2006年09月23日

ツバサ・クロニクル第46話「秘術のゴクイ」

 そうか!「真の黒幕」ってきっと飛王のことだね!飛王の介入は、ジェイド国でも一回あったし。なるほど、やるなーと思ったら、そんなシーン出ませんでした(^^;しゃ、社長〜

 確かに前回の予告編で「黒幕」をバラしちゃってるのはかなり真下らしからぬ投げやりな演出で、私も首をかしげたんですけど、まあ確かに考えてみたら、「息子が黒幕でした」というのはぜんぜん驚くべき真実ではないので、逆に伏せてたら「なんつー陳腐」とブーイング食らったかもしれません。んじゃ、もう早々にバラしちゃえ、ということだったんでしょう。事実、今回のエピソードが始まって早々に「原因は領主の息子」とバラしてしまってるので、まあ「そこ、重要じゃないから」ってことでしょう。

 そんなところで詰まるんだったら、黒幕をもっと別のびっくりするようなキャラに変えてしまえばよかったのに、という声が当然出るとは思いますが、つまり真下としては別の演出意図の点から、どうしてもブルガルを黒幕にせざるを得なかったと。何がって、あの青臭いほどに直球の「国際理解」啓発描写ですよ。そのあたり、少々鼻白んだり引いたりした方もそれなりにいらっしゃるとは思いますが。自国の裏切り者であるブルガルが黒幕でないと、そういう方向に話を持っていきにくい。

 あれって、何のことはない、CLAMP原作に対する強烈なイヤミなんですよね。私も見ていて最後になってようやく気付いて驚いた。うわーなんて回りくどい毒舌。ステキ〜(オイ)

 前回も申し上げましたが、CLAMP原作は極めて無責任かついい加減に与えられた「高麗国」という名。われらが隣人に対してそういう無礼な態度はいかがなものか、とまず原作の国名を否定しておいて。その上でチュニャンの国とキイシムの国を日本と韓国のメタファーとして描いている。お分かりとは思いますが、どっちがどっち、というわけでもないですよ。「関係性」において日本と韓国の関係は、チュニャンの国とキイシムの国の関係性とほぼ同じってこと。

 古くから文化的に交流もあり、似ているところも多いけれど、違うところもあちこちにあり、だからこそいつもどこかすれ違って諍いを生んでしまう。でもその憎悪は結局、似ているからこそ「相手も自分と同じはず」と相手に甘えてしまうところから生まれるのであって、自分と違う他者の存在を認めないことには決して前へは進めない。

 隣人への憎悪は、結局のところ近親憎悪であり、隣人の醜さをあげつらっているはずが、自分自身の醜悪さをさらけだす結果になる。なぜって、根本のところで両者は「似たもの同士」なのだから。似たものだけと同じではない、ここが理解しにくく争いを生む火種になりやすいのだけど、まずそれを理解しないことには始まりません。

 だから、チュニャンの選択は、「青臭く甘っちょろい」と鼻先で笑った方も多いとは思いますが。必ずしも成功するとは限らず失敗するリスクも高いのだけれど。それだけにそこに賭けたチュニャンの度胸は天晴れと言わなくてはならない。まず武器を置き、相手を信じること。そこからようやく一歩目を踏み出すことができるのですから。隣国との外交は忍耐と寛容こそが宝です。

 以上、こうして分析して言葉にしてしまうとえらく説教くさい(というか本編も十分説教臭い)のですが。この二国の関係を日本と韓国と読み替えると、とたんに全部が腑に落ちる。

 CLAMPが原作でやったような「チマチョゴリファッションショーがやりたいからこの国の名は高麗国」というような無責任な設定は、ただの植民地的収奪行為。無責任のそしりを免れることはできないでしょう。

 「なるほど、国名を勝手に変えたのがご不満ですか。では、この国を、韓国と日本のメタファーとして描きましょう。そうすれば、十分に咀嚼された文化的に深みのある表現となりますし、高麗国と名づけたCLAMPのみなさんのご意思も報われるというものでしょう」

 と、真下が発言したかどうかは知りませんが、まあ、そう言ってるも同然。というか、原作者を持ち上げるフリをして奈落に落とす、今シリーズで顕著な真下一流の悪意ある演出がさえわたったエピソードでした。慇懃無礼にイヤミです。うーわー最後まできてここまでやるか。まだ6話もあるし。この先はすべてオリジナルになるのでしょうし。ここに来て断然ノッてきました。うーん、先が楽しみっ!
posted by てんちょ at 23:44| 🌁| Comment(6) | TrackBack(5) | ツバサ・クロニクル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。

韓国と日本ですか! 正直考えもしませんでした。そうだと分かると、逆に今回の"説教臭さ"に感嘆です。確かにこの2国として考えれば全てに納得がいきますよね。
うーん、深い。

私もますます先が楽しみになってきました。
Posted by 歌書 at 2006年09月24日 08:51
>歌書さん
 いえいえこちらこそ。よろしくお願いします。
 なーんか浮いてましたよね。あの説教臭い展開。なんでなんだろう…真下らしくないなあと考えていてハタと思い当たった次第。本当、意地悪ですよねえ。NHKが「韓国ネタはマズい」とストップをかけたんだと思っている人が多いみたいですが、韓流ドラマでしこたまもうけてるのにンなわけはない。
 まあNHKの及び腰ぶりを逆手に取ってとってしまうのも真下の業師ぶりを示す一端なんですけどね。
Posted by てんちょ at 2006年09月24日 12:28
チュニャンの選択には、青臭いだなんだというよりも「日本人のメンタリティ」を感じました。あれでマスヒステリアが治まると考え、そういう話を作ってしまうところが、うーん、日本人だな、と。
チュニャンがリンチにあってぶち殺されたら、リアルかもしれないけれど面白くもなんともないので、この選択は当然必然的なのですが。
バックになにもないチュニャンよりも、サクラが「神の愛娘」としてのわけのわからんオーラを全開にして説得に当たったほうがあり得る話かもしれないな、と、コーヒーゼリーを食いつつ見ながら思いました。

黒幕については・・・ダマされた。責任者出てこい。金返せ。の三語に尽きます。まったくもお。
Posted by ポール・ブリッツ at 2006年09月24日 14:18
 確かにサクラの「神の愛娘」の方が、ストーリーとしての整合性はいいですね。ただ、ときにこうして完成度より個人的な思い入れを優先させてしまうのが真下であるわけで。その歪んだ部分も含めて興味深いんですけどね、信者としては。
Posted by てんちょ at 2006年09月26日 17:25
はじめまして。
原作の原作というとおかしいですが、話の元ネタの韓国古典の春香記では
結局は身分の卑しい娼婦だったチュニャンが
両班(韓国の貴族)の息子と結ばれるハッピーエンドだったのと全く逆なのが面白いです。
Posted by かじわら at 2008年05月05日 08:15
かじわらさんはじめまして。CLAMPはいろんな伝説や古典から、深い考えもなくつまみ食いする悪癖があるので、その類ではないかと。それをわざわざこのように戯画的にねじ曲げてみせる真下の悪意に改めて感心するほかないわけで。そりゃあ、あんな形でケンカ別れにもなるかなあと。
Posted by てんちょ at 2008年05月07日 02:16
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