へうげもの 四服 (講談社文庫) [文庫] / 山田 芳裕 (著); 講談社 (刊)
![へうげもの 四服 (講談社文庫) [文庫] / 山田 芳裕 (著); 講談社 (刊) へうげもの 四服 (講談社文庫) [文庫] / 山田 芳裕 (著); 講談社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51rr6CHH98L._SL160_.jpg)
今回は実にワルノリで、だんだん真下節が効いてきましたね。秀吉が掲げた茶壷が「いかにもCGです」といわんばかりに軽薄にクルクル廻って発光するなんて、ギャグとしてやっているとしか思えない。というか、かなり意地の悪い演出ですね。
ニコニコ動画なら「うぉっまぶし」という書き込みであふれかえったに違いない(^−^;
とにかく意地でも原作と同じ演出はしない。ていうかできないとは思いますけどね。あれは止め絵だからできるわけであって。そういう批評的演出もまた真下ならでは。
実はそれ以上にうれしかったのが、今回初登場の石田光成の扱い。原作での光成は実につまらぬ堅物の政治屋として描かれています。要するにエピソード後半での便利な悪役ですね。それぐらい薄っぺらい。まあ実際人望のない人だったらしいけど…
しかしそれでは満足しないのが我らが社長。光成になんと真下組の欠かせぬ一員・関俊彦さんをあててきました!うぉっ来ましたね。もともと「F」で主人公軍馬をやってましたが、これは実は印象が薄い。関さんが真下組で存在感を発揮するのは「主人公と対峙するライバル・アンチヒーロー」を担当した時で、まずは「ロピンフッドの大冒険」のギルバート、続いて「銀河無責任艦長タイラー」のル・バラバ・ドム、「砂漠の海賊!キャプテン・クッパ」のサムゲタン、そして「スパイダー・ライダーズ」のバグース。特にバグースは「我々は何者なのか」と思い悩む指揮官を演じ、完全に主人公を喰ってました。
というわけで、信者にしてみれば関さんがやる!というだけで俄然意味が違ってくる。むろん左介とは対立するのだろうけど、原作とは比べ物にならないほど奥深いキャラクターを感じさせました。さすが社長、絶妙の配役じゃないですか。関さんだからこそ表現できることがあり、関さんがやるからこそまったく説明なしに何をやろうとしているのか理解させることができる。
そしてそれに負けていないのが江原秀吉。今回の「…ふぅ」というため息だけで、文字通りすべてを語り尽くしてしまう。はしょられている家康との「千日手」状態の戦と身動きのとれない状態がすべて明確に理解できる。これまた原作ではあり得ないことですね。真下組声優陣と社長の信頼関係の深さが感じ取れます。いやーこの先も楽しみだ!