2006年09月04日

ツパサ・クロニクル第43話「5つ目のチカイ」

 前回の書き込みについて「あれは原作付きだ」と抗議の書き込みをいただきました。やはり原作派の人のブログ書き込みを頼りに原作かオリジナルかを判断するのは無理があったか…

 と思って、久々に14巻を本屋で購入してきました。第1シーズンについては、原作とアニメ版を詳細にコマ単位でチェックして分析したのですが、真下のアニメ版と比較すると、原作の出来の悪さには、ほとほとイヤになるんですよ。そのくせ妙に電波がかってて説教臭いし。そもそもコマがえらくゴチャゴチャしていてストーリーが非常に理解しづらい。それは技巧というよりは、ただ単に着せ替えごっこを誇示したいだけのような気がする。われわれ真下信者からすると、CLAMPの方法論というのは、非常に反感を感じます。客観的な立場からすればどちらが優れてるというものでもないのでしょうが、私、その敵対し合う一方の陣営に所属する一人ですから。当然、CLAMPの方法論には強く反発します。

 原作を読めば読むほど、なんで真下ほどの人がこんな作品のアニメを引き受けたんだろうと不思議な気分になりますが、なにを引き受けても真下流に組み立てなおしてしまうのが、われらが真下耕一監督であります。「カードキャプターさくら」が原作ファンもアニメファンもみんな幸せなめでたい作品であったのは対照的で、これって、とことん原作にケンカを売ってますよね。そこもまあ、真下の真下たるゆえんで。そもそも真下に依頼した時点でこうなることは理解してしかるべき。

 今回購入した第14巻の話に戻ります。

 ブロガーさんによって、ここ数回のエピソードがオリジナルかそうでないか意見が分かれたわけですが。読んでみて納得しました。CLAMPの単行本は400字詰め原稿用紙1枚分ぐらいのごく短いエピソードをずるずると引き延ばして単行本1巻分に仕立てあげている。正直に意見を言わせていただくなら、これではほとんど作品とはいいがたい。ほとんどメモ書きレベルです。これに演出作業を加えてどう膨らませるかによって、ストーリーはまったく違うものになる。なるほど、そういう意味では、演出家として料理のし甲斐はあるかな。私が詳細にチェックした前半から比べると、ストーリーのスカスカぶりはよりひどくなっていますが。ひどいね、これで金取るのか。

 見る人によってオリジナルかどうか意見が分かれるのも道理。だって、原作にストーリーといえるようなものは既にほとんどないんだから。

 なるほど、原作でも確かに「クロウ国」の描写自体は登場します。ただし、それは本がサクラの羽でできているから、クロウ国の姿が見える、とただそれだけ。本当にそれだけ!そもそもクロウ国の具体的な描写はゼロです。これって、別に回想シーンでもよかったような話ですよね。原作のレベルだと。アニメ版で「サクラちゃんの記憶が不完全だからここには誰もいない」などと言っていたのはほとんど別の思想に基づいています。個人の内面の具現化した場所、というより哲学的なアイデアがアニメ版でははっきりと示されています。

 表層的ないくつかのセリフが一致したとしても、実態はまったく別のエピソードとなります。物見遊山と擬似恋愛ゲームではない、内面をたどる旅。悪いけど、それは原作にはまったく登場しないもの。表層的ないくつかのセリフは採用しつつも、ほぼまったく異なる思想に基づくエピソード。初期の「水中都市」(アニメ版第12話)がオリジナル、という意味においては今回もオリジナルであろうし、前回の論旨を撤回する必要はほぼなさそうです。原作を精読して、ことと次第によっては、前回の主張を取り消そうかと思っていたのですが、どうやら、そうする必要はまったくなさそうですね。

 しかもエピソード的には、ほぼ転換点というべきものであり、決定的に原作と決別する転換点。それははっきりしていました。何人かのブロガーの方があきらめたように「ここから先はアニメの理屈で展開されるのでしょう」と言っておられました。それはまことにもってそのとおり。ただ、それはNHKのコードに基づく妥協の産物ではなく、真下の演出家としての思想の結果。それは理解していただきたいと思います。みなさんの大切な「ツバサ」は細部まで完璧に破壊されてしまうことでしょうが、それは真下耕一という前衛派職人の演出家が担当した段階で覚悟しておくべきことでした。

 そういう意味でいうと、ほとんど原作と交差するエピソードのない今回の方が、オリジナル性は薄い。愛弟子のモリヲカ氏、今回はワリを喰ってしまいましたねーストーリー間のつなぎのエピソード、という印象が強く、思想はかなり薄い。前回、真下がおいしいところをあらかたさらってしまったから…

 本ブログはかなり明確に「モリヲカ氏応援」を打ち出しているのですが、今回はちょっと、ね。後始末ばかりさせられてしまいましたね、モリヲカ氏。お気の毒でした。

 しかも次回は、ケロちゃん登場!しかも久川綾!当然ながら巷では異例の「そのままキャスティング」が話題になっておりますが、我々真下ファンにとってもこのキャスティングは衝撃。だって、久川綾といえば、クロエの久川綾!リメルダの久川綾!男優なら江原正士、女優なら久川綾、というぐらいに真下組ではトップクラスのキャストなんですから。これで何かやってこないはずがない。次回は真下の番。真下、本当、容赦ないな。少しはモリヲカ氏に花を持たせてやってくださいよ(^^;
posted by てんちょ at 23:05| 🌁| Comment(2) | TrackBack(8) | ツバサ・クロニクル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
てんちょ様、トラックバックありがとうございました!

私はアニメも原作もそれぞれ好きで見ているので、監督やCLAMPの演出についてはあまり気にせずにいたのですが、こちらの日記の観点は私にとって全く新しいものでしたので「こういう考え方もあるのか」と感嘆しながら読ませていただきました。
ツバサ原作ファンはアニメに対して批判的な方が多いようですが、私は元々『.hack』が大好きだったのですんなり見れている気がします。(真下監督だという認識はなかったんですが)

長々と失礼いたしました。
TB返させていただきますね。
Posted by 歌書 at 2006年09月05日 20:02
 歌書さん、はじめまして。しかも同じ愛知在住なんですね。今後ともよろしくお願いします。
 原作に対してかなり厳しいこと言っているのに、冷静に見ていただき、とてもうれしいです。おっしゃる通り、原作ファンではない人間の側から見たら「ツバサ・クロニクル」という評があってもいい、と考え、書き続けています。こんな見方もあるのか、と思っていただければ幸いです。
なお、第一シーズンについてコマ単位で分析した評は、ブログではなく同人誌の方になります。もしご興味があれば見てやってください。「MP7号」になります。
Posted by てんちょ at 2006年09月05日 23:30
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