2012年05月04日

「不思議の国のアリス」

 春のアニメもひと段落したので、ここのところDVDで集めていたサイレント映画についてボチボチ紹介していこうかなと思います。著作権が切れていることもあってかDVDで投売りされているサイレント映画が結構多い。びっくりするような作品がびっくりするような価格で叩き売られてて…

 もちろん画質的にはかなり問題の多いものが大半なんだけど、それでも滅多に見られないもの、となると心が動いてしまうのも確か。美麗な復元版がある作品はなるたけそういうレーベルを購入するようにはしてますが…これなんかはフィルムは世界でこれ一本きりしかないので。

不思議の国のアリス 1903-1915 [DVD] / セシル・ヘプワース, メイ・クラーク,...

不思議の国のアリス 1903-1915 [DVD] / セシル・ヘプワース, メイ・クラーク, ビオラ・サヴォイ (出演); W.W. ヤング, セシル・ヘプワース, パーシー・ストウ (監督)

 なんと世界初の映画版である10分ほどの1903年版と、知る人ぞ知る50分ほどの伝説の1915年版。近年発掘されたものだそうで、特に1903年版など後半は真ん中にデカい穴が空いてて見るに耐えないズタボロの代物。

 しかしサイレント映画好きには必見です。1903年版はほとんどコントか学芸会なみのノリ、アリスはどうみても中年のオバサンと、チープすぎる展開が斬新すぎて逆に刺激的。このころの映画は「動いてりゃいい」寸劇レベルで、怪しげな興行師たちがそのへんの一般人をかき集めて撮っただけ、スターなんてまだ影も形もないころですからね。

 ですが1915年版のクオリティはわずか8年後とは思えない見事なクオリティ。映画の進歩を実感する意味でも貴重な資料といえます。このW・W・ヤング監督版の素晴らしさは、まさしく衝撃的。2500円払う価値は十分にあります。現代のシュワンクマイエル版やバートン版にまったく遜色なく対抗できる完成度といっていいでしょう。

 なにしろアリスの代名詞たるジョン・テニエル挿絵版が信じられないほど克明に再現されているのですから。ここまでの再現度は、その後の作品でも一度もないでしょう。誰でも一度は見たことのあるはず、このバージョン。

愛蔵版 不思議の国のアリス [単行本] / ルイス・キャロル (著); ジョン・テニエル (イ...

愛蔵版 不思議の国のアリス [単行本] / ルイス・キャロル (著); ジョン・テニエル (イラスト); Lewis Carroll, John Tenniel (原著); 脇 明子 (翻訳); 岩波書店 (刊)

 もちろん特撮なんてほとんどない時代。どうやったのかというと、非常に精巧な着ぐるみを作り、全編仮面劇として構成しています。それにしてもここまでテニエルそのままの着ぐるみができるってのがまず驚異。

 そしてアリス役のビオラ・サヴォイは、これまたほとんどテニエルの挿絵から抜け出てきたのかと思うほど見事なはまり役。見事とはこのこと。こんなものが見られるとは投売りセルDVDも捨てたもんじゃない。サイレント映画ファンでなくてもぜひ一度見るべし、です。
posted by てんちょ at 02:25| 大阪 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | サイレント映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すまんわたし1903年版アリス大好きだ(^^;)

YOUTUBEのやたらと小さい画面で見ると、あれほど面白い映画もないと思うであります。
Posted by ポール・ブリッツ at 2012年05月04日 07:39
おお、Youtubeで見れるんですか。
なるほど、ネットに上げている人のバージョンは若干映写スピードが遅いようで、真ん中のでかい穴があまり気になりませんね。マスターは同じものであるようですが

1915年版もいくつかの動画サイトで見られるようです。よかったら見てやってください。まあ版権は切れているから、音楽さえ差し替えれば誰がアップしても問題はないはず。公的機関がきちんと修復すればその段階で新しい版権が発生するんですが、どうもそういう真面目な修復はされていないようですね。
Posted by てんちょ at 2012年05月04日 15:27
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