2008年03月24日

パリ遍歴記VNOIR聖地巡礼

 えーお待たせしました。これこそまさしくお待たせしました、ですな(^^;ここはあくまで真下耕一ファンサイトなんだから。今回の旅行におけるパリのNOIRロケハン地特定については、下記の英文サイトを参考にさせていただきました。というか、ほぼ完全な受け売りです(笑)情報提供はいつもどおり米英NOIRファンサイト「Bee Train Fan!」のBillさん。感謝です。

 http://www.beetrainfan.org/paris/Paris01.htm

 このページを見ていただければ私が付け加えることはほとんどなかったりするんですが(笑)それはあまりにもミもフタもないので、一応、このサイトをもとにパリを巡ったルポを報告させていただきます。

 まずはこちら。

noir1.JPG

 第5話「レ・ソルダ」冒頭のワンシーンです。「そういえば」と思い出していただけるでしょうが、ミレイユと霧香がこういう橋のたもとの階段で話をしているシーンはやたら多い。実はこれはセーヌ川なんですねみんな。

pari7.JPG

 どうせなら同じ角度で撮っておけばよかった、というのは帰って「NOIR」を再チェックして気付くわけで(笑)次にチャレンジする時は静止画プリントアウトして持って行くかね(^^;

 んで、ミレイユたちが川岸の階段下でミーティングしているシーンも結構ある。ちょっとぴったりの絵が出てこなかったんですけど、たとえばこういう風景。

noir4.jpg

 写真を見ていただければ「あれね」と納得していただけるはず。こういう場所です。この階段の下あたり…

pari8.JPG

 これはポンヌフ橋のたもと。チェックしてみると、ポンヌフ橋はびっくりするほど頻繁に登場します。たとえば第18話「私の中の闇」。

noir3.jpg

 特徴的なくぼみと街灯のある様子、ちょっと画面ではとらえにくいかな?申し訳ない。

pari1.JPG

 上記英文サイトが何よりすごいのは、ミレイユのアパルトマンが存在する場所を、窓から見える風景を頼りに特定してしまったこと。これは本気ですごい。

 noir2.JPG

 この窓から見えるのは、実はパリでも指折りに古い教会であるサンジェルマン・デュ・プレなのです。さすがにミレイユのアパルトマンそのものがあるはずの場所までは行きませんでしたが(写真が撮れるとは思わないからね)詳しくは上記サイトをどうぞ。とりあえず、私はサンジェルマン・デュ・プレには行きました。

 Pari3.JPG

 地上から見上げた構図なので分かりにくいですが、特徴的な塔の様式がぴったり一致している点は見ていただけるでしょうか。

 続いては同じく「ル・ソルダ」のエピソードに登場するサンギャラン教会。ここのカタコンベでミレイユたちはソルダの詩篇を入手するわけですが…

noir6.JPG

 なんとこれは実はパリ髄一の観光名所であるノートルダム寺院なのでした(笑)

pari2.JPG

ここにカタコンベはない…はず(笑)確かにパリにカタコンベはありますが、それはぜんぜん違う場所です。じゃあ、このミレイユの出てきた地下道は何なのかというと…

noir7.JPG

 行ってみたらトイレでした(笑)。写真撮っておけばよかった。まあトイレの写真撮ったら絶対誤解されるしなあ。無理か(^^;

 残念ながらノートルダム寺院の中で写真は撮れなくて…

noir8.JPG

 かわりにサンジェルマン・デュ・プレの内部をば。こっちの方が古いので、ずっと地味ですけどね。雰囲気はつかんでいただけるかな。

pari4.JPG

 本当は、一番好きな第3話「暗殺遊戯」に登場する墓地を探してみたかったのですが、パリは結構規模の大きな墓地が多く、無理でした。英文サイト投稿者のFallenAngelさんも無理だったみたい。どなたか情報提供求む。北山さんとか(オイ)

 「NOIR」には出てきませんが、一応行ってきたのでルーブルのガラスのピラミッドも。これ、作品中で使ってたら結構刺激的な絵ができたかもですねー

pari6.JPG

 あ、そうそう。ぜんぜん関係ないのですが、今回泊まったホテルの部屋の真向かいの部屋ナンバーが「334」でした…と、SFファンでなくては分からないようなネタを言ってみる(笑)

 pari5.JPG

 次回は荘園のある南仏かなー…ってそれはどこなんだ(^^;
posted by てんちょ at 03:03| 大阪 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月04日

NOIR第26話「誕生」

 「スパイダーライダーズ」、ちょっと待ってください。本日、最終話見たもんで、感慨がさめないうちに前倒し。ここんとこ、かなり簡略なメモ書きで、しかもけっこう辛口な評価でしたからねえ。

 でも、最終回はさすがに襟を正して見ましたよ。やはり、力の入り具合は尋常じゃなかった。ミレイユが回廊で滑り込みながら背後から来る敵を狙撃するシーンなんて、もうぞくぞくっとくるほど緊張感のある見事な映像でした。狙撃の瞬間、画面の天地が逆になる、とか、こういう純粋に映像的な仕掛けの面白さは本当に真下ならではの演出ですね。「エル・カザド」第1話の原点をここに見た思い。

 最初に見たときは、葡萄畑でガンシューティングゲームのようにヒョコヒョコとシスターが出てくるシーンでがっくり来たものでした。まあ、そのあたりは今回もいまいち感心できませんでしたが。このアニメ、基本的には男が撃たれ役の無個性なコマで、女が血の通ったキャラクターというのが原則。そこにフェミニズム的解釈が生まれる余地があり、この作品を特殊なハードボイルド作品としてエポックメーキング化したと思うのですが。それだけに、女性がコマのようにバタバタ撃たれるシーンに強い違和感を覚えたということでしょうか。

 もっとも、全編を通して見ると印象的な男性キャラクターも何人かいました。迷い猫の飼い主ナザロフ、クロエのターゲットだった退役将軍ライマン、霧香が淡い好意を抱いたミロシュ、ミレイユが心を許したクロード叔父さん、そして評議員ブレフォール。今回再見してもっとも強く印象に残ったのがこのブレフォールで、出番は少ないけど、強烈な存在感がありました。さすが銀河万丈。もっと語られてもいいキャラクターだと思う。

 アルテナとの最後の対決シーンはやはり緊張感がありました。この人、ずいぶんとつかみどころがないように思えたものだけど、要するにフライデー+レティシアなんだ。初見時には、二人が結局アルテナの目論見に乗ってしまったように見えたものだったけど、必ずしもそうでもないことが、今回はっきりと分かりました。二人は「NOIR」になったけれど、それはアルテナが望んだ刺客めいたものとは違う。個人としての二人が生きていくためのよりどころ、といったところでしょうか。

 だから、やはり最後の銃声は二人が殺されたことを意味するものではない、のですよね。なにしろ「誕生」だし。一種の「宣言」のように思えたものでした。

 全体としてみれば、結構面白く見られたと思います。ただ、やはり真下は進化し続けているな、というのが結論。あんまりNOIRにこだわりすぎると、見誤るかも、という思いを持ちました。でもまあ、本当に画期的な作品だったのですよね、01年当時は。やはりすごい。御大は。週1回ペースでようやく見直すことができて感慨深かったです。
posted by てんちょ at 00:00| 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月30日

NOIR第25話「業火の淵」

 クロエ死す。とうとうここまで来たか、と感慨深いですね。こと真下作品に関しては、誰しも自分の一番お気に入りの作品と比較して見てしまいがちなわけで。まあ、大半の方にとって基盤となるのはこの「NOIR」なわけですが。私はやはり「MADLAX」であるらしい。もちろん見たのは「NOIR」の方が一応、先ですが。レンタルビデオの形で、でなんですよね。

 こうして今回初めてCSで毎週エアチェックした感想は、確かに初見の当時とはかなり変わってました。ただ、それはどうも「MADLAX」を通過したせいらしい。だから、比較の視点は変わったけど、やはり最終盤の展開にはやっぱりなじめないままでした。うーん残念。好きな人の気持ちは分かるんですけどね。

 ただ、今回、霧香の再変化に際して、音の演出を駆使した展開となっていたのはさすが、という感じでしょうか。
posted by てんちょ at 18:42| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月23日

NOIR第24話「暗黒回帰」

 今回のタイトルはマイケル・ムアコックの「暗黒の回廊」プラスバリントン・J・ベイリーの「永劫回帰」じゃないかと思います。月村氏はやっぱり文学通でSFファンってことですね。さすがに全部は分からなかったけど。まあ、そういう視点でこのアニメを切り取った人はいなかったはず。そういう点では、新たなNOIR論の糸口となるかもしれない、なんて思ったりして(^^;

 今回と次回は、クロエ、一瞬の恋の成就(泣)

 まあ、最後においしいところかっさらっていったリメルダとは好対照ですねえ。逆にあれは「やられた」と思った。

 そういえば、今回って、ほぼ唯一の「だれ一人死なない」エピソードだったんじゃなかろうか。 
posted by てんちょ at 18:23| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

NOIR第23話「残花有情」

 いよいよ最終盤となってきました。今回は、前回と対をなす、ミレイユメインのエピソード。それにしても、今回見返していて思ったのが、このエピソードでのミレイユは、まさしく「敵に捕らわれた愛しのお姫様を救いに行く王子様」って感じだなあってことでした。いったいどのあたりから、ここまで確信犯的にレズ話になったのか。やはり「コルシカに還る」かなあ。

 ヲタク受けどうこう、よりも、確かに真下演出のレズ描写は、他ではありえないほどの艶がある。ふつうは非常に書き割り的だったりうそくさくなったりしがちですからね。そういう意味では成功しているんだと思う。まあ、レズ描写としては、次作の「MADLAX」のほうがものすごい。なんせあの作品には最強キャラのエリノアがいますからね(^^;

 それはさておき。今回のエピソードですが。ミレイユを取り込みに来るソルダ主流派の評議員プレフォールが非常に興味深かった。あちこちで登場して、不思議な存在感を残していった評議員たちですが。今回は印象深いのも道理。なんせ声は銀河万丈!影の大魔王さまですよ(笑)一瞬だけ登場するカリスマキャラに、思いがけない大ベテランを配置するのも、この作品の隠し味的な魅力でしょう。さすがに真下が自身で音響演出も手がけているだけのことはありますね。まあ、ここまでやるんだったら、評議員の一人に江原正士を潜り込ませてくれてもよかったのに。この作品に江原ボイスがないのは、なんとも残念。今回、毎回目を皿のようにしてEDのキャストをチェックしてたんですけど、出てきませんね。まあ、あの人の声は、声優に疎い私でも容易にわかりますが。

 まあ、その心残りもあっての、「MADLAX」でのフライデー起用だったんだろうなあ。あれは、江原氏のためにある役というか、江原氏を出すためにわざわざ作った役、という気さえしますからね。

 ところで、最後に荘園に到着した霧香。表情がクロエとほぼ同じになっていたのは、まあ演出上の意図を反映したものなんでしょうねえ。あそこで育てられるとみんなクロエ顔になってしまうのかと思うと、少し恐いんですが(^^; 
posted by てんちょ at 14:43| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

NOIR第22話「旅路の果て」

 タイトルはもちろん、米ニューフィクションの旗手ジョン・バースの初期代表作「旅路の果て」(白水社刊)から。こうしてみると、月村氏って、本当に文学趣味ですねえ。映研路線を突っ走る真下とはどう見ても水と油だ。この後、このコンビが二度と組まれなかったのも無理はない。黒田氏とは、すぐに「スパイダーライダーズ」で再起動してるのにね。

 んで、フリーメイソン陰謀論的描写が色濃くなってくるこのへんからのテイストは、明らかに月村氏の趣味でしょう。確かに、ハードボイルドな殺し屋の物語が秘密結社の陰謀論に変転していったらかなり意外。まあ、陰謀論というのは一種の被害妄想ですからね。文学と近いかもしれない(えー)
 まあ、脚本家の戦略としてはかなり悪くないチョイスだと思いますよ。

 問題は、真下があんまりそのことに興味がなかったみたいなことでしてね。すごくどうでもいいと言わんばかりのこの演出ぶり(笑)クロエとの三角関係がクローズアップされる次回以降でまたやる気が出てきたような気が(ヲイ)

 まあ、少なくとも今回は最終盤エピソードの第1弾。霧香の苦悩、そして黒霧香の発動までの流れはうまく描かれていたように思います。そういう手堅さは保持する人ですから。しかし、やはりこうして見返してみると、あんまり興味はなさそうな感じは受けますねえ。御大は。

 スペイン国境に「八瀬童子」みたいな「異形の民」が太古から潜んでいる、という設定はなんか実にそれっぽくて、ある意味では「クトゥルー」っぽいともいえる。まあ、月村氏の発案なんでしょう。文学的だ。

 路地の奥から住民たちが猟銃を手に押し寄せてくる、なんて場面は、いかにも真下っぽくていいんですが。「まぼろしの市街戦」かな?あれは。 
posted by てんちょ at 23:59| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

NOIR第21話「無明の朝」

 なんかずいぶんとけちょんけちょんに言ってしまった前回でしたが。今回はじっくり見ているとなかなか真下演出の冴えが感じられて面白かったですよ。

 特に、序盤からじわじわと断片的に見せられてきたミレイユの断片的な記憶が、最終的な形で完成する、という点でも。そんな「答え合わせ」回の今回でも、やっぱり断片的に現在のエピソードとごちゃ混ぜにして見せていく、真下ならではの前衛演出が絶好調なのはさすがです。

 クロエの子供時代の顔は、なんで今よりはるかに目がデカいのだろうと不思議に思いましたけど(^^;

 目、といえば、前回の「笑ってしまうほどコテコテな黒霧香」と対照的に、1ショットごとに微妙に霧香の瞳の大きさが変えられている、という展開が興味深いところでした。黒・白霧香が明らかに混交している微妙なさじ加減の演出、このあたりは抜群の真下味でしたね。

 特に最後の、「私を撃って」というミレ霧の長い長いやりとりは実に濃密でエロティック。性的な暗喩もたっぷり効かせてました。こういう長い展開をじっくり、たっぷり見せる、これまた真下演出の真骨頂ですね。
posted by てんちょ at 02:40| 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月24日

NOIR第20話「罪の中の罪」

 ソルダって、結局のところフリーメーソーンのイメージなんですね。なんか評議員の格好とか見てて気がついた。いまさらですが。まあ、実際のところ、本来のフリーメーソンは活動内容が秘密なだけの、ただの社交クラブなんだそうですが(^^;

 ただ、こういう陰謀論的世界に傾倒していくと、この作品本来のハードボイルドなテイストと荒唐無稽なアクションの真下演出な楽しみからは、果てしなく遠ざかっていく。月村氏の趣味に基づくものなのでしょうが。ちょっとウテナっぽいしね。

 やっぱ、所見時にこのあたりから非常にがっかりした気分を抱いてしまったのは故なきことではない気がします。真下作品のベストとして「NOIR」を推す人は周囲でも大変多いのですが、私としては、どうしてもそういう気にはなれない。やはり真下の最高傑作は量子論とガンアクションを結びつけた超感覚演出の極北「MADLAX」。これは譲れません。

 今回、久々に「黒霧香」の目つきを見てしまいましたが、いや、実のところ、はっきり言って吹いた(^^;あんなんだったっけ?なんかギャグっぽい気が…「MADLAX」では、そういうギャグすれすれの表現を、もっと確信犯的にきわどいところで操っている気がしますね。

 ただ、ひとつ発見が。グラン・ルトゥール復活を志したアルテナの少女時代の姿、人形を抱えて内戦の中を逃げ惑う呆けた表情は、あれはどうみてもレティシアの原型ですね。なるほど、そういう仕掛けだったか。ますます「MADLAX」のすごさに圧倒されてきた。

 …それにしても、ヨーロッパは戦後、ボスニア内戦まで戦火に焼かれていないのですから、アルテナ、いったい何歳だという話(−−;まあ、「少し未来の話」という、みんな忘れている設定(笑)もあるので、あれがボスニア内戦、という可能性もないではないのですが、だとしたら「NOIR」の世界はどんだけ未来なんだか。現在とぜんぜん変わらなすぎですね(^^;
posted by てんちょ at 01:20| 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

NOIR第19話「ソルダの両手」

 今回のタイトルの元ネタはシオドア・スタージョンの「ビアンカの手」かな?とか思ってみたり。正確に訳すと「ビアンカの両手」になるそうだし。まあ、思いつきです。眉ツバのつもりで聞いていただければ(笑)どのみち、そういう話は月村氏が好みそうな領域ですし。

 今回から、徐々に悲劇的なクライマックスに差し掛かってきて、ハードボイルドで荒唐無稽な殺し屋アクションからは遠ざかっていってしまうのがちょっとさみしいところ。

 ただ、見返してみているといろいろと発見はあるもので、ソルダの写本を持っていたオーストリアの富豪というのが、なんか特徴的な声だなあ、と思っていたら、なんと高木均!!みなさん覚えてますか。ムーミンパパですよ。武村正義じゃありませんよ、ってこっちの方が忘れ去られてるか(笑)確かもう亡くなっていたと思うけど、このときはまだ生きていたんだなあ。確かにこういう場面でフッと登場すると、実に印象的。

 ソルダの写本を捜し求めるエピソードって、月村氏のアイデアだと思うんだけど、なんかクトゥルーものっぽいですよね(笑)これまた月村氏の文芸趣味でしょうか。冷静に考えれば何も写本そのものにこだわらなくっても、ソルダについて知る手段はいくらもあったろうに、それでもそういう方向に行ってしまうのが月村氏なのでしょうか。結果として、今回はやや間つなぎ的な印象を受けます。

 真下節の真骨頂は、クロエと対峙するクライマックス、直接セリフとして語らずにミレイユの両親を殺したのが霧香だと悟らせてしまうところでしょうね。序盤から仕掛けてきた断片的要素が徐々に埋まっていき、次回で完結することになります。こういう展開、真下は本当に超一流ですね。問題は、そのあとまだ6話も残っている、ということなんですけど(^^;

 まあ、そのあたりは見返してチェックしていくこととしますか。
posted by てんちょ at 00:15| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月11日

NOIR第18話「私の闇」

 「NOIR」は基本的には、ミレイユが霧香を追っかける話だと思うんだけど、これは実に珍しく霧香がミレイユを追いかける話。まあ、よく考えてみれば、ここまでの展開が実に巧妙なので、メイン3人の行動に説得力がある。霧香とミレイユの間に隙間風が吹き始めたのに、その亀裂を押し広げるのはどうにも良心が痛むので、ついつい仲直りの手助けをしてしまう…って、クロエの立ち位置も、思い切り恋敵キャラですね(^^;
 「護君に女神の祝福を!」のエメレンツィアみたい(もっとマシな表現はないのか・笑)

 逆に言うと、これだけ理が勝った表現って、あまり真下らしくない気もしますよね。これは月村氏の脚本の領域でしょうか。その後の「MADLAX」や今回の「エル・カザド」はもっと感覚的な気がしますから。

 逆に交差点でサイレンサーを隠し持って近づく刺客とか、露天の玩具の自動車を分解して殺しの道具にしてしまう霧香とか、そういう突飛な発想はいかにも真下的ですね。思えば、「暗殺」って、この作品の中では意外となくて、結構堂々と銃を片手にターゲットの前に立つ例が多い。もちろん、その方が映像的に映える、ということはあるんですけどね。

 ガンアクションのない、極めて地味な、それだけに深みのある表現が結構印象的でした。ここから先は、一直線にギリシア悲劇的世界へ突き進んでいくわけですが。初見時はそのあたりが不満であまり見返していなかったので、結構未知の領域かも。

 かなりひさびさにこうして再見してみると、その後の真下の歩みを知っているだけに、別の関心を持って見ることができてしまうのは面白い。たぶん、ここまでシンプルな構図に戻ることは、もうないだろう、とは思いますけどね(^^;それはそれでいいと思う。それでこその真下だから。
posted by てんちょ at 23:28| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月31日

NOIR第16話「コルシカに還る」

 ミレイユ対クロエ、霧香を巡る三角関係勃発。
 やっぱりここからミレイユが「霧香」と呼び始めてますね。なんかこうやって見返してみると、笑ってしまうほど露骨にレズな三角関係の鞘当てじゃないですか。この後、もっと確信犯的な演出が目立つようになるわけですが、このあたりは、果たしてどれぐらい意識的だったのか。

 ミレイユ故郷に還る、ってわけで、ほぼ全編ミレイユの一人芝居という特異なエピソード。最初と最後にだけ霧香とクロエが出てくる、という異色の構成で、これがかえって三者の三角関係をクローズアップさせる結果になっているのが面白い。

 ここまで断片的に繰り返し見せられてきたミレイユの両親の暗殺シーン、ここでいったん収束します。まあ、最終的には、黒霧香の覚醒直前あたりまで引っ張るわけですが。こういう断片的な謎めいた演出は、もはや真下のトレードマークと化した感すらありますが、ここから始まったひとになるのかな。このころはまだまだわかりやすかった(笑)かつての記憶の場所が廃墟になっていて、そこで新たな戦いが行われる、というのは結構映画的でいいアイデアです。

 ところで、今回もタイトルは月村氏なのでしょうが、光瀬龍の「たそがれに還る」かな?
posted by てんちょ at 01:55| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月26日

NOIR第15話「冷眼殺手ACTE2」

 シャオ・リーの毒への耐性の話、前回フォローしたつもりだったんですが。よく考えたら、今回の重要なネタじゃないかーすっかり忘れていた私は何なんだ(^^;

 それにしても、クロエの最強ぶりが目立つエピソードであります。この世界で最強の毒爪に素手で勝ってしまうんですから(笑)。かなり最強の霧香の銃さばきも今回ばかりは湿りがち。まあ、結構ほんのちょっとした演出の小手先で、強いとか弱いとかいうことは表現できるものなのだなとは思いましたけど。自信なさげな目つきとか、弾が当たらなくてひるむとか。その逆は自信たっぷりの顔つきとかとにかく気迫で弾が当たるとか。結構真下ワールドではカリスマ性で強弱が決まるみたいです(笑)それにしても、御大はこういう少ない枚数の表現で雄弁に語らせるのが実にうまい。ナレーションもセリフもなしに。職人ですなあ、本当、このへんは。

 目つきといえば、ミレイユと霧香の信頼関係がかなり完成されたものになってきたのがこのへんから。すでに眼で語り合ってますね(^^;レズアニメと言われるようになるわけだ。それを承知の上で、ファンの誤読をさらに増幅させるようなことをやってくるのがこの人なんですけど。まあ、こと真下に関してはファンサービスでもなんでもなくて一種の挑発行為ではないかと思ってますけど。「おーそういう風に読むか。そういうのもいいねえ」というところですか。さすが感覚派の巨匠。

 眼の話をさらにすると、シャオ・リーがクロエに殺害される瞬間の驚愕の表情、真下としてはすごく珍しいことに、瞳がグッと小さくなって眼の周囲にクマができることで驚愕を表すマンガ記号的な表現が使われています。これは本当に珍しいことで、「イートマン」のころの「ヘラッ」という感じの笑いみたいな記号的表現が、「NOIR」ではごくまれ。でもたとえば、今回のようにここぞという場面で使われると実に効果的なんですね。

 さてさて、次の注目点はミレイユが霧香を「あんた」でなくて「霧香」と呼び始めるのはいつか。案外と次回だったっけ?次回は「ミレイユ、故郷に還る」(笑)
posted by てんちょ at 23:58| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月18日

NOIR第14話「冷眼殺手ACTE1」

 この作品中、2つしかない前後編エピソードの第2弾。要するにどっちもすごい強い敵なわけですが…

 ひさびさに再会したシャオ・リー、なんかどっかで見たことがあるなあ、と思っていたら

 あっ、これはリメルダじゃないか!!

 なるほど、ビィートレキャラはこうやって使い回されるのですね(違う)しかしまあ、ちょっとストーカーっぽいキャラはリメルダにも引き継がれているような気が。思い込みの激しさは、断然リメルダの方が上ですが(笑)

 それにしても、普通に考えれば、爪の先に仕込んだ毒で殺すって、冒頭の要人暗殺など、こっそりさりげなく相手に近づく場合にはとても有効だと思うんだけど、拳銃持って向かって来る相手に勝てるのかどうか(^^;

 拳銃>ナイフ>毒爪

というのが、普通の常識的な判断だと思うんですが、どういうわけかこの真下的世界においては、

 毒爪>ナイフ>拳銃

ということになっている(笑)アルテナまでもが恐れているわけだから、これはもう絶対の事実なんでしょう。本当に不思議なことですが、真下ワールドの中では説得力があるのだから、御大は本当にすごい人ですねえ。無理難題を説得させてしまう。そのあたりの力技ができるというのは、真下のすごさだと思います。

 まあ、さすがのシャオ・リーも、毒爪だけで対抗するのは無理だとわかってか、歩兵隊山ほど連れてきてますが(笑)

 あ、ちなみに「爪の毒が自分に付いたら死なないのか」というツッコミは無効です。たぶん、シャオ・リーは毒を少しずつ飲んで耐性をつけているはずですから。そのあたり、なんとなく山田風太郎を思い出しますね。

 そんなわけで話は「ミレイユピンチ!」のまま次回に続きますが。本当、ミレイユこの話の中だとヘタレで弱いことになってるのね。ここまで来ると気の毒だ(笑)
posted by てんちょ at 15:40| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月11日

NOIR第13話「ミレイユに花束を」

 もちろんタイトルは「アルジャーノンに花束を」から。月村氏の文学趣味がにじみ出てるなあ。こういうことは後になってからのほうがよくわかるということですか。

 ミレイユが、あこがれだった(そしてたぶんちょっと好きだった)おじさんを倒して霧香を守るエピソード。すなわち、「守りたい大切な人」として霧香をはっきりと選ぶ、かなりレズ色の強いエピソード。このあたりから、NOIRはレズ噺に特化していくのですね(笑)まさかそのあとも、延々とレズ噺ばかり作ることになろうとは、真下も考えていなかったことでしょう(^^;

 まあ、冷静に考えてみれば最強キャラの霧香に守り手なんか必要はないわけで、これはあくまで物理的な「守り人」ではなくて、「地球の平和は私が守る」レベルの精神論というか(ぜんぜん違います)後半のエピソードにおいて、ミレイユが霧香をひたすら追いかけていくエピソードになるのは無理もないことなのかもしれません。

 しかし、今回見返してみて気づいたんですが、ラストの温室での撃ちあいといい、ミレイユが肩先に付いたランの花びらを無言でスッと払って、霧香と並んで去っていくラストシーンといい、このエピソード、ハードボイルド色が強いです。結構見ごたえあったな、こうして見返してみると。
posted by てんちょ at 01:32| 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月03日

NOIR第12話「地獄の季節」

 クロエ一人舞台の次は、霧香の初恋ストーリー…思えば、なんともケッタイな構成だったんですねえ、このアニメ(^^;最初見たときはそんなこと考えもしなかったけど、全体の構成を知ってから見ると、ことのほかそう思います。

 それにしても、このもの悲しい物語がどうして「地獄の季節」なのか。最初見たときはさっぱり分からなかったのですが、今回見返していて気づきました。あ、そうか。ランボーだ。「怒りのアフガン」のヘッポコ映画の方のランボーじゃありませんよ。お約束のボケがあるといけないので念のため(^^;そういや「ランボー者」って映画もあったな(関係ない)

 本文中にランボーのラの字も出てこないのに「地獄の季節」とは。おそらく、ミロシュが所属していたのがアフリカの外人部隊であったことにかけたものなのでしょうが。うーむ。やはりこういう文学趣味は月村氏なんだろうなあ。どう考えても真下らしくない。真下が考えたんなら、もっと直感的でわけのわからないものになるに違いありません(笑)「MADLAX」のサブタイトルなんて、もっとミもフタもなくて、それゆえに味があった気が。

 みなさんもそう思ったことでしょうが、どっちかというと、霧香の淡い恋よりも、ミレイユのどす黒いジェラシーの方が強く印象に残りますよね。霧香のミロシュへの好感は「ちょっといいかも」ぐらいのもんでしょうが、どう考えてもミレイユは「私というものがありながら」ですから(^^;その後の作品でも、似たような人がいたな。あ、そうか、エリノアだ(笑)

 ところで、今回のガンアクションは少々無理があります。なんでこれでガレは包囲されてしまうのか。なんであの角度から撃つと必ず当たるのか。いつもは構図に凝っているせいであんまり気にならないんですけど、今回は本当にただ、森の中でボーッと突っ立っているだけですからね(^^;ちょっと作画的に苦しかったのかもしれませんが。

 いつもの真下スタイルの「超構図」の効能を、こういうときにかえって感じてしまうものですね。
posted by てんちょ at 23:59| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月28日

NOIR第12話「刺客行」

 ミレ霧コンビが出てこずクロエの一人舞台という超特異エピソード。もっと後ろのほうだと思っていたけど、こんなに早い回だっけ。確かに10話にしてようやく登場したキャラクターがこれほどの存在感を持ち得たのには、このエピソードの役割が大きい。

 ストイックでハードボイルド色の強いミレ霧コンビに対して、クロエはピン芸人(違う)ということもあって、結構複雑な性格。このエピソードでも、ニヒリズムと無垢が同居する非常に奇妙なキャラクターとして描かれていますね。このあたりは、アルテナの存在が大きくなってくる後段の伏線と言ってもいい。

 マントにナイフ、というクロエのコスチュームは、モダンなミレ霧と対比を強める役割もあったのでしょうが、これってどこかで再見した記憶があるなあと思っていたら、「MADLAX」のナハルなのでした。なるほど、そうやって蓄積したデータは無駄なく生かすんですね。御大。

 さすがにNOIRは手描き末期の作品だけあって、ナイフ投げというのはどちらかというと不得意な表現手段。真下としても殺害シーンを画面外に出して枚数を節約せざるを得なかったうらみもあるようです。まあ、それはそれで「アヴェンジャー」に生かされているんですが。それはそれとして。

 その後、デジタル技術を駆使した「MADLAX」で、より荒唐無稽で奇想天外なアクションシーンが炸裂することになるわけです。ナイフ投げ、という点で言えば、ナハルとマドラックスの図書館での対決、思い出しますねえ。ああいうケレン味たっぷりな演出は、真下ブランドならではですが。「エル・カザド」では何を見せてくれるんでしょうか。
posted by てんちょ at 13:57| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月19日

NOIR第11話「月下之茶宴」

 「不思議の国のアリス」を下敷きにした月村氏らしい文学的なエピソード…のはずが、いかにも真下的な電波的エピソードになってしまいました(^^;

 「月=狂気」というのは寺山修司も稲垣足穂も愛用したモチーフですが、ここまで電波な使い方をしたのは真下ならではではないでしょうか。そしてこれを土台にする形で、「MADLAX」では、「紅い月」と「蒼い月」の量子論的な観測問題が、執拗に繰り返されることになるわけですが。って、私の歪んだ目線も入ってますか(^^;しかし、「月は使える」って気付いたんだろうなあ、このとき。まさかあんな使い方になるとは思いもよらず。

 こうやって見ていくと、「MADLAX」は、われわれが考える以上にさまざまな要素を、思いもかけない形で「NOIR」から取り入れて、異質なものに変化させてますね。そして、それを煽ってるのが、たぶん北山プロデューサー(笑)一視聴者としては大歓迎なんですが、ビクター的には大丈夫だったのかと不安になります(^^;まあ、結果として賛否両論を生んだものの、「NOIR」ほどのメガヒットではなくとも長く愛され、アニメ史に残る作品となったわけですから、名プロデューサーぶりを評価すべきなのでしょうね。今回「エル・カザド」では何を仕掛けてくれるかと今から楽しみでなりません。

 それで思わず忘れるところでしたが、「NOIR」第11話。このエピソードは、そういえばタイトルがずいぶんと広まったエピソードでした。HP名やサークル名にもじって使っている人も多いですしね。「月下之酒宴」とか(笑)

 クロエと霧香のかみ合わないなりに変に波長の合ったボケ同士のやり取りと、一人ツッコミ役に徹し続けるミレイユのキャラもまたここで確立されたわけであり…パロディマンガにも散々活用されたものでした。そのあたりもこうやって見返してみると、しみじみとなつかしい。

 思えば、そして次回はミレ霧コンビが一切登場しないクロエ一人舞台「刺客行」なわけで。登場して3話目でいきなり主役を張ってるクロエ。クロエの存在感を視聴者に刷り込んでしまおうという真下の奇襲演出が、思えば絶妙な効果をあげたのですねえ。2回目に、全体構造をふまえた上で見ていくと、そういう演出上のたくらみが徐々に浮かび上がってくるのが実に興味深い。

 それにしても、クロエのクローゼットにあったドレスの数々、一回目に見たときにも思ったけど、彼女が着用しているところがまったく想像できん(^^;
posted by てんちょ at 02:29| 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

NOIR第10話「真のノワール」

 クロエ初登場。ていうか、顔見世自体は既に済んでいるのですが。実体を持ったキャラとして立ち現れてくるのが今回。

 というわけで、どのように見せていくか、かなり細かくチェックしていったわけですが。殺しを横取りされて、カフェで緊急ミーティング中のミレイユと霧香(笑)その様子を通りの向こうから片目で観察するクロエ、という初登場シーンは、なかなか印象的でした。なんせあの印象的な顔が画面の半分を占めて。しかも顔の半分しか見えない。確かにこれは気になってしょうがないわけで、うまい演出です。

 んで私自身、クロエの声がどんなだったのかすっかり忘れていたので、久々に聞いてドキッとしましたよ。あれ、あんな高い声だっけ。あの顔であの声ですから、それは間違いなく狙ってるわけで。真下の戦略にうならされました。こりゃ、クロエファンが増えるわけだ。

 それにしても久川綾嬢おそるべし。さすがベテランですね。桑島法子嬢・江原正士氏などは、声質が気に入られて起用されている感じがしますけど。だからキャスティングはだいたい同じ線になるわけで。ところが、久川嬢は本当に変幻自在。クロエ、リメルダ、ケロちゃんが同じ声優が演じているキャラだって思えますか?ジェラシーっ娘、ストーカー、ボケ(笑)「エル・カザド」のジュディはまたかなり雰囲気の違うメガネっ娘だし(^^;

 ま、ジュディも真面目そうなぶん、ナディのストーカーに走りそうな気がしますが。さてさて。どう出るか。

 初見時はミレイユと霧香のコンビに気をとられてクロエのことは無視していた私ですが、今回はちょっとクロエに注目してみようと思います。
posted by てんちょ at 15:29| 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月04日

NOIR第9話「イントッカービレACTE2」

 結構いろいろな要素が盛りだくさんだったACTE2。つーか、ACTじゃなくてACTEだったんですね。失礼しました(^^;

 真下的な断片演出が前面に出てきたのはこのへんからなんですね。前回からチラホラと見えていたミレイユの過去の映像が何度も何度も繰り返されて、そのたびに違う意味が付け加えられていく、真下お得意の前衛構成。これが後半になると主役に躍り出てくるわけですが。このあたりはまだおとなしいかも。

 それより今回は、鈴木清順的演出がフル稼働。霧香と3兄弟の対決シーンは、リアリズムをカッ飛ばした奇想天外なアイデアが満載で、これぞ真下流ガンアクション、て感じでしたね。ミリタリーマニアはこういうのが許せないんだろうけど、こういう「映画的な嘘」こそが、映像表現の面白さだと思う。滝の向こう側から撃つとか、天井から落下しながら撃つとか、冷静に考えれば慣性の法則はどうなっているんだという話だけど、これほど映像的に刺激的な構図もない。特に落下しながら相手を倒すシーンは、清順の代表作「殺しの烙印」のアドバルーンを使った暗殺シーンを思い出してしまいましたよ。

 そして最後のコロシアムシーン。これはまったく「歌舞伎」的構図ですね。真下、ぜったいわざとやってるな。イントッカービレが最初から舞台の真ん中で待っているところにミレイユが階段から舞台に降りてくるシーンなんて、まさしく歌舞伎の「花道」の演出でしょう。霧香が画面外から援護射撃するシーンも、演者が客席から声をかけながら舞台に上がっていくシーンを思い出させるし。実際最後に霧香も舞台に上がっていくわけですから。んで、イントッカービレにミレイユが斬りつけた瞬間に暗転する、なんて演出もまさしく歌舞伎。

 今回は結構盛りだくさんだったなーこうして見返してみるといろいろな発見がありました。再見ならではの魅力があるという意味で、やっぱり真下は深い。
posted by てんちょ at 15:17| 🌁| Comment(3) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月29日

NOIR第8話「イントッカービレACT1」

 「おぉーイントッカービレ」

 と、大芝居が印象的な歌舞伎篇(マテ)

 いや、マジで歌舞伎の要素入ってるかもですね。けなしてるわけじゃなくて。イタリアン・マファィアの世界を描くには、結構合った演出かもと思えてきましたよ。運命とか因果とか、重たいものをいかにエンターテインメントとして描くかというのは永遠の課題であるわけなんですが、こういう形で虚構的な異化作用を持つフィルターに一回通してやる、という真下の演出はまわりまわって正解。月村氏はさぞ腹を立てたことでしょうが。自分の渾身の傑作を真下にかすめ取られて、怒ると思いますよ。普通。まあ、われわれ信者は「さすが真下」と称えるわけですが。

 実にクセのある演出で、結果として何でもみんな真下印にしてしまうところが、この人の持ち味。さてさて、「エル・カザド」ではどう出るか。まあ、誰と組んでもできあがる作品は真下作品になるわけなんですけどね。

 こうして再見していると、結構実験的にいろいろな演出スタイルを試しているのがよく分かる。そんな中のひとつとしての歌舞伎的演出であったと思うのですが。

 ただ、今回見返していてハタと気付いたことがひとつ。

「これってアメリカの話だったのか!イタリアの話だとばかり(−0−; 
posted by てんちょ at 02:41| 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月20日

NOIR第7話「運命の黒い糸」

 ミレイユと霧香の絆にスポットが当てられた記念碑的第1回目。これ以降、レズビアンスな表現がどんどん増えていくことになるわけですね。ううん、なんか複雑(^^;いやまあ、あれはあれでいいもんですが。

 しかし、今気づいたんだけど、これってば、男だけのハードボイルドがかぎりなくホモセクシャルに近づいていくことの裏返しなんですね。なるほど。NOIRが「女たちのハードボイルド」ストーリーであることが改めて実証されるエピソードでありました。

 結構実験的なところは、まさしく真下節。ターゲットの暗殺の瞬間そのものはほとんど描かず、回想シーンでわずかに触れるのみ。複雑に時間軸を前後させながら、むしろミレイユと霧香の逃避行を描いていく構成の妙はさすがです。なんか歌舞伎か文楽の道行きのようにエロティックな雰囲気が漂ってくるのは、霧香が手負いだからなんですが。そのあたりの演出はやっぱり「わざと」なんだろうなあ。

 今回は敵役のゲリラ兵のキャラクターデザインがやや荒っぽいんですが。ちょっとそのあたり久しぶりに見て「あれ?」という感じだったでしょうか。意外とそういうことは初回には気づかないものですが。

 霧香の危機を察知したミレイユが、買い物袋を放り出して走り出すシーンとか、構図的には結構工夫されててよかったですけどね。手前にコロコロと缶が転がってくるところとか、さすが映研出身、て感じで凝ってました。

 思えば今回は、初めてアルテナがしゃべる回であり、クロエの初登場の回でもあったのですよね。まさかあんなことになっていくとは、あのときは思わなかったなあ。
posted by てんちょ at 23:59| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月16日

NOIR第6話「迷い猫」

 初期の仕事エピソードの中で、ひときわ静寂に満たされた1本。これぞハードボイルド、という感じの第3話「暗殺遊戯」と完全に対象の構造をしていながら、両輪を担う傑作と言っていいでしょう。無数の弾丸が飛び交う「暗殺遊戯」に対して、今回は霧香たちが放つ弾丸は最後の1発のみ。そしてまた、これもまた、ハードボイルド、なんですよね。

 ナザロフの苦すぎる人生を受け止めたうえで、なおかつ「仕事」を完遂することにこだわる姿勢。そういうのもまた、ハードボイルド、なんだと思う。それはまた、ナザロフの苦悩を他人事とせず自分のものとして受け止めた上で、自分の立ち位置にこだわって、自分の立ち位置からナザロフの生を咀嚼することになるわけだから。

 実際、霧香はナザロフと偶然に遭遇し、その辛すぎる裏の姿までみんな知ってしまいます。いったん家を離れた後に、いかにも「殺し屋らしい」スタイルで忍び込んで仕事を果たそうとするけれど、果たせず中止。おそらくは子供がいたとかそういうことではなく、いかにも殺し屋らしい忍び寄り方をしたならば、ナザロフの中に潜んでいる「元KGB所長」としての側面がむっくり起き上がってくる。それは霧香の中にもある「獣性」とか「憎悪」とかの側面であって、自分とあまりにも似ている以上、それを正視するのは耐えられない、ということなのではないでしょうか。

 結局、霧香は最終的に、ドアから入って、ナザロフと向き合った上で、自らの似姿を撃つことによって、その似姿を自分の中にもあるものとして受け入れた、ということではないかと思いました。

 「無垢な魂=ムイシュキン公爵」である迷い猫は、ナザロフも霧香も求めつつ得られないもの。それゆえに惹かれてしまう、ということでしょうか。

 思えばこのエピソード、前半では大変珍しいことに、ソルダの介入がないんですよね。そのあたりも、このエピソードを特異な手触りにしている原因でしょうか。
posted by てんちょ at 15:42| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月09日

NOIR第5話「レ・ソルダ」

 「エル・カザド」発表とともに、なんかしみじみと三部作を反芻する態勢に入りつつある昨今です(笑)「NOIR」がヨーロッパ、「MADLAX」が東南アジア、そして「エル・カサド」が南米ですか。CLAMPが非常に無責任に文明の上澄みだけを収奪しているのに対して、より深い部分で「文明の関係性」を描いていこうとするこのシリーズ、見た目よりもさらに人文的な部分でも「深い」気がしてきました。「文明論」的に三部作を切り取る試みは私も含めてまだだれも試みていないので、夏コミを視野にちゃんとやっていかなきゃと思ってます。まあ、まずは「エル・カサド」の全体像を見えてくるのを待って、ということになるのでしょうが。また、理系的な方向に走るかもしれんけどね(^^;

 まあ、なにはともあれ時計の針をまき戻して「NOIR」に。思えばこの5話、全体を貫くレ・ソルダのエピソードが初めて登場した回であるわけですが。録画しながら「そろそろ始まっているころ」と番組途中でテレビをつけて「ひょっとして間違えて第3話の再放送か」とあせったりしました(笑)

 しかしまあ、こういう「回想シーン」は必然なので何も文句を言う筋合いはない。要するに、読みきりエピソードのように「仕事」を淡々とこなしていく話の中にもちゃんと伏線が張られていたことを示すものであるわけで。問題は、種明かしがやや早かったかな、ということ。そのせいで「MADLAX」に比べて格段に読み解きやすく、高い人気を誇った、ということなのでしょうが。

 次回は第3話「暗殺遊戯」とともに一番のお気に入りである第6話「迷い猫」のエピソード。こちらは一転静かなエピソードですが、これまたいいんだなあ。楽しみ。
posted by てんちょ at 15:44| 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月26日

NOIR第4話「波の音」

 今回も、しみじみと堪能させていただきました。やはりハードボイルドなNOIRはいいなあ。対照的な構成の3回目と4回目。このあたりのメリハリのつけ方も、さすがベテラン演出家、と感心させられます。

 前回がどちらかというとひんやりとした空気のフランス北部での闘いであるのに対して、今回は中南米を思わせる南方の外国が舞台。服装は、前回が2人とも地味なパーカー姿であるのに対して、今回は何かとよく着替え、ミレイユは水着姿まで披露。本当、つなさんが指摘している通り、同じ年には見えんわ(^^;まあ、着替える、とは言ってもCLAMPのようなご都合主義ではなく、必然性を踏まえた上で空間的に映える構成がステキです。

 冒頭のパーティシーンでのコンパニオン姿の二人もなかなかですが、ミレイユの「色じかけ」、霧香の「フォーク(!)」というそれぞれの個性あふれる殺し方も魅力的。このあたり、本当に鈴木清順的だなあ。ターゲットが殺されるところで唐突に切ってしまい、二人が逃げるシーンは決して描かないのがまさしく真下流でしょうか。

 中でも映えるのが霧香の麦藁帽。地元軍に包囲された時に無言で突っ立って注意を引き、その隙にミレイユに撃たせるという捨て身の連携プレーに出るわけですが。結構ミレイユが容赦なくて、霧香の麦藁帽に穴が開くぐらいの距離で遠慮なくガンガン撃ってくる。まあ、実戦では麦藁帽に穴が開くぐらいの距離で撃たれたら間違いなく弾に当たると思うんだけど、そこをあえて描いてみせるのがアンチ・リアリズムな真下流でしょう。だって映像的には実にキマってるから。ミリタリーマニアは見なくて良し、ってことでしょうね。その後、穴の開いた麦藁帽をかぶったまま、おもむろにマシンガンを拾って無表情で撃ちまくる霧香、という構図が非常に鮮烈。後継作品の「ブラックラグーン」のように動きまくらなくても、観る者に衝撃を与えることはできる。

 そしてラストシーン。ターゲットの娘と一瞬交錯したにもかかわらず、無言でそのまま去っていく霧香。こういうあたりの手触り、本当にハードボイルドですよねえ。すばらしい。一瞬だけ映る波の動きがラストシーンで、それがタイトルになっている、という構成の巧みさも見事。

 よく考えたら、「見知らぬ二人のすれ違い」をより巧妙に展開したのが「MADLAX」なんですよね。何度も何度も登場する「すれ違い」が実にうまく使われている。これまた、こういうところに下地があるわけなんて゜すね。
posted by てんちょ at 22:06| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

NOIR第3話「暗殺遊戯」

 全編でもっともハードボイルド色の濃いエピソード。今まで何度見返したことか。だから今回見なくてもよかったのですが、やっぱり見てしまいました。いいものは何度見返してもいい。そしてそのたびに新たな発見がある。

 今回は梶浦サウンドに注目して演出をチェックしていきました。この回ほど全編にわたって梶浦サウンドが切れ目なく鳴り響いているエピソードもなく、しかもそれはほぼフル使用。驚くほかありません。その後MADLAXでは、梶浦サウンドを小節単位で切り刻んで張り合わせるという容赦のなさを見せているだけに、このエピソードでの梶浦重視は半端ではありません。ある意味、梶浦由記のミュージックビデオと言ってもいいほどで、しかも通常のミュージックビデオと違って映像は音楽に従属していくのみではなく、お互いに相手の領域を侵犯し、変化させ合う、より凶暴で緊張感の高い関係性。

 音楽そのもののタイムコードを完璧に頭に入れた上で、音楽を巧妙に侵食する形で効果音・自然音が挿入されていく。相手のタイミングを考えずにおかまいなしに音が鳴るのではなく、「どちらも存在している」ことを意識せざるを得ないように作られている。そのあたりは「音の演出家」としての真下の巧妙さを示すものでしょう。本作品では「音響監督も兼任しているわけですし。

 特にこの回はホテルを舞台に「音」を使った戦いが繰り広げられる。このあたりの演出は、いかに「音」意識していたかを示すエピソードでしょう。最初に見たとき、このエピソードで完璧にノックアウトされましたよ。これはやられた。

 その後のクロエとアルテナが登場して以降のエピソードは初回に見たときには「うーん」という感じだったのだけど、今回はどうだろう。結構すんなりと面白く見られそうな予感もしていて。実は楽しみだったりしているのですが。

 しかし、今回は最後のセリフ。
 「確かにこれはあんたの墓じゃない。…だけど…それが、どうしたっていうの」
 いいなーこれぞハードボイルドですよ。
 よく考えたらこのエピソードはすごく登場人物が限定されていて。狩る者と狩られる者以外のキャラクターは登場しないんですね。それだけに、特異な印象を受けるっていうところでしょうか。
posted by てんちょ at 23:37| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | NOIR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする