2015年09月09日

「ガッチャマン クラウズ インサイト」#09

 なるほどーそう来るか。政治をテーマにしつつ普遍的な話をするのはすごく難しいと思うのだけど、現在の日本政治がはまりこんでいる隘路にも共通して語れる部分があり、たぶん十年後にも新たな価値で観るべき要素を持っている。



 要するに、これ人間の本質の矛盾を突いた話なんですよ。社会を作りつつ決して一枚岩にならないところが人間の強みであり弱みでもある。だから、そこに善意の第三者が悪意なく一方への誘導を始めたら、とんでもないディストピアができあがってしまう。

 ただし、安易な上からの絶対的監視を伴うファシズム的ディストピアではなく、空気感を生かしたゆるやかな相互監視と異物の排除という二項目だけで、簡単に柔らかなディストピアが到来してしまう。この世界が恐ろしいのは、常に不満分子は少数派で、次々少数派を排除し続けることで社会が自壊していくまで少数派の排除が続いてしまうというところ。

 ただし、これでもまだ終わりではないらしい。ゲルサドラ=くうさまではなく、くうさまを排除するためには、ゲルサドラを守らなければならないらしい。どういうことやねん。しかもここに来てようやくお誕生日ネームの鈴木くんは動き出すし、最後の切り札は長岡のゆるじい??

 うーん、本当に一筋縄ではいかない。安易なカタルシスに導かず、考えながら走ることを求めるこの作品、なかなかすばらしい。次回も注目です。
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2015年09月03日

「ガッチャマンクラウズ インサイト」#08

 一週間の休止すら巧妙に利用してくるのがこの作品のすごいところ。前回、ゲルサドラが吐き出した吹き出しから生まれた怪物たちが人々に迫る…というところで以下次回、という絶妙のヒキになったわけですが。



 むむむ、このまま単純なアクションには流れ込まないのか……

 なんと怪物たちは人間を襲わず、「いーこいーこ」と甘やかし始める(笑)本当、一筋縄ではいかないですねえ、この作品。そして、怪物たちの無限の肯定によって、人々は対話力を失い、退化と自閉を始める……

 これじゃあ攻撃のしようもない。出動したガッチャマンたちも「なんかヤバい」ことは理解しつつも、どう対応すればよいかわからず、困惑するばかり。

 巧妙に政治や社会状況を織り込みつつ、単純な風刺や戯画に陥らないのがこの作品ならではの味といえます。本当にお見事。政治的に一方のサイドに立って糾弾するのではなく、状況をモデル化して視聴者に考えることを促す。でもちゃんとしたアクションにもなってる。

 出し惜しみ気味に関東ローカル放映なのが本当にもったいない。BSも同時放映にしてよかったのに。
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2015年08月18日

「ガッチャマンクラウズ インサイト」#07

 あーそう来たか。そうやってアクションに引っ張ってくるんだ。なるほど。



 なんせここまで面白いけどどうみても政治的議論に終始しそうな内容が、一気にアクションにシフトしたわけですから。ここで引きとは実に質が悪い(^^;

 あのOPの床屋モンスター、そういう意味だったのか。

 しかし寓意が実に見事で、いろいろ考えさせられてしまう。「あのカッツェさんが裸足で逃げ出した」とかそれだけで恐ろしさが伝わる、ここまでの伏線の張り方がすばらしい。

 ゲルサドラが腹をパンパンにふくらましているのに、全面的に信頼しすぎているつばさちゃんにはまったくそれが見えていないという不条理、本当、ひとごとじゃないですよね。現実の政治の安直な戯画でないぶん、実にいろいろなことを考えさせる仕組みが面白い。

 「心をひとつに」「ゲルサドラにおまかせ」が、非常にありがちな均一社会を思わせるキーワードではあるのだけど、そういう安易なディストピアにはどうもなりそうもない。ならば破局はどうやって訪れるのか。そのあたりのビジョンはかなり明晰で先進的。ここまで続編を引っ張っただけのことはあるなとかなり感心してしまう。さぞや議論を積み重ねたんでしょうねえ。

 ネットの悪意の象徴としてのベルクカッツエの次は、均一すぎる善意の象徴としてのゲルサドラ、そこまでは誰でも思いつくわけですけど、これはなかなか迫力のある第二章になったなと思います。楽しみですねこの先が。
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2015年08月07日

「ガッチャマンクラウズインサイト」#5

 旧シリーズのもうひとりの主人公というべき、気弱な理想主義者・すがやんこと菅山首相。その字面からわかる通り、菅+鳩山で、理想は高かったもののあまり大したことができなかった民主党政権を念頭に置いていたわけで。



 今回のシリーズでは、そのすがやんが小泉のように信任投票に打って出て、麻生のように失言としょぼいスキャンダルで急速に支持を失い、政権から追われるまでを描いている。なんとも妙なねじれ表現なわけですが…ここから読み取るべきは民主がいいとか自民がいいとかそういうことではなくて、極めて移り気な有権者の本質、衆愚政治とも美人コンテストとも評されるメディア時代の民主主義をどう評価すべきかということ。

 もちろん収監中のリズム君(お誕生日ネーム)のように「大衆は猿だからそんな権利を与えるべきではない」というニヒリズムも一方にあって、なぜかネット上でその論理が幅をきかせているわけだけど。

 もちろんこうしてわざわざ作品化するからには、そんなニヒリズムに同調しようというわけではないはず。だとしたら、ガッチャマンは、いやはじめちゃんは何を目指すのか。今回は善意が敵となるだけに、なかなか厄介な事態。ていうかそもそもこれちゃんとしたアクションになんの?(^^;

 でもなるんだろうなあ。そういう点ではなかなか結構楽しみ。アニメにおいて生々しい「政治」はタブー視されがちですが、クラウドコンピューティングを通して普遍的な社会学を語ろうとする本シリーズは実に意欲的で素晴らしい。そしてある意味で人間のどうしようもなさを受け入れた上でその一歩先に進もうとするシビアな理想主義というべき大胆さが見逃せない。

 本当、よく考えられてるなあ。どっかの乱歩とはえらい違いだわ。
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2015年07月28日

「ガッチャマンクラウズ・インサイト」#4

 一筋縄ではいかないだろうなとは思っておりましたが、これはひねってきたなあ。



 敵役になると思われた鈴木理詰夢(お誕生日ネーム)は、ドヤ顔であっさり逮捕され、話はまったく思いもかけない方向に向かいます。クラウズの普及推進を訴える景山総理は辞任してネット公選での再選を訴え、そこにゲルサドラが対立候補として名乗りをあげる…という予想もつかない形になってきました。

 しかし感心するのは、集合知と直接民主制のリスクについて語るというきわどいことをしながらも、退屈にも物騒にもならず、知的関心をうまくつなぎとめているところ。しかもポップでクールなガッチャマンのテイストもきっちり維持している。そのあたりは実にうまい。

 そしてどうやら、はじめとつばさは敵対していくことになるんでしょうか。善意で地球の意識統一をはかるゲルサドラが、ひどい災厄を招きよせてしまい、はじめたちが解決策を探っていくということになるのかな。もちろんテレビ討論会みたいなことやってはガッチャマンにならないので、どうやってアクションを紡ぎ出していくかも注目。

 しかしこれって、はじめにもっと語彙があれば解決する問題ではないか、という気がしないでもない。直観型ヒロインは大変だ(^^;
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2015年07月23日

「ガッチャマンクラウズ インサイト」#03

 で、三話目。テレビ出演から始まるあたり、いかにもこの作品らしい。



 敵役は集合知を愚かさと同一視しているわけですが、確かにそういう側面は否めないものの、それだけでもない。確かに暴走しやすくもろ刃の剣なわけで、かといって全否定もなんか違う。危険性を認識した上でどう付き合ていくか、という話になるのかな、この場合は。

 だからガッチャマンは赤とも青とも戦うハメになってしまう。こういうあたりの両義性は、この作品の一歩先へ行く姿勢として非常に好感が持てますね。何を目指すのか、まだ見えないけど、たぶん現在のキャラ配置はかなりシャッフルされていくことになるはずで。その中でつばさが何を見つけ出していくことになるのか、ちょっと注目したいところではあります。

 今回は割と早い段階からパイパイの大型Gスーツが見られたのはなんか得した気分。
posted by てんちょ at 00:44| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ガッチャマンクラウズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月14日

「ガッチャマン クラウズ インサイト」#02

 相変わらずスタイリッシュでかっこいいですなあ。今回は結構アクションもあったし、敵役も登場。そして一話ではあまり登場してなかった累君も本格参加。



 今回は宇宙人は「救世主」で、地球人が悪役、と一見わかりやすい構図なのですが、前回ですら実にまわりくどい解決法を取ったこのシリーズですから、そんなに単純なわけがない。

 新ガッチャマンとなった長岡の星・つばさがどう動いていくかも興味深いところ。前回の主人公たるはじめは新人離れした超越したセンスの持ち主で、自己流にガッチャマンの構造を組み替えてしまう。あれはすごいといえばすごかったのだけど、新シリーズで同じことやっても意味がない。

 というわけで、つばさは普通の新人。なかなかガッチャ化できないし、うまく戦えないしで失敗の連続。でもはじめはあまり気にしていないみたい。要するに、前シリーズは不思議ちゃんヒーローはじめにひっかきまわされているうちになぜか地球が救われてしまう話でしたが、今回はつばさとの会話が主体になっているので、もう少し論理的、というかよりパラレルな展開になるんじゃないかと思う。

 しかしつばさは花火師とヒーローとの兼業をどうするのか、東大出のお誕生日ネーム科学者理詰夢は名と体をどう一体化していくのか(笑)しかしこの人の屈折ぶり、やはりこんな名前をつけた親が悪いんじゃないか?(^^;

 
posted by てんちょ at 02:30| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ガッチャマンクラウズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月07日

「ガッチャマン クラウズ インサイト」#1

 まさしく「さすが!」としか言いようのない素晴らしさ。本当、この作品なんで関東でしか放映せんの?



 サイケでスタイリッシュで、それだけでなく「今」を多面的に描こうという意欲が空回りせず、実に効率的に駆動している。それだけでも気持ちいいし観る価値もあるというものです。

 それだけでなくちょっとひと味違うキャラクターたちがしっかりと描きこまれ、旧シリーズからそれぞれに成長を遂げているところが示される。そういうところも描写が停滞しがちな従来の日本アニメとは一線を画していて注目せざるを得ないのですよね。

 それでいて尖ってはいるけど意外に間口の広いエンタメになっていて、前作が深夜では意外なほどの好視聴率を叩きだしたのもうなづけるというもの。個人的には平野綾のパイパイが大好きで、ある意味ハルヒの呪縛を脱した新境地と言えると思います。まさにハマり役。今回もいい味出してるわー

 今回は出番なしかと思われたベルク・カッツエ=宮野守も変わらぬいい味出してるし、いろいろと楽しめることになりそう。新しい宇宙人が来て、新しいガッチャマンも選ばれて、さてどうなるか…すべてはこれからですね。何にしても楽しいことになりそう。
posted by てんちょ at 01:44| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ガッチャマンクラウズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする