2012年08月09日

「一殺多生剣」

伊藤大輔の大ファンです。って、レーサーじゃないですよ。そんな人がいることはネットで知りました。私が言っているのは、主に戦前に活躍した伝説的映画監督。時代劇のあり方を永遠に変えてしまった人。と、日本映画史の教科書には書かれてる。戦後も作品を作り続けているので作品を見ることはできるけれど、これがそれほどおもしろくない。昔の映画は今ほどたいしたことはないんだろう。そう思ってました。無声時代の伊藤大輔作品を見るまでは。

 実は伊藤大輔の絶頂期は1926年11月の「長恨」から34年3月の「丹下左膳剣戟の巻」までのわずか7年4カ月。この間実に35本の映画を撮り、うち24本が映画史に残る第一級の傑作とされています。実にとんでもない打率!!伊藤大輔は1924年から70年までの46年間に95本の映画を撮っていますが、この絶頂期に比肩する作品はないとされています。

 されています、というのは、実際に残されている作品が「御誂治郎吉格子」の1本だけ、という状態が長く続いていたから。それ以外の作品は「すごい傑作だ」という評価と数枚のスチール、何本かの台本が残されているだけでした。なんという惨状。しかし実際に見られないのであれば、どう悔しがればいいのかもわからない。

 ところがその後「忠次旅日記」が発見され、現物を見てその途方もない衝撃的な内容に戦慄するほかありませんでした。今のところ個人的映画日本史上ベストワン。ここから私の無声映画狂いが始まります。

http://tenchyo.seesaa.net/article/104314486.html

 なんというかその、凡人の想像力を超えた衝撃的な映像の連打、しかも芸術として一部インテリだけが楽しめるのではなく、誰が見ても等しく衝撃を受ける、まさしく普遍的活劇の興奮。しかもそこに込められた悲壮美のなんと胸に迫ることか。

 その後相次いで発見された「長恨」(最終巻のみ)「斬人斬馬剣」(25分のダイジェスト版)は不完全な断片でありながら、そのすごさを改めて思い知らせるものでした。

 そこにひょっこりと、「斬人斬馬剣」と対にして語られることの多い大傑作「一殺多生剣」が発見された、とのニュースが飛び込んできました。10月の京都映画祭でプレミア上映されるとのこと。

http://www.kyoto-filmfes.jp/premiere.html

 おそらくは10分程度の活劇シーンの断片だろうと思っていたので、30分の縮刷版、というのはうれしい誤算でした。本当は130分の大作なんだけど。まあ4分の1あれば大まかな筋はつかめるかな。しかも関西弁士の第一人者、井上陽一氏の活弁つきというではありませんか。おまけに「忠次旅日記」の活弁つきとあれば!!これはもう、行くしかない!!
posted by てんちょ at 23:45| 大阪 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | サイレント映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ムネンアトヲタノム(憤死)

今夏はコミケにも行けやしない……(泣)
Posted by ポール・ブリッツ at 2012年08月10日 08:10
フィルムセンター収蔵が決まったからきっとそっちでもやりますよ。たぶん東京映画祭で
Posted by てんちょ at 2012年08月18日 18:13
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