2019年02月12日

〇年ぶりの「天使のたまご」

 最初に警告。この作品に関しては茶化したりバカにしたりすると管理人がキレることがあります(^^;

天使のたまご Blu-ray
天使のたまご Blu-ray

 まあそれでも、初公開時に散々罵倒されたことを思い返せば、ずいぶんと評価は上がりましたよね。感慨深い。とはいえ、ブルーレイを買った後もずっと見るのが怖くて放置していたのですけど。せっかく投射スクリーンがあるんだしと久々に観てみました。いやー最初に35mmフィルムで観たころのこと思い出しましたわー今は国立映画アーカイブにもマスターがあるのかな?

 ブルーレイで見ると、いろいろとボロが見えるんじゃないかと怖かったんですが、ぜんぜんそんなことなかったですね。今ならデジタルで簡単に作れる画面をフルアナログで構築した執念には圧倒されるばかり。だってセリフがほとんどないんですから。一歩間違ってトンチンカンな作画してしまったらギャグになってしまう。現在でもなお質感のある映像として観られる作りこみの激しさにはむしろ恐怖を感じましたよ。

 もっと難解めかした作品はいっぱい出てきましたけど、ここまで一個人の妄想を実現することに執念を燃やした作品は今だにないと思う。かつて押井監督の同僚であった真下耕一社長は、わけのわからない(賛辞)作品をたくさん作りましたけど、別にあれ真下社長の妄想というわけではないですからね。結果としてああいう方向に着地したというだけで。

 この作品は一見わかりにくいですが、みんな感覚的にはわかるはず。そういう意味では難解ではない。ただ、非常に言葉にしにくく説明しづらい。そういうところをどう解釈すべきなんでしょうねえ。

 本当にひっさびさに見て感じたのは「思ったよりもエロい作品だということ」でした。ある意味、直接的な描写を避けてセックスを描こうとするとこういう感じになるのかもしれない。そして、監督の少年への突き放し方がある意味非情。少女がどうなったかは懇切丁寧に描いていく一方で、少年はあくまで他者であり、これからどうなるかはまったく描かれない。人間の基本は女性であり、男性はその付属物にすぎず、語るに値しない。人間の物語はすべて女性の物語となる。そんな感想すら受けました。

 あ、でも初見時にあれほど圧倒された街の描写が、ちょっと弱く感じてしまったのは残念。別に押井監督や美術の小林七郎氏が悪いのではなく、あの後、こちらがベネチアに旅行したから。あーこれは間違いなくベニスだわ…… そう思うと、ちょっと謎感が薄まったかなあ。欧米の観客が見た時の感覚に近くなったかも。欧米の人は間違いなくこの舞台をベニスだと思うでしょうね。そこは今回ちょっと発見でした。

 まあそれはそれとして、やっぱり歴代ベスト級の個人的にとても大切な作品だという思いは揺らぎませんでした。あとは「2001年宇宙の旅」と「忠次旅日記」かな。なんかすごい組み合わせだけど(^^;
posted by てんちょ at 00:07| 大阪 ☁| Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「天使のたまご」はすごい作品ですよね。でも、「わかる」人間と「わからない」人間を峻別するタイプの映画だと思います。

自分は感覚的に「わかる」側なので(理解したという意味ではない)、この作品に純粋にすげえすげえと思ってしまうのですが、見るたびに「わからない人」が出ても仕方ないなあ、と思います。

「わからない」人間が知的情緒的に劣っているとかそういう話ではないですし、「わからない」人間とコミュニケートすることが不可能というわけではまったくない、それでも純粋に「わかる」か「わからない」かというある種のラインがひかれてしまう作品。「ニュータイプとオールドタイプ」とかじゃないんだ、紛れもなく人間として等質なのに「わかる」か「わからない」かが分断される、そういう恐ろしい作品であります。

それにしてもあれから何年だ。押井守の饒舌はときおり嫌になるけど、はまるとやっぱりマイベストに入れたくなるんですよね。「イノセンス」なんて、「天使のたまご」をわかりやすくかみ砕こうとした結果ああなった作品じゃないか、とまで思えてくるなあ。
Posted by ポール・ブリッツ at 2019年02月13日 02:45
 おー意外。ポールさんてば、天使のたまごの高踏性を茶化したい方だと思ってた。

 しかし「スカイ・クロラ」が大コケして以降、マニアックな実写しか撮らせてもらえなくなってしまいましたねえ。まさに「イノセンス」が頂点かも。あれがラブストーリーとして売られていたら、もう少し客も入った気がするんですが。
Posted by てんちょ at 2019年02月14日 00:00
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