持って見に行ったわけですよ。まあ、ホラーはきらいじゃないしね。「フェイトステイナイト」は第1話でなんか肌が合わなくて視聴やめましたが。好きな人は好きみたいですね。
謎めいたストーリー、りりしいヒロイン、と原作がそうであろう魅力的な要素はおぼろげに感じ取れたのですが…
うーん。これ、なんといっても演出がダメですね。音楽は梶浦さんだし、断片的なショットの積み重ねで謎を演出していくスタイルは、まさしくわれらが真下社長を思わせるものですが…謎がどうも魅力的に感じられない。ただバラバラなイメージを並べただけというか。
断片的なショットを有機的な一体と感じさせるためには、それなりの工夫が必要です。全体をまとめるテーマ的な小道具を何度も何度も登場させて、一定の方向付けをしないと。え?あっただろって?ペットボトルに留守番電話。うーん。ちょっと具体的すぎるかなーそれぞれにイメージがつきすぎていますから。われらが社長のように月とかペンダントとか、もっとあいまいなもののほうがよかった。
それと、ここぞという見せ場のシーンにもあまり思い入れが感じられない。ヒロインが赤ジャンパー羽織って出陣するシーンなんて、真下社長が演出したら、ここぞとばかりに大ミエを切ったケレン味たっぷりの動きを見せてくれたはず。そういうところがもっとないと。
惜しいですけどねー広大な廃棄されたマンションの光景とか、ヒロインの後ろに素っ気なくボトリと女が飛び降りて死ぬとか。そういう光る場面は確かにあった。
次章は演出家も変わるらしいので、まあまた見に行ってみますかね。しかし、よく調べてみたら、この作品、毎回演出家が変わるの?総監督はいないんでしょうか。うーん。このままじゃ無秩序な伝言ゲームになってしまわないかな。ちょっと心配。
2008年03月08日
「レンブラントの夜警」
本当に久々となったピーター・グリーナウェイ監督作品。当方は実はグリーナウェイという人がそれはそれはもう大好きで、「ZOO」は生涯ベスト映画の一本に数えているほどです。さすがに「英語での言葉遊び」というのはちょっと理解し切れないんですが(^^;それでも、ミニマルな音楽を駆使してメチャクチャにテンションを上げていくノリノリのすさまじさは他の追随を許さない。ただ、作曲家マイケル・ナイマンとの名コンビ解消はかなり痛手だったみたいで、「枕草子」以降の失速は痛恨の極み。日本で今回される長編作品は99年以来というから本当に久々なんだなあ。
というわけで、相当に気合い入れて行ってきました。狭いテアトル梅田とはいえ満員札止めの大盛況はうれしい限り。いやあ感慨深い。やっとやっと、完全復活!という感じですね。音楽面ではまだ全盛期には及ばないながら、久々に印象深いサウンドトラックです。あの攻撃的な弦楽演奏が復活しているのには感涙でありましたよ。
今回はオランダの誇る画家レンブラントが晩年に失脚した謎に迫ります。レンブラントは17世紀の画家としては大変に珍しく、特定のパトロンを持たずに全ヨーロッパに絵を売りまくり巨万の富を築いた近世絵画のスーパースターというべき存在。それがなぜ、最高傑作「夜警」の完成と同時に没落していくこととなったのか?
画家にして美術研究家でもあるグリーナウェイらしく、代表作「夜警」を図像学的・記号学的に読み解き、レンブラントはモデルとなった夜警団の不正を絵画を通して告発しようとしたものの、失敗して復讐されたのではないかと大胆な推理をめぐらします。ミステリとしてもなかなかのアイデア。
残念ながら、膨大なセリフは字幕だけでは追いきれないようで、上映終了後、みんな「うーん」ときつねにつままれたような表情。このあたり、パンフに非常に詳しく紹介されてますので、購入をお勧めします。私もついつい読みふけってしまった。
グリーナウェイのファンとしては、もうひとつの彼のトレードマークも生かされていたのがうれしい限りでしたね。傲慢な男が策略にはまり破滅していく、というパターンを描かせたらこの人の右に出る監督はいない。長編デビュー作「英国式庭園殺人事件」を思い出してしまった。
というわけで、相当に気合い入れて行ってきました。狭いテアトル梅田とはいえ満員札止めの大盛況はうれしい限り。いやあ感慨深い。やっとやっと、完全復活!という感じですね。音楽面ではまだ全盛期には及ばないながら、久々に印象深いサウンドトラックです。あの攻撃的な弦楽演奏が復活しているのには感涙でありましたよ。
今回はオランダの誇る画家レンブラントが晩年に失脚した謎に迫ります。レンブラントは17世紀の画家としては大変に珍しく、特定のパトロンを持たずに全ヨーロッパに絵を売りまくり巨万の富を築いた近世絵画のスーパースターというべき存在。それがなぜ、最高傑作「夜警」の完成と同時に没落していくこととなったのか?
画家にして美術研究家でもあるグリーナウェイらしく、代表作「夜警」を図像学的・記号学的に読み解き、レンブラントはモデルとなった夜警団の不正を絵画を通して告発しようとしたものの、失敗して復讐されたのではないかと大胆な推理をめぐらします。ミステリとしてもなかなかのアイデア。
残念ながら、膨大なセリフは字幕だけでは追いきれないようで、上映終了後、みんな「うーん」ときつねにつままれたような表情。このあたり、パンフに非常に詳しく紹介されてますので、購入をお勧めします。私もついつい読みふけってしまった。
グリーナウェイのファンとしては、もうひとつの彼のトレードマークも生かされていたのがうれしい限りでしたね。傲慢な男が策略にはまり破滅していく、というパターンを描かせたらこの人の右に出る監督はいない。長編デビュー作「英国式庭園殺人事件」を思い出してしまった。
2008年03月06日
「デイウォッチ」「リトビネンコ暗殺」
久しく映画のご紹介もしてないなーとか思いつつ。いや、見てはいるんですけどね。「スウィーニートッド」とか「ヒトラーの偽札」とか。例によって節操がない(笑)でも、まあ面白かったけど、ついつい感想を書きたくなるタイプの映画、というのはなかなかないもので。昨年ベストの「ジャンゴ」なんてまさしくそうだったんだけどなー映画ファン受けはかなり悪かったみたい。敬愛する柳下毅一郎先生がボコボコにケナしていたのは本当に残念だった。「映画評論」とかでも名物のワースト上位に上がってましたね。たぶん、映画の構造を楽屋落ち的に茶化すスタイルが真面目な映画ファンの神経を逆撫でするんでしょう。個人的には、そこがすごく好きなんだが。
それはさておき。本日は最近見たロシア映画から2題。「デイウォッチ」は、以前こちらでも紹介した「ナイトウォッチ」の続編。いまロシアでもっとも爆発的に売れてる原作本&映画だそうで、次回の完結編「トワイライトウォッチ」はハリウッド資本も入ってとうとう英語で撮られることになるんだそうで。いいのか?(^^;
現代ロシア、人間のあずかり知らぬ社会の裏側で、闇と光の異能者たちの勢力が存在し、恒常的に闘っているのではなく、休戦協定が結ばれてお互いを監視し合っている、というのが設定。「ナイトウォッチ」は、この巧妙な設定に惹かれて見てしまった感じで、ところどころ雑な部分はあるもののすさまじいパワーに圧倒されました。
んで、今回はどうなのかというと…うーん。冒頭に出てきた「魔法のチョーク」が後半でいかにも無理やりに使われるあたり、ちょっとプロットとして破綻しているんではないかと思ったり。もはや闇と光の休戦協定、というアイデアだけでは押し切れないのは分かるんですけどね。もう少しプロットを練る余地はあったんではないかな。ただ、例によってゴムまりを使った攻撃とか、主人公のわずかなミスで世界が滅亡の淵に立たされるとか、そういうダークなトーンは例によってとても楽しめました。今回の結末で既に話は大団円、この先何を描く気?という感じですが、やっぱり見に行ってしまうんだろうなあ(笑)
そして、興行的に栄光に包まれた「デイウォッチ」がロシア映画界の光だとすれば、ろくすっぽ公開されないであろう「リトビネンコ暗殺」は闇。あのポロニウム騒動があってから撮り始めたのではなくて、もともとリトビネンコを追っていた監督さんが、暗殺騒動に巻き込まれた、というのが実像。
カオスの90年代に用意されていた独裁が、不気味に肥大していく恐怖。かつて力で人民を押さえ込んだ体制が、さらに巧妙になって、かつてはおびえていた人民が今や熱狂的に体制を支持する。その恐怖感というのはロシアに限らず、現代国家にとって普遍の病理といえましょう。
その割に、パンフの解説とかはいやにさめていて、リトビネンコを庇護したベレゾフスキーだってほめられない悪党だ、とことさらに強調してるのが何だか。それはまあそうなんだけど、悪党のレベルがぜんぜん違う。ベレゾフスキーが悪党だったら、プーチンの問題点は考えなくてもいいってわけじゃあ、ないでしょうに。
確かに一方の視点に立ったドキュメンタリーであり公平ではない。でも、一方に立つ覚悟をもった作品だと思う。
それはさておき。本日は最近見たロシア映画から2題。「デイウォッチ」は、以前こちらでも紹介した「ナイトウォッチ」の続編。いまロシアでもっとも爆発的に売れてる原作本&映画だそうで、次回の完結編「トワイライトウォッチ」はハリウッド資本も入ってとうとう英語で撮られることになるんだそうで。いいのか?(^^;
現代ロシア、人間のあずかり知らぬ社会の裏側で、闇と光の異能者たちの勢力が存在し、恒常的に闘っているのではなく、休戦協定が結ばれてお互いを監視し合っている、というのが設定。「ナイトウォッチ」は、この巧妙な設定に惹かれて見てしまった感じで、ところどころ雑な部分はあるもののすさまじいパワーに圧倒されました。
んで、今回はどうなのかというと…うーん。冒頭に出てきた「魔法のチョーク」が後半でいかにも無理やりに使われるあたり、ちょっとプロットとして破綻しているんではないかと思ったり。もはや闇と光の休戦協定、というアイデアだけでは押し切れないのは分かるんですけどね。もう少しプロットを練る余地はあったんではないかな。ただ、例によってゴムまりを使った攻撃とか、主人公のわずかなミスで世界が滅亡の淵に立たされるとか、そういうダークなトーンは例によってとても楽しめました。今回の結末で既に話は大団円、この先何を描く気?という感じですが、やっぱり見に行ってしまうんだろうなあ(笑)
そして、興行的に栄光に包まれた「デイウォッチ」がロシア映画界の光だとすれば、ろくすっぽ公開されないであろう「リトビネンコ暗殺」は闇。あのポロニウム騒動があってから撮り始めたのではなくて、もともとリトビネンコを追っていた監督さんが、暗殺騒動に巻き込まれた、というのが実像。
カオスの90年代に用意されていた独裁が、不気味に肥大していく恐怖。かつて力で人民を押さえ込んだ体制が、さらに巧妙になって、かつてはおびえていた人民が今や熱狂的に体制を支持する。その恐怖感というのはロシアに限らず、現代国家にとって普遍の病理といえましょう。
その割に、パンフの解説とかはいやにさめていて、リトビネンコを庇護したベレゾフスキーだってほめられない悪党だ、とことさらに強調してるのが何だか。それはまあそうなんだけど、悪党のレベルがぜんぜん違う。ベレゾフスキーが悪党だったら、プーチンの問題点は考えなくてもいいってわけじゃあ、ないでしょうに。
確かに一方の視点に立ったドキュメンタリーであり公平ではない。でも、一方に立つ覚悟をもった作品だと思う。
2008年01月18日
「ペルセポリス」
モフセン・マフマルバフ、アッバス・キアスタロミと、イラン映画は非常に刺激的で面白い。アジア映画ともヨーロッパ映画とも似ていない独自の世界。本当に夢中になって見てました。まだ見てない方がいたらぜひ何か見てみることをおすすめしますよ。少なくとも、聖祭一致の狂信国家、という偏見が完全にうち砕かれるはずだから。
むろん、イラン映画がここまで発展したのはハタミ体制の開放政策が大きかったとは思います。それだけに、超保守派の現体制になってから、ばったり新作が見えないのが気がかりです。
そんな中、唐突に登場した、イラン出身アーティストによる未踏の長編アニメーション。しかもほぼ全編モノクロという大胆な構成です。
特に超自然的な展開はなく、監督自身の半生が淡々と語られているだけなのに、ものすごく面白い。地味とか派手とかそういう次元ではないですね。語り方がうまいのかもしれない。とにかく引き込まれる。イランという特異な政治体制の下で女性たちはどのように生きているのか?というのはもちろん興味深い主題ではありますが。
ちょっと不満なのは、監督がハタミ体制を完全に無視していること。まあ反体制の側からすれば、みんな同じに見えるかもしれませんけどもね。ハタミ大統領というのはすごかったと思う。アフマネジャドはまったくのポピュリストなわけで、現在は反動の季節、なのでしょうか。そういう政治屋が出てくるということはまた、民主主義の定着に向けて独自の形式を探してもがいている途上なんだと思う。早く光りが見えることを祈りつつ。
むろん、イラン映画がここまで発展したのはハタミ体制の開放政策が大きかったとは思います。それだけに、超保守派の現体制になってから、ばったり新作が見えないのが気がかりです。
そんな中、唐突に登場した、イラン出身アーティストによる未踏の長編アニメーション。しかもほぼ全編モノクロという大胆な構成です。
特に超自然的な展開はなく、監督自身の半生が淡々と語られているだけなのに、ものすごく面白い。地味とか派手とかそういう次元ではないですね。語り方がうまいのかもしれない。とにかく引き込まれる。イランという特異な政治体制の下で女性たちはどのように生きているのか?というのはもちろん興味深い主題ではありますが。
ちょっと不満なのは、監督がハタミ体制を完全に無視していること。まあ反体制の側からすれば、みんな同じに見えるかもしれませんけどもね。ハタミ大統領というのはすごかったと思う。アフマネジャドはまったくのポピュリストなわけで、現在は反動の季節、なのでしょうか。そういう政治屋が出てくるということはまた、民主主義の定着に向けて独自の形式を探してもがいている途上なんだと思う。早く光りが見えることを祈りつつ。
2008年01月14日
「いのちの食べ方」
本日、見てきました。結構ヒットしてるとは聞いていましたが、あの常に閑古鳥が鳴いている(失礼)第七芸術劇場が超満員になろうとは。
いや、第七芸術って、いかにも歓楽街のど真ん中で、ピンサロとかに囲まれて、シブいドキュメンタリーとかフィルムばっかりやってますから。こりゃあ、どう考えたって、普通は客が入らない。
ところが本日は補助席まで出す超満員。うわあ。
それにしてもサンポート・アップルシアター時代から知る者としては興味深いですねえ。昨年12月中旬に始まったばかりなのに、昨年の観客動員ランキング7位を獲得。まだまだもちろん公開中です。
そんなに人が入るこの作品、何なのかというと、要するに「食べ物残酷物語」。いつの時代もエログロは人が入るってことですか。そういう意味では、ことこの作品に限っては、劇場の立地条件にぴったり合ってるといえるかもね(^^;
要するに作品の中核を担うのは、鶏・豚・牛の屠殺・解体シーン。小ぎれいなスーパーのパック肉に慣れてしまった文明社会に、他の生き物の命を奪って生きながらえていることを再認識させようという主題です。まっさきに思いつくのは、フレデリック・ワイズマンの同様の作品である「肉」ですね。ただ、あれはモノクロだったからねえ。今回は総天然色なので淡々とグロいです(笑)まあ、観客の大半は高尚な哲学的意図というよりは、グロ的興味からでしょうけどね。ここまで人が押し寄せると、そうでとしか思えん(^−^;
とはいえこの作品がワイズマン作品と決定的に異なっているのは、セリフがひとこともなく、何の説明もなく、淡々と食べ物が作り出されていくさまが映し出されていくということ。そして、対象は肉に限らず、野菜、すなわち植物にもかなりの比重を置いている。ほとんどバイオプラントのような無機的な環境で黙々と作り出され、超大型の機械で黙々と収穫されていく植物たち。実は、個人的には肉よりもこっちの方がよっぽどグロかった。屠殺シーンは意外と冷静に見られましたよ。屠殺場でびっくりするほどたくさんのオバさんが働いていて、そちらの方が驚きだった。さすが白人は違う(笑)
それよりも野菜です、野菜。肉はグロい課程を得なければ手に入りませんが、野菜はそうではないですからね。とても野菜が野菜に見えなかった。これがグローバリズムというやつか、と初めて目に見える形で実感できた気分。
それにしても、ここまで美しい構図で、ひとことのセリフもなく見せ切った力業には本当に驚かされる。どれほどロケハンに時間がかかったのやら。映画撮ってる人間としては、いろいろと考えてしまいます。
いや、第七芸術って、いかにも歓楽街のど真ん中で、ピンサロとかに囲まれて、シブいドキュメンタリーとかフィルムばっかりやってますから。こりゃあ、どう考えたって、普通は客が入らない。
ところが本日は補助席まで出す超満員。うわあ。
それにしてもサンポート・アップルシアター時代から知る者としては興味深いですねえ。昨年12月中旬に始まったばかりなのに、昨年の観客動員ランキング7位を獲得。まだまだもちろん公開中です。
そんなに人が入るこの作品、何なのかというと、要するに「食べ物残酷物語」。いつの時代もエログロは人が入るってことですか。そういう意味では、ことこの作品に限っては、劇場の立地条件にぴったり合ってるといえるかもね(^^;
要するに作品の中核を担うのは、鶏・豚・牛の屠殺・解体シーン。小ぎれいなスーパーのパック肉に慣れてしまった文明社会に、他の生き物の命を奪って生きながらえていることを再認識させようという主題です。まっさきに思いつくのは、フレデリック・ワイズマンの同様の作品である「肉」ですね。ただ、あれはモノクロだったからねえ。今回は総天然色なので淡々とグロいです(笑)まあ、観客の大半は高尚な哲学的意図というよりは、グロ的興味からでしょうけどね。ここまで人が押し寄せると、そうでとしか思えん(^−^;
とはいえこの作品がワイズマン作品と決定的に異なっているのは、セリフがひとこともなく、何の説明もなく、淡々と食べ物が作り出されていくさまが映し出されていくということ。そして、対象は肉に限らず、野菜、すなわち植物にもかなりの比重を置いている。ほとんどバイオプラントのような無機的な環境で黙々と作り出され、超大型の機械で黙々と収穫されていく植物たち。実は、個人的には肉よりもこっちの方がよっぽどグロかった。屠殺シーンは意外と冷静に見られましたよ。屠殺場でびっくりするほどたくさんのオバさんが働いていて、そちらの方が驚きだった。さすが白人は違う(笑)
それよりも野菜です、野菜。肉はグロい課程を得なければ手に入りませんが、野菜はそうではないですからね。とても野菜が野菜に見えなかった。これがグローバリズムというやつか、と初めて目に見える形で実感できた気分。
それにしても、ここまで美しい構図で、ひとことのセリフもなく見せ切った力業には本当に驚かされる。どれほどロケハンに時間がかかったのやら。映画撮ってる人間としては、いろいろと考えてしまいます。
2008年01月03日
「地球外生命体捕獲」
コミケのついでに何本か映画を見たので、本日はその話をば。
「ブレアウィッチプロジェクト」の監督の一人が手がけたSF映画ってことで、ちょっと気になって見に行ってみました。レイトというのはそもそもメンド臭いし、見に行ってそもそも肌に合うかどうかは未知数。まあ2対1で外れのことの方が多いのですが。誰にでも受けるタイプなら、まあ普通に昼間上映してますわな(笑)それでも行ってしまうのは、たまに大当たりがあるから。それがレイトで映画を見る醍醐味ってやつですが。
んで、これはどうだったのかというと…うーん。まあまあ。それでもさすがレイト上映にぴったりなトンがった作品で、そういう意味では、払った金額に見合う価値はあるかなと。東京のアートシアターというやつは小ぎれいすぎて、この手の映画が合わない部分はたぶんにあるのですけどもね(^^;
「ブレアウィッチ」は、いろいろ文句を言う人もいるけど、見えないものを描こうとした、という点で偉大な作品だと思う。少々、大がかりに公開されすぎたのが残念なところで、もっと小さな小屋でこっそり見たいタイプの作品ではありましたが。
ただ、あの作品が傑作になったのは多分に偶然の要素も絡んでいて、それがあの3人がなかなか新作を撮れない原因なのかもしれない。「次はコメディを撮る」と言っていたけど、撮影中の事故で一人死んでしまったそうだから。制作は封印されてしまったんだろうか。だとしたら残念。
んで、今回のこの作品。田舎の農機具小屋からほとんど出ずに、捕獲したエイリアンを拷問しようとした農夫たちが追いつめられていく姿を描いていく、という実に陰惨な作品。万人にはお勧めしかねるトンがりぶりですが、SFに異質さや違和感を求める人なら、絶対に楽しめるはず。B級SF映画のルーチンを巧妙に使って、途方に暮れるほどの理解不能な何ものかを描いてみせる。そういう点では、ちゃんと「ブレアウィッチ」とつながってるんだなあ。
ラストはちょっとルーチン外し。本当なら、シェルターから出た男の目の前には果てしない焼け野原が…というのが定番のラストなんでしょうけど、あえてそれを外してる。主人公の妻が最後に問うとおり、一件落着なのかどうか保留した終わり方は逆にひどく不気味でいいかもしれない。限りなくデッドエンドに近いですけどね。
「ブレアウィッチプロジェクト」の監督の一人が手がけたSF映画ってことで、ちょっと気になって見に行ってみました。レイトというのはそもそもメンド臭いし、見に行ってそもそも肌に合うかどうかは未知数。まあ2対1で外れのことの方が多いのですが。誰にでも受けるタイプなら、まあ普通に昼間上映してますわな(笑)それでも行ってしまうのは、たまに大当たりがあるから。それがレイトで映画を見る醍醐味ってやつですが。
んで、これはどうだったのかというと…うーん。まあまあ。それでもさすがレイト上映にぴったりなトンがった作品で、そういう意味では、払った金額に見合う価値はあるかなと。東京のアートシアターというやつは小ぎれいすぎて、この手の映画が合わない部分はたぶんにあるのですけどもね(^^;
「ブレアウィッチ」は、いろいろ文句を言う人もいるけど、見えないものを描こうとした、という点で偉大な作品だと思う。少々、大がかりに公開されすぎたのが残念なところで、もっと小さな小屋でこっそり見たいタイプの作品ではありましたが。
ただ、あの作品が傑作になったのは多分に偶然の要素も絡んでいて、それがあの3人がなかなか新作を撮れない原因なのかもしれない。「次はコメディを撮る」と言っていたけど、撮影中の事故で一人死んでしまったそうだから。制作は封印されてしまったんだろうか。だとしたら残念。
んで、今回のこの作品。田舎の農機具小屋からほとんど出ずに、捕獲したエイリアンを拷問しようとした農夫たちが追いつめられていく姿を描いていく、という実に陰惨な作品。万人にはお勧めしかねるトンがりぶりですが、SFに異質さや違和感を求める人なら、絶対に楽しめるはず。B級SF映画のルーチンを巧妙に使って、途方に暮れるほどの理解不能な何ものかを描いてみせる。そういう点では、ちゃんと「ブレアウィッチ」とつながってるんだなあ。
ラストはちょっとルーチン外し。本当なら、シェルターから出た男の目の前には果てしない焼け野原が…というのが定番のラストなんでしょうけど、あえてそれを外してる。主人公の妻が最後に問うとおり、一件落着なのかどうか保留した終わり方は逆にひどく不気味でいいかもしれない。限りなくデッドエンドに近いですけどね。
2007年12月21日
「田舎医者」
「頭山」で世界を制したやまむら浩二の最新作。レイトで大阪でも始まりましたんで、行ってまいりました。それにしても、50分で1300円というのはどうにも割高。もう少しプライスダウンしていただいてもバチは当たらないと思うがどうか。「頭山」も「年をとったワニ」も、劇場公開時に見てるわけだしねえ。
まあ、それはそれとして、ご本人の公式HPに詳しいですが、「田舎医者」のプライズハンターぶりはすごい。オタワ映画祭グランプリにより、世界4大アニメ映画祭制覇という史上初の快挙をやってのけました。フレデリック・バックもユーリー・ノルシュテインにもできなかったのかということには逆に驚くけど、この作品が受賞作の山を築くことに対して文句のある人はいないでしょう。これから見る人のためにあえて黙っておきますが、本当にびっくりします。アニメってまだこんなことができたのか!という感じ。ここまで独創的な作品には最近ちょっとお目にかからない。
独創的な、というのはストーリーのことではありません。カフカの原作にはびっくりするほど忠実だから。じゃあ何がすごいのか。いやいや…言うまい言うまい。パンフレットにメイキングも収録されていますが、古典的なドローイングでどうやったらこんな表現ができるのか、途方に暮れます。確かにCGじゃこの質感は出ないけどもね。
カフカというのは、割と個人アニメ作家の想像力を刺激する人らしく、キャロライン・リーフの「変身」を始めとして、今までにもたくさんアニメ化されています。2年に1度、ヒロシマ国際アニメフェスに行くと、まあたいてい1本はカフカネタがあるものですよ。しかし、その大半が「カフカを読んだ読書感想文」の域を超えるものではなく、カフカの強烈な個性に負けないでいるのはなかなかに難しい。それだけに、こんな方法があったのか、という本作品の演出ぶりには圧倒されました。
声の出演は狂言の茂山一家。しかしあざといほどにジャポニズム調だった「頭山」と比べてみれば、びっくりするほどちゃんとドイツ的(カフカはドイツ人ではないけど念のため)な原作のテイストに忠実。それでいて茂山一家の芸風にもぴったり合ってるのがすごい。
やまむら浩二を「水棲」のころから知っている人間としてみれば、一作ごとに着実にうまくなりスキルを積み重ねてきた堅実さを感じ取れて感慨深い。生まれつきの才能に頼らずとも、努力と研鑽で、巨匠になることはできるんですね。なんだか勇気づけられる。
まあ、それはそれとして、ご本人の公式HPに詳しいですが、「田舎医者」のプライズハンターぶりはすごい。オタワ映画祭グランプリにより、世界4大アニメ映画祭制覇という史上初の快挙をやってのけました。フレデリック・バックもユーリー・ノルシュテインにもできなかったのかということには逆に驚くけど、この作品が受賞作の山を築くことに対して文句のある人はいないでしょう。これから見る人のためにあえて黙っておきますが、本当にびっくりします。アニメってまだこんなことができたのか!という感じ。ここまで独創的な作品には最近ちょっとお目にかからない。
独創的な、というのはストーリーのことではありません。カフカの原作にはびっくりするほど忠実だから。じゃあ何がすごいのか。いやいや…言うまい言うまい。パンフレットにメイキングも収録されていますが、古典的なドローイングでどうやったらこんな表現ができるのか、途方に暮れます。確かにCGじゃこの質感は出ないけどもね。
カフカというのは、割と個人アニメ作家の想像力を刺激する人らしく、キャロライン・リーフの「変身」を始めとして、今までにもたくさんアニメ化されています。2年に1度、ヒロシマ国際アニメフェスに行くと、まあたいてい1本はカフカネタがあるものですよ。しかし、その大半が「カフカを読んだ読書感想文」の域を超えるものではなく、カフカの強烈な個性に負けないでいるのはなかなかに難しい。それだけに、こんな方法があったのか、という本作品の演出ぶりには圧倒されました。
声の出演は狂言の茂山一家。しかしあざといほどにジャポニズム調だった「頭山」と比べてみれば、びっくりするほどちゃんとドイツ的(カフカはドイツ人ではないけど念のため)な原作のテイストに忠実。それでいて茂山一家の芸風にもぴったり合ってるのがすごい。
やまむら浩二を「水棲」のころから知っている人間としてみれば、一作ごとに着実にうまくなりスキルを積み重ねてきた堅実さを感じ取れて感慨深い。生まれつきの才能に頼らずとも、努力と研鑽で、巨匠になることはできるんですね。なんだか勇気づけられる。
2007年12月14日
「真・女立喰師列伝」
本日、見てきました。なんでこれがレイト公開なんだろう。前作のほうがよっぽど娯楽性低かったのに。純粋に映画としてのバラエティ・面白さとしてもこっちの方が断然上。それはひとつには、全部を押井が監督しているわけでもない、ということもあるのでしょうが。
しかしながら、気軽に余技のつもりで撮っているのか、押井パートも実に肩の力が抜けていていい感じ。「紅い眼鏡」のころの可憐な少女っぷりからみれば、兵頭まこも実にオバさんになりましたが、いい感じで老けてます。結構色っぽいお姉さまになりましたね。昔からのファンとしては少々さみしいが。
まず押井パートの「鼈甲飴の有理」。なにが驚いたって、菱美ゆり子のヌードを見ることになろうとは。いや、確かに昔脱いだけどさ(笑)しかし年取っても色っぽいですねえ。乳が垂れてきてるのは悲しいけど、乳首がとてもきれい…ってオレは何を言ってるんだ(笑)
続いての水野美紀の「バーボンの美紀」。今回のオムニバス中、唯一の駄作。そもそも、戦後史を中核にした立ち食いの話に西部劇混ぜたら意味ないし。酒は違うんじゃないか。「食う」というのとは。浮いてるよ。セリフ回しは棒読み、クサい演技。いりません。
「学食のマブ」は神山健治監督。神山店長のその後を描いてみせたのはなかなかのアイデア。しかも脚本が凝ってて意外性があって面白い。不思議な青春映画になってます。ファミレスなのになんで学食?と思ったら、ちゃんと理由があるのでした。なるほど。
「氷苺の玖美」は、亜熱帯的な田舎が舞台ですが、ちゃんと立ち喰いの話になってる。「青いパパイアの香り」みたいな話で、官能の寓話って感じ。これは違っててもちゃんと成立してます。
「クレープのマミ」は、腐りきった80年代の雰囲気を巧妙に再現してみせたマニアックな力作。そうそう、あの頃のアイドルのインチキな安っぽさが実によく出ている。ある意味、日本版「アメリカン・サイコ」ですね。しかもちゃんと架空の戦後史に乗っかった陰謀論の物語になっているのが面白い。
「ケンタッキーの日菜子」は、ほとんど立ち喰いの話とはいえませんが、デジタルな幻想の未来描写が印象的。ラストを飾るにふさわしいといえるでしょう。
そして「樹海」のEDがまたレトロでいい感じ。あーなんかサントラがほしくなってしまった。
しかしながら、気軽に余技のつもりで撮っているのか、押井パートも実に肩の力が抜けていていい感じ。「紅い眼鏡」のころの可憐な少女っぷりからみれば、兵頭まこも実にオバさんになりましたが、いい感じで老けてます。結構色っぽいお姉さまになりましたね。昔からのファンとしては少々さみしいが。
まず押井パートの「鼈甲飴の有理」。なにが驚いたって、菱美ゆり子のヌードを見ることになろうとは。いや、確かに昔脱いだけどさ(笑)しかし年取っても色っぽいですねえ。乳が垂れてきてるのは悲しいけど、乳首がとてもきれい…ってオレは何を言ってるんだ(笑)
続いての水野美紀の「バーボンの美紀」。今回のオムニバス中、唯一の駄作。そもそも、戦後史を中核にした立ち食いの話に西部劇混ぜたら意味ないし。酒は違うんじゃないか。「食う」というのとは。浮いてるよ。セリフ回しは棒読み、クサい演技。いりません。
「学食のマブ」は神山健治監督。神山店長のその後を描いてみせたのはなかなかのアイデア。しかも脚本が凝ってて意外性があって面白い。不思議な青春映画になってます。ファミレスなのになんで学食?と思ったら、ちゃんと理由があるのでした。なるほど。
「氷苺の玖美」は、亜熱帯的な田舎が舞台ですが、ちゃんと立ち喰いの話になってる。「青いパパイアの香り」みたいな話で、官能の寓話って感じ。これは違っててもちゃんと成立してます。
「クレープのマミ」は、腐りきった80年代の雰囲気を巧妙に再現してみせたマニアックな力作。そうそう、あの頃のアイドルのインチキな安っぽさが実によく出ている。ある意味、日本版「アメリカン・サイコ」ですね。しかもちゃんと架空の戦後史に乗っかった陰謀論の物語になっているのが面白い。
「ケンタッキーの日菜子」は、ほとんど立ち喰いの話とはいえませんが、デジタルな幻想の未来描写が印象的。ラストを飾るにふさわしいといえるでしょう。
そして「樹海」のEDがまたレトロでいい感じ。あーなんかサントラがほしくなってしまった。
2007年12月07日
「牡牛座」
今回は「病人コント」でしたよ!あたしかさん。あいかわらずふざけてていいなあ、このシリーズ。大阪のシネヌーヴォではいま、3部作一気に見られます。
ロシアを代表する映画監督、アレクサンドル・ソクーロフの最新作…とはいっても既に7年も前の作品。日本の資本も入っているというのにどうしてこんなに公開が遅れてしまったんでしょうね。まあ、一見動きが少なくて地味な映画だから、配給元が恐れをなした、ってところでしょうか。しかし、ソクーロフの映画っていつもそんなんだし(^^;
どちらかというと、「静かなる一頁」のころに比べれば意図的に観客を眠らせようという演出はめっきり影をひそめて、かなり娯楽的にも楽しめる作品になってきている気がする。
特にこの「二十世紀の指導者三部作」は、ソクーロフとしては例外的なまでにコメディ色が強く、普通の映画としてソクーロフ信者じゃない人が見ても十分に楽しめる内容といえるでしょう。
もちろん画面の偏執狂的な美しさは相変わらずで、なんと今回はカメラにレンズがない!代わりにプリズムが付けられていて、誰も操作できないのでソクーロフが自ら撮影、何度も目を手術するハメになるほど痛めたんだとか。ムチャするな〜確かにちょっと見たこともない質感の画面です。ピンホールカメラみたいな感じだなあと思っていたんだけど、そういうことか。
とはいえ、別に芸術すぎてお腹いっぱい、というわけでもなくて内容は結構敷居が低い。第1部「モレク神」はヒトラー、第2部「牡牛座」はレーニン、第3部「太陽」は天皇裕仁を主人公にしております。本来なら重厚な歴史ドラマが展開されるところなのでしょうが、画面は芸術しているのに、内容はコテコテのコメディ。おいおい。
第1部「モレク神」は要するに「バカ殿コント」。ヒトラーがボケまくってエヴァ・ブラウンにツッコミを入れられる衝撃の悪ふざけ。最初に見た時はそりゃあ驚いたもんです。いま、シネ・ヌーヴォの特集上映で見られるので、未見の方はぜひ。これなんせ、最近までDVDすらありませんでしたからね。
第3部「太陽」は実は執事コントなんじゃないかって最近思ったりしてます。要するにマニアックなご主人様・裕仁=ナギに佐野侍従長=ハヤテが振り回される構図かな。そうか、あれは「ハヤテのごとく」だったのか。って、おいおい。
では今回の第2部は…というと先述の通り病人コント。死にかけの病人のレーニンが親類縁者やら介護人やら見舞人(スターリン)やらに手荒く扱われます(笑)最後はレーニンもキレてステッキを振り回してそのへんを破壊…って本当に結構コテコテですね。
ただ、「太陽」がわれわれ日本人の特権で細かいところまで笑いが感じ取れたのに対して、ロシア的世界に根付いた「牡牛座」は細かい笑いのツボが分からないのがもどかしかったり。スターリンが見舞いに来たあとでレーニンが
「あいつ、グルジア人だっけ?」
と言ったら妻と妹が大笑いするくだりは、たぶんロシア人なら常識の何かなんでしょうなあ。なんか悔しい(^^;
ロシアを代表する映画監督、アレクサンドル・ソクーロフの最新作…とはいっても既に7年も前の作品。日本の資本も入っているというのにどうしてこんなに公開が遅れてしまったんでしょうね。まあ、一見動きが少なくて地味な映画だから、配給元が恐れをなした、ってところでしょうか。しかし、ソクーロフの映画っていつもそんなんだし(^^;
どちらかというと、「静かなる一頁」のころに比べれば意図的に観客を眠らせようという演出はめっきり影をひそめて、かなり娯楽的にも楽しめる作品になってきている気がする。
特にこの「二十世紀の指導者三部作」は、ソクーロフとしては例外的なまでにコメディ色が強く、普通の映画としてソクーロフ信者じゃない人が見ても十分に楽しめる内容といえるでしょう。
もちろん画面の偏執狂的な美しさは相変わらずで、なんと今回はカメラにレンズがない!代わりにプリズムが付けられていて、誰も操作できないのでソクーロフが自ら撮影、何度も目を手術するハメになるほど痛めたんだとか。ムチャするな〜確かにちょっと見たこともない質感の画面です。ピンホールカメラみたいな感じだなあと思っていたんだけど、そういうことか。
とはいえ、別に芸術すぎてお腹いっぱい、というわけでもなくて内容は結構敷居が低い。第1部「モレク神」はヒトラー、第2部「牡牛座」はレーニン、第3部「太陽」は天皇裕仁を主人公にしております。本来なら重厚な歴史ドラマが展開されるところなのでしょうが、画面は芸術しているのに、内容はコテコテのコメディ。おいおい。
第1部「モレク神」は要するに「バカ殿コント」。ヒトラーがボケまくってエヴァ・ブラウンにツッコミを入れられる衝撃の悪ふざけ。最初に見た時はそりゃあ驚いたもんです。いま、シネ・ヌーヴォの特集上映で見られるので、未見の方はぜひ。これなんせ、最近までDVDすらありませんでしたからね。
第3部「太陽」は実は執事コントなんじゃないかって最近思ったりしてます。要するにマニアックなご主人様・裕仁=ナギに佐野侍従長=ハヤテが振り回される構図かな。そうか、あれは「ハヤテのごとく」だったのか。って、おいおい。
では今回の第2部は…というと先述の通り病人コント。死にかけの病人のレーニンが親類縁者やら介護人やら見舞人(スターリン)やらに手荒く扱われます(笑)最後はレーニンもキレてステッキを振り回してそのへんを破壊…って本当に結構コテコテですね。
ただ、「太陽」がわれわれ日本人の特権で細かいところまで笑いが感じ取れたのに対して、ロシア的世界に根付いた「牡牛座」は細かい笑いのツボが分からないのがもどかしかったり。スターリンが見舞いに来たあとでレーニンが
「あいつ、グルジア人だっけ?」
と言ったら妻と妹が大笑いするくだりは、たぶんロシア人なら常識の何かなんでしょうなあ。なんか悔しい(^^;
2007年10月26日
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
えーと。見る気はあんまりなかったんですが。しかし、いつまでたっても上映が終わらないので、渋々見てしまいましたよ(^^;
まあ、ケナすにしても一応見ておかないとその資格はないからね。
基本的に今回の劇場版シリーズについては「出し遅れの証文」だと思っています。それ以外の何物でもない。確かにオリジナルのテレビ版はひとつの時代を築いたことは否定しないし、いつの時代も制作者の意図を超えて時代の大波に乗ってしまう作品というのはあるものです。ただ、いまこの作品をやる意味がどこに?
しかし客層を見ていて面白かったのは、ほとんど当時と入れ替わっているということですね。ヤマト、999、ガンダムがリアルタイム層と一緒に持ち上がっていっているのとくらべて、この入れ替わりぶりはどうでしょう。オレ、明らかに浮いてたよ(^^;つまりこの作品は、ある特定の時代ではなく、特定の年齢層に支持され続ける作品ってことですか。なら、リメイクの意味もある?いや、しかしここまで変わらないのも、リメイクの意味があるのかどうか。
ストーリー的には特に言うことは何もなし。ストーリーが大幅に変わっていくのは次回からのようで、今回はむしろテレビアニメの劇場版総集編という感じの印象を受けました。
ていうかそもそも、「でっかいテレビ画面を見ている感覚」は全然変わっていない。いやはや画面がびっくりするほど平べったいのですよ。空間の奥行きが感じられない。エヴァ以降のアニメの大きな特徴としてCGの多用が挙げられます。結果として、画面にかなり透明感と奥行きが生まれたわけですが、このアニメはその技術の蓄積がまったく生かされていない。確かに部分的にはCGを使ってますけどね。申し訳程度。
仕方ないかもですね。だって、古い作画をそのまま使ってそれをパソコン上で加工しているそうですから。CG以前の空間設定を引き写したばあい、いくらそこにCGを乗せてももう空間は生まれない。ゼロから空間を作りなおさない限りは。
この先、作品としての統一感というものを考えた場合、このまま平べったい空間で続けていくしかないのでしょうねえ。それは果たして意味のあるものになるのかどうか。私ははなはだ疑問に思えます。
まあ、一応見届けるつもりではありますけどね。
まあ、ケナすにしても一応見ておかないとその資格はないからね。
基本的に今回の劇場版シリーズについては「出し遅れの証文」だと思っています。それ以外の何物でもない。確かにオリジナルのテレビ版はひとつの時代を築いたことは否定しないし、いつの時代も制作者の意図を超えて時代の大波に乗ってしまう作品というのはあるものです。ただ、いまこの作品をやる意味がどこに?
しかし客層を見ていて面白かったのは、ほとんど当時と入れ替わっているということですね。ヤマト、999、ガンダムがリアルタイム層と一緒に持ち上がっていっているのとくらべて、この入れ替わりぶりはどうでしょう。オレ、明らかに浮いてたよ(^^;つまりこの作品は、ある特定の時代ではなく、特定の年齢層に支持され続ける作品ってことですか。なら、リメイクの意味もある?いや、しかしここまで変わらないのも、リメイクの意味があるのかどうか。
ストーリー的には特に言うことは何もなし。ストーリーが大幅に変わっていくのは次回からのようで、今回はむしろテレビアニメの劇場版総集編という感じの印象を受けました。
ていうかそもそも、「でっかいテレビ画面を見ている感覚」は全然変わっていない。いやはや画面がびっくりするほど平べったいのですよ。空間の奥行きが感じられない。エヴァ以降のアニメの大きな特徴としてCGの多用が挙げられます。結果として、画面にかなり透明感と奥行きが生まれたわけですが、このアニメはその技術の蓄積がまったく生かされていない。確かに部分的にはCGを使ってますけどね。申し訳程度。
仕方ないかもですね。だって、古い作画をそのまま使ってそれをパソコン上で加工しているそうですから。CG以前の空間設定を引き写したばあい、いくらそこにCGを乗せてももう空間は生まれない。ゼロから空間を作りなおさない限りは。
この先、作品としての統一感というものを考えた場合、このまま平べったい空間で続けていくしかないのでしょうねえ。それは果たして意味のあるものになるのかどうか。私ははなはだ疑問に思えます。
まあ、一応見届けるつもりではありますけどね。
2007年10月10日
山形国際ドキュメンタリー映画祭2007その4
ついさっき閉会式が終わりました。んで、結果はどうだったかというと
アジア千波万波はぜんぜん見てないのでこの際飛ばして、
とりあえず最高賞の小川紳介賞は「藁愛(ビンアイ)」という中国の作品でした。この作品、コミュニティシネマ賞も取ったので、日本で一般公開されると思います。そん時に見よ。
で、コンペ部門はどうだったのかというと、
特別賞「垂乳女」川瀬直美監督
うーん。悪くはないですよ。さすがうまいなあと。自分の出産シーンでカメラまわすなんて余裕あるしね(^^;ただ、この人、もうぼちぼち大体全体像が見えてしまった気がするので。そろそろ新しい何かが見たい。
優秀賞
「M」ニコラス・プリビテラ監督
アルゼンチンの軍事政権の犯罪を告発した150分の大作。そういう意味では評価されるんですよね、こういうの。ただ、あまりにも直球なのに、なにも作品中で明らかにならないのは作品として失敗ではないかな。個人的には好きじゃないです。
優秀賞、もう1本。
「旅−ポトシへ」ロン・ハヴィリオ監督
これ、見逃したなあ。4時間もあるんだ。仕方ないや、全国巡業の時に見ようか。
準グランプリ、山形市長賞
「アレンテージョ、めぐりあい」ピエール=マリー・グレ監督
とても美しい、でも今は荒廃してしまった土地の物語。いや、それはもうキレイですよ、画面。ちょっと眠かったけどね(^^;
そして大賞は…
「鳳鳴−中国の記憶」王兵監督
これが取ったか!賛否割れると思っていたのでちょっとびっくり。なんせ、映像的にはおばちゃんが3時間、固定ショットで画面に向かって延々語り続けているだけのものですからね。ただ、その話はものすごく引き込まれる。そういう点では、王兵があえて作家性を放棄したのはすごくよく分かる。ただ、これで何か賞を取れるとはまったく思っていなかったみたいで、王兵自身が一番驚いてました。そうだろうなあ。
ただ、逆に考えれば「映画とは何だろう」と見る者を挑発するこれほどすごい作品はないわけで、よくぞ与えた!という感じ拍手送りたいですね。たぶん全国巡回でも上映されます。興味のある人は見てください。
さーて、明日の受賞作上映で午前中の1本だけ見て、いよいよ帰途へ。映画、堪能しました。また2年後!
アジア千波万波はぜんぜん見てないのでこの際飛ばして、
とりあえず最高賞の小川紳介賞は「藁愛(ビンアイ)」という中国の作品でした。この作品、コミュニティシネマ賞も取ったので、日本で一般公開されると思います。そん時に見よ。
で、コンペ部門はどうだったのかというと、
特別賞「垂乳女」川瀬直美監督
うーん。悪くはないですよ。さすがうまいなあと。自分の出産シーンでカメラまわすなんて余裕あるしね(^^;ただ、この人、もうぼちぼち大体全体像が見えてしまった気がするので。そろそろ新しい何かが見たい。
優秀賞
「M」ニコラス・プリビテラ監督
アルゼンチンの軍事政権の犯罪を告発した150分の大作。そういう意味では評価されるんですよね、こういうの。ただ、あまりにも直球なのに、なにも作品中で明らかにならないのは作品として失敗ではないかな。個人的には好きじゃないです。
優秀賞、もう1本。
「旅−ポトシへ」ロン・ハヴィリオ監督
これ、見逃したなあ。4時間もあるんだ。仕方ないや、全国巡業の時に見ようか。
準グランプリ、山形市長賞
「アレンテージョ、めぐりあい」ピエール=マリー・グレ監督
とても美しい、でも今は荒廃してしまった土地の物語。いや、それはもうキレイですよ、画面。ちょっと眠かったけどね(^^;
そして大賞は…
「鳳鳴−中国の記憶」王兵監督
これが取ったか!賛否割れると思っていたのでちょっとびっくり。なんせ、映像的にはおばちゃんが3時間、固定ショットで画面に向かって延々語り続けているだけのものですからね。ただ、その話はものすごく引き込まれる。そういう点では、王兵があえて作家性を放棄したのはすごくよく分かる。ただ、これで何か賞を取れるとはまったく思っていなかったみたいで、王兵自身が一番驚いてました。そうだろうなあ。
ただ、逆に考えれば「映画とは何だろう」と見る者を挑発するこれほどすごい作品はないわけで、よくぞ与えた!という感じ拍手送りたいですね。たぶん全国巡回でも上映されます。興味のある人は見てください。
さーて、明日の受賞作上映で午前中の1本だけ見て、いよいよ帰途へ。映画、堪能しました。また2年後!
2007年10月09日
山形国際ドキュメンタリー映画際その3
昨日は更新できませんでしたので、2日ぶんの途中まで。
昨日もすごい人で、朝の行列に並んでいるうちに路線変更。「旅−ポトシへ」見たかったんだけどなあ。まあいいか。コンペ作品は巡業があるし。
というわけで本日も「科学映画特集」。もともと「ドイツ・ウーファ社文化映画選」は見たかったからね。まあいいか。しかしこれ、年代的に言うとナチス政権下に作られてるんですよねえ。道端にさりげなく鍵十字の看板があったりしてドキッとする。でも、内容的にはまったく無害なフクロウの生態だったりするわけで。この落差をなんとみたものか。さらに半分ぐらいは日本で作られた吹き替え版で、このフクロウの映画の場合、「フクロウの赤ちゃんはお母さんに叱られて涙を流しております」とか、ナレーションでしゃあしゃあとウソをつく(笑)フクロウが涙を流すかっ!
もう一方は「日本作品集・宇宙大作戦!」なるプログラム。とはいってもスポック船長が出てくるわけではなくて、宇宙映画を集めたもので、映画としてはこっちの方が面白かった。戦前の日蝕の映画では、妙に気負った科学万能主義的なナレーションが苦笑もので、
「われらがすばらしき科学の力を前にしてはさしもの太陽もこれこのとおり、黒点を見るためのレンズを通してしまうと、あたかもしなびたみかんのような姿をあらわにするのであります」
と、ほとんど誇大妄想的なありさま。ではごく最近の作品はどうかというと、スマップ風のホスト声で
「…宇宙に、電波のレンズが生まれた…」
と、なんとも芝居くさい。ナレーションも時代を映すということなのでしょうねえ。興味深い。
コンペ作品は「12タンゴブエノスアイレスへの往復切符」「垂乳女」「ワイルド・ワイルド・ビーチ」の3本。600人入るメインホールすら超満員のあり様となっては、もはやどうすればいいんだ(^^;
アルゼンチンの経済破綻をタンゴミュージシャンたちの視点からとらえた「12タンゴ」が一番面白かったかな。これ、音楽満載で娯楽色も高いので、劇場公開あるかもです。
そして本日。また「科学映画特集」
「身の回りの科学」「ジャンパルヴィエの愉快な世界」でしたが。結局、このプログラム、ほとんど全部見てしまったなあ。どれもなかなか面白かったけど。「ジャン・パルヴィエ」のアートな感覚はなかなか私好み。特に、「四次元」なんてずいぶん古い作品なので、ひとむかし前の少年雑誌レベルの話ではあるけど、短編科学映画で「四次元」を取り上げようというのは立派。いま、だれか「超ひも理論」やってくれないものか。
コンペは「アレンテージョ、めぐりあい」「僧院物語」「リックソルト」の3本。まだ見てる途中。そして本日の締めは「マルチ・スクリーニングプロジェクト・ニッポン劇場」
また明日にでも書き足しますかね。ではでは。
昨日もすごい人で、朝の行列に並んでいるうちに路線変更。「旅−ポトシへ」見たかったんだけどなあ。まあいいか。コンペ作品は巡業があるし。
というわけで本日も「科学映画特集」。もともと「ドイツ・ウーファ社文化映画選」は見たかったからね。まあいいか。しかしこれ、年代的に言うとナチス政権下に作られてるんですよねえ。道端にさりげなく鍵十字の看板があったりしてドキッとする。でも、内容的にはまったく無害なフクロウの生態だったりするわけで。この落差をなんとみたものか。さらに半分ぐらいは日本で作られた吹き替え版で、このフクロウの映画の場合、「フクロウの赤ちゃんはお母さんに叱られて涙を流しております」とか、ナレーションでしゃあしゃあとウソをつく(笑)フクロウが涙を流すかっ!
もう一方は「日本作品集・宇宙大作戦!」なるプログラム。とはいってもスポック船長が出てくるわけではなくて、宇宙映画を集めたもので、映画としてはこっちの方が面白かった。戦前の日蝕の映画では、妙に気負った科学万能主義的なナレーションが苦笑もので、
「われらがすばらしき科学の力を前にしてはさしもの太陽もこれこのとおり、黒点を見るためのレンズを通してしまうと、あたかもしなびたみかんのような姿をあらわにするのであります」
と、ほとんど誇大妄想的なありさま。ではごく最近の作品はどうかというと、スマップ風のホスト声で
「…宇宙に、電波のレンズが生まれた…」
と、なんとも芝居くさい。ナレーションも時代を映すということなのでしょうねえ。興味深い。
コンペ作品は「12タンゴブエノスアイレスへの往復切符」「垂乳女」「ワイルド・ワイルド・ビーチ」の3本。600人入るメインホールすら超満員のあり様となっては、もはやどうすればいいんだ(^^;
アルゼンチンの経済破綻をタンゴミュージシャンたちの視点からとらえた「12タンゴ」が一番面白かったかな。これ、音楽満載で娯楽色も高いので、劇場公開あるかもです。
そして本日。また「科学映画特集」
「身の回りの科学」「ジャンパルヴィエの愉快な世界」でしたが。結局、このプログラム、ほとんど全部見てしまったなあ。どれもなかなか面白かったけど。「ジャン・パルヴィエ」のアートな感覚はなかなか私好み。特に、「四次元」なんてずいぶん古い作品なので、ひとむかし前の少年雑誌レベルの話ではあるけど、短編科学映画で「四次元」を取り上げようというのは立派。いま、だれか「超ひも理論」やってくれないものか。
コンペは「アレンテージョ、めぐりあい」「僧院物語」「リックソルト」の3本。まだ見てる途中。そして本日の締めは「マルチ・スクリーニングプロジェクト・ニッポン劇場」
また明日にでも書き足しますかね。ではでは。

