2006年09月09日

ツバサ・クロニクル第44話「ケロちゃんとモコナ」

 まいどおなじみ、梶浦由記の朗々たる歌に乗って、決意を胸に一本道を歩いてくる二人。そう、やろうと決めたのだから。腰はまっすぐ、目は遠くを見据えて。それが私たちのスタイル。その二人とは…

 ケロちゃんとモコナ(^^;

 わはは。やってくれますなあ、真下!NOIRじゃないんだからさ。すごい自己パロディ。「寝るな、寝たらあかん、寝たら死ぬぞっ」て、雪山コントまでやってくれるし。さすが久川綾。真下の要求をよく理解してますよ。硬軟とりまぜて自在にやってくれる。

 それにしてもなぜ久川綾だったのか。他のキャスティングは全部変えたのに何でケロちゃんだけ。たぶんそれは、久川綾だったからなのでしょうねえ。(切り詰め改変したとはいえ)CLAMP原作のダラダラしたエピソードの後だけに、ビシッと単発で決めたかったものと思われます。しかもそこには真下版アニメのシリアス思想をしっかり詰め込んで、なおかつ肩肘張りすぎないしなやかさが必要。

 てなると、もう久川綾がやるしかないですよねえ。出発点で掲げた「過去のCLAMPアニメのカラーはすべて粉砕する」というカッコ良すぎる大原則を踏みにじる結果になったとしても。カッコ悪いけど。それはそれで許す。だって、久川綾が出たんだから。こうなったら江原正士も出ていただくしかない!頼みますよ、社長!

 さすがに久川綾、長くケロちゃんやってただけあって、手馴れたもんです。しかし、この世界のケロちゃんは自分で「ケロちゃんと呼んでや」と言うのか(^^;細かいところで「さくら」ファンを怒らせる設定を入れずにいられないって、やっぱり筋金入りですね。私は喜ぶけど。

 おちゃらけるばかりじゃなくて、「お前さんがたとは(別の世界の)過去か未来で必ず会っているはず」とパラレルワールド的な設定を盛り込み、なおかつCLAMPのように電波説教とならず「人生は生きる価値がある」とする真下的な見解に沿ってストーリーが組み立てられる。モコナがずっとブルーなのは、常に自分がマスコットでしかなく、積極的に自分が主体となって羽根の探索をすることができないから。で、今回はモコナの大活躍となり、小狼君たちはただ待っていることしかできない。「モコナも」活躍するんではなく「モコナだけ」が活躍する回。比較的何の疑問もなく各キャラクターに書き割り的役割を割り振って良しとしているCLAMP原作に対する強烈な皮肉ですね、これは。

 それが可能となるのも、真下ワールドの理解者・久川綾なればこそ。普通のアニメの演出からすれば、最後にモコナが出会う蝶が何なのか引っかかってしまうところなんですけど、それをあえて語らずに余白のまま置くのも真下流。モコナが何を考えたのか、何が起きたのかは、視聴者がそれぞれに推測するのも楽しみのひとつ。賛否あるでしょうが、これが物語の奥行きをふくらませる効果をもたらすはずです。

 ところで、今回の隠れテーマは、「キャラクターの大きさと見え方」についての問題。そういう意味では「おえかきモコナ」の回の続きでもあります。アニメの設定表なんかでキャラクターがずらっと一列に並んで背の高さが分かるイラストがありますよね。各原画マンさんはあれを参考に身長差のスケールを割り出して絵を描く。

 つまり、「背の高さ」というのは、視聴者にキャラクターを区別させるための重要な要素のひとつであるわけです。では、それが狂ってしまったらどうなるか…おそらくは予想以上に混乱してシュールな光景が見えるはず。巨大化したモコナはちょっとびっくりさせられるけど、途中からは別カットになるので、そんなに気にならなくなる。

 しかし最後に羽根を取り戻して帰ってきたモコナがちょっとだけ微妙に大きかったシーンは、多くの人がかなりドキッとしたはず。予想以上にすごくヘンに見えたはずです。これがキャラスケール変更のマジック。視聴者が無意識に大きさで各キャラを区別しているものが、一瞬突き崩されるわけですから。だからこそ、オチとして生きてくるわけなんですけどね。

 さてさて、次回は、また中華街…(えー)でも、「同じところを2回訪れない」という大原則を既に崩している真下、たぶん次回も何か狙ってくるはず。というわけでまたまた期待して待ちましょうか。
posted by てんちょ at 23:44| 🌁| Comment(2) | TrackBack(7) | ツバサ・クロニクル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
てんちょ様、TBありがとうございました!&逆TBさせていただきますね!

最近、こちらで『真下監督』の演出について勉強させてもらってます。
あの蝶の描写、あれは"真下流"なんですね。
確かに何を思ったのか描くのが"普通"のアニメなんでしょうが、私はあの演出好きです。てんちょ様の言うとおり、物語に深みが増しますよね。私も自分で推測した人間の一人です。

次回のナユタヤ、私も"真下流"というものを期待して見たいと思います。
Posted by 歌書 at 2006年09月10日 00:17
 いや、そんな。「勉強」するほどのたいそうなこともないですよ(^^;
 真下作品としてはやはり「NOIR」「MADLAX」あたりにチャレンジしてみてください。この演出家が、いかに他と違う特殊な人かわかっていただけるかと思います。肌に合うか合わないかは人それぞれですが。
 とかもこの人の場合、押井守のように理屈で押すんではなくて、あくまで直感で攻めるところがすごいんですけどね(^^;
Posted by てんちょ at 2006年09月10日 22:10
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