2015年11月15日

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」

 最近、ドキュメンタリーが面白い。これもそんな一本です。



 生前、まったく自作を発表せず、無名の乳母として世を去ったものの、撮りためていた膨大なスチール写真がオークションに流れ出したことから一躍注目されるようになった幻の女性写真家。子守りの傍らに街に出て様々な人々の一瞬の姿を忘れられない表情で切り取ってみせています。確かにこれはとんでもない強烈さ。

 生前の彼女はかなりの変人だったようで、巨体にブーツという異様な風体で闊歩し、ところかまわずシャッターを切りまくっていたらしい。ところがその写真を見せる気はまったくなかったようで、結婚もせず、寡黙に暮らし、プライベートに触れられることには極度に嫌っていたようで。だから、雇い主たちは彼女がどんな写真を撮っていたのかはぜんぜん知らなかった。

 不思議に矛盾した性格だったようで、一見人間嫌いに見えるけど、作品からは非常に温かい人間へのまなざしを感じる。たぶん、地球にやってきた宇宙人のような好奇心をもって外側から人間世界を観察していたんだと思う。観察対象としての人間には深い愛情を持っていたけど、その中に溶け込むことはできなかった。

 大量のセルフポートレートやムービーも残しており、彼女がどんな人間であったかは、残された膨大な作品からある程度組み立てられてしまう。人とほとんど交わらない生涯だったにも関わらず。ここが実に面白い。しかも非常にインパクトのある大女であるわけですしね。観ていて「ヴィヴィアン・マイヤーなんて写真家は実はおらず、これはフェイク・ドキュメンタリーなんじゃないか?」とか思ってしまいましたよ。

 もちろんそんなことはなくて、実際に写真集も没後に何冊か刊行されてる。今後、日本でも紹介されていくことになるのでしょう。なんか劇映画で彼女の生涯とか撮っても面白いんじゃないか?とか考えた。こういう不思議な巡り合わせによって偶然が生み出していく物語。現実って面白い。
posted by てんちょ at 02:10| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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