あたしかさんのところでもえらく細かく語られている通り、呆然とするしかないすさまじい「四畳半ミュージカル」。なるほどここまで来るとこれは「悪意」とでも表現するしかない。「悪意」ある演出、というと我々としては真下の「ツバサ・クロニクル」が真っ先に思い浮かぶわけですけど、こちらはかなり雰囲気が違いますね。どちらかというとメタフィジカルな雰囲気。最後に登場する紅子が監督さながらにメタ的な種明かしをするというのも「らしい」というかなんというか。
前作「レッドガーデン」から見ておられる方なら当然気付くことでしょうけど、「レッドガーデン」では最初の数話のみミュージカル仕立てで、その後はそんなことなどなかったかのように忘れ去られている(笑)まあそのあたりの雪辱という意味もあるんだろうと、邪推してみたり。そのせいかカメラワークはやたら凝っており、前話の稽古シーンに引き続いておそろしく作画枚数が多い。ここまでやるからには当然本番ステージも描くんだろうと思っていたら、最後までやたら狭い五月雨荘の中での「ミュージカルの稽古」で話が終わってしまいます。まあ、本番ステージはきらびやかだけれども正面から撮るしかないので、実は映画的素材としてはそれほど魅力的ではないのも確か。そのあたりは、ステージドキュメンタリーを多く手がけてきたアメリカの映画監督フレデリック・ワイズマンの諸作品を見ていて感じることだったりします。
何にしても今回のエピソードが、ここまで積み上げてきた超リアルな描写をいったん脱構築する試みであるのは確か。だからこそ、ここまで一切出さなかったマンガ的なクズシ絵を多用したり、キャラ設定を壊しかねないギャグめいた演出を盛り込んでみたりするのでしょうね。全エピソードの中間点一歩手前の6話目にこういうエピソードを入れてきたというのは、自身の演出が硬直化することを嫌う松尾氏ならではのスタイルかもしれません。「ローゼンメイデン」のころはそのねらいがうまく決まらず曖昧な印象を受けたものですが、さすがにここまで来ると手馴れたもので。積み上げてきた表現を崩すことで別の側面を見せることを狙ったものだとすれば、次回からの表現に注目しないわけにはいかない。果たしてどう出るか。さて…
2008年05月12日
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