2012年05月29日

「巨人ゴーレム」

 先日神戸で見たドイツ表現主義期サイレント古典の傑作。サイレント作品を映画館で見るのはやはり独特の感慨があります。



 このバージョンは86分ということで、フィルムセンター所有の修復版と思われます。実際フィルムの状態はかなり良かった。とはいえ、ここに貼り付けた版権フリー版の方が14分も多いのは何でなんだろう(笑)

 それはさておき。

 まあ実際このおかっぱ頭の印象的なデザインのゴーレムのスチールは割とよく知られていると思います。実際に動くところを見てみると、そのメーキャップの優れものぶりに驚かされます。1920年にここまで印象的な造形が可能であったとは。まさしくこの世のものならざる印象。「大魔神」のヒントとなったとの説にはなるほどと思わされます。あの憤怒の形相。確かに。

 全編、舞台はチェコのユダヤ人街。徹頭徹尾ユダヤ的な美術の中で、幻想的な魔術が描かれます。ナチス政権誕生前夜によくここまでユダヤな作品ができたよなあと思ったのですが、実際当時のドイツ社会では「ユダヤ人てこういう悪魔的な魔術を駆使する怪しい連中」という感じの偏見に満ちた形で興味本位に受け止められたようです。なるほど、ちょっと複雑。

 個人的には、ファンタジーというよりはかなりSFチックでとても楽しめたんですが。ゴーレムはいちいち丁寧な指示を与えてやらないとトンチンカンな動きをしてしまう、とかかなりロボット的な存在として扱われているんですよ。そのあたりの融通の利かなさが結構丁寧に描写されているのが面白かった。そして、制作者の意図を外れた悪用によって暴走を初めてしまう、なんてあたりはまさしく50年代SFタッチ。

 ただ、この日はまったくの無音での上映で、なんどか睡魔に襲われたのも確か。うーん。昔は無音でサイレント映画見るの大好きだったんだけどなあ。さすがに年取ると辛くなってくるってことか。次回は何か音源持って行くかな。
posted by てんちょ at 03:10| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | サイレント映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/272325730

この記事へのトラックバック