2016年12月01日

角川映画祭「悪霊島(オリジナル版)」

 横溝映画は結構追いかけてきた身にしてみれば、これを見られずに終わっていたのは結構「負い目」といえば「負い目」。本日、大阪のシネ・ヌ―ヴォであった「角川映画祭」で見てきましたよ。



 そう、故あって、なかなか完全な形でソフト化されず、当時見逃した身としては悔しく思っていたので、このたび非常に美麗なフィルムでオリジナル版が鑑賞できたのはうれしい限り。

 確かにこの映画、原作にはない「レット・イット・ビー」が重要な役割を果たしていて、ラストシーンですばらしい効果を発揮しています。確かにこの映画はこうじゃなきゃいけない。本当に万感の思いでした。当時はなんかオドロな怪談映画みたいな扱いでの宣伝でしたから、引いてしまって行かなかったんだけど、観ておけばよかったなあ。でも、あの万感こもったラストは当時子供で見てもポカーンだろうなあ。

 もちろん横溝映画のベストと言っていい「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」と比べてどうか、と問われたら「さすがにそこまでは行かないかも」という感じですが。あれは伏線のさりげない見せ方が本当に絶妙だった。

 今回は画面が非常に華麗で美しいのですが、伏線の見せ方が丁寧すぎて「ここが証拠ですよ」という感じになっているので、誰でも割とあっさり真相がわかってしまう。まあ、混乱をきたしてなぜ真相にたどりつくのかさっぱりわからない、なんてことはないし、いくらなんでも無理筋、ということもない。ミステリ映画としては十分に合格点で、「手毬唄」と「獄門島」の間ぐらいの出来かなあ。

 なにしろ原作はすさまじく錯綜していて、私も細部は忘れてしまっていたので、今回見て「ああ、そうそうこういう話だっけ」と頭を整理できたのは非常にありがたかったです。真犯人はけっこうあっさりわかりますが、共犯者と例の双子の登場のさせ方が実にうまい。篠田正浩の本来の作風とは違いますし、代表作はと問われるならばやっぱり「心中天網島」となるでしょうけど、やっぱり和装を撮るのがうまいのは強い。隠れた秀作として後世に伝えるべき作品と思います。

 「角川映画祭」は今後も各地を巡回していくと思われるので。見かけたらぜひ。あ、「蔵の中」もいいです。
posted by てんちょ at 00:27| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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