えーというわけで、大阪は九条のシネヌーヴォで開催中のマシューバーニイ作品連続上映。金沢でもサンフランシスコでも見られなかった「拘束のドローイング9」。ようやく見ることができました。痺れるような大傑作!…と言えればよかったんですが、別にそういうわけではないです。というか、今までもちょいちょいと書いてきましたが、それは分かってて見に行ってるわけで。ツッコミどころ満載で巨額の無駄金が注ぎ込まれた超大作をケラケラ笑いながら見てました。
現代アート仲間のあたしかさんがいみじくも指摘しておられるとおり、マシュー・バーニイという人は米では現代アート界のスーパースターという扱いですが、どうみてもただのアホ。自分が天才だと思い込んでいるけど、実は趣味が特殊なだけだという(笑)あたしかさんが指摘しておられるとおり、バーニイという人は涼宮ハルヒそのものだといえそうです。ただハルヒが劇中で撮りあげた「朝比奈ミクルの冒険」が貧乏学生映画のセコさをすべて備えた典型的駄作であるのに対して、バー二イはほぼ同じノリの世界をすさまじい巨額の費用で撮ってしまった。だからいわゆる技術的アラはないけれど、世界観はヘンテコなまま。そこが余計におかしい。
DVDの発売予定はないそうですが、DVDのコメンタリートラックで、延々全編ツッコミを入れまくったバージョンを作ってみたいと思いました。そう、「朝比奈ミクルの冒険」が、そのまま単体ではただの駄作なのに、ヒョン君のツッコミナレーションのおかげでナイスな怪作に化けしまったように。とにかくもう、全編
「ツッコミたい、ツッコミたい、ツッコミたい…」
と念じながら見てました(^^;
それにしても無駄に注ぎ込まれた巨額の制作費にはあきれるばかり。ふつう、ハリウッド大作というのは、みんなが喜びそうなものを無節操につなぎあわせてバカにされるわけですが、こちらはとことんバーニイが喜ぶものを実現するためだけに天文学的な予算が組まれている。
これで大規模に劇場公開するとか、DVDで発売するっていうんなら分かるんだけど、ごく小規模に出し惜しみするように公開されるだけ。DVDも発売予定ナシっていうんですから、出資者は安くないであろう投資をなぜ承諾したのやら。
もちろん、自分の頭の中の独自のイメージを具体化する、というのは、アーチストとしてごくまっとうであるし、そのイメージが独創的で人を驚かせるものであるのなら大歓迎。クリストのようにアートプロジェクトの費用をすべてポケットマネーでまかなう超太っ腹な人もいますけどね。そのクリストなんかは、「モノを包む」というごく単純な行為の中に、実にいろいろなイメージを重ね合わせてくれる。
んで、バー二イはどうなのかというと、これがあっけにとられるほど子供っぽい。今回の「拘束のドローイング9」がなんなのかというと、
「ぼくがかんがえたニッポン人」
という感じのノリ。ほとんど「僕が考えた怪獣」の世界です。「怪獣」だったら、想像の世界だからまあいいんですけどね。「日本人」は実在してますから。あんまり無責任に想像力をはばたかせるのもどうかと(^^;
で、もしすごく独創的だったらアリかもしれないけど、内容は今時恥ずかしいコテコテの「フジヤマゲイシャ」。日本に行ったことのないアメリカ人の小学生の男の子に日本の絵を想像で描かせたらでっかい富士山の下でゲイシャがウロチョロしてる絵になってしまう、そんな感じのノリ。
たぶん発想の発端は
「ぼくの奥さんってゲイシャっぽいよね」
とかいう、バーニイのアホな発言であったのかもしれません。化学実験に失敗して爆発した芸者(それはどんな状態だ)のようなケッタイな髪形とケッタイなメイクのビョークが出てきます。あれなら、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でロリ眼鏡っ娘ビョークを描いたラース・フォン・トリアーの方がずっといい。
それにしてもこの無意味な超大作のために引っ張り出された無数の日本人出演者こそはまことにお気の毒で、実際、何を考えていたんだろう。石油コンビナートの狭間を無音で踊る阿波踊りの面々とか、巨大捕鯨船「日進丸」をチャーターしておきながら、わざわざ甲板の上で生理ナプキン形の巨大プリンを作らされた船員さんたちとか。
で、最後には船上での「結婚式ごっこ」の末に、バーニイとビョークが「心中ごっこ」をして幕。短刀でお互いの胸をぶっすり刺しておしまい、ならまだよいのですが、身体を端からチマチマ削りとり合うという、実にイヤな展開(−−;
なんか叩きまくってますが、実は見ている間は実に楽しかった。ここまで子供っぽくてバカな世界が超大作として実現しているのを、ツッコミながら見るのは結構退屈しません。だって、ビョークの背中に孔があって、クジラみたいにシュバッて潮吹くんですよ。おまえ、それ絶対に思いつきでやってるだろ(^^;!
2006年07月18日
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マシュー・バーニー『拘束のドローイング9』
Excerpt: 九条にあるシネ・ヌーヴォで先週末から一週間の期間限定で上映されていた『拘束のドローイング9(以下『DR9』と略)』(原題:Drawing Restraint 9)。アメリカの現代美術家――というか、...
Weblog: 球根栽培法
Tracked: 2006-07-21 21:54
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Excerpt: 九条にあるシネ・ヌーヴォで先週末から一週間の期間限定で上映されていた『拘束のドローイング9(以下『DR9』と略)』(原題:Drawing Restraint 9)。アメリカの現代美術家――というか、...
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「これを衆目にさらすというのか・・・」な、出来だったのですか?
某番組以来失敗作と聞けばがぜん興味が湧いてくる汚れた身体になってしまいまして(笑)。
レポートお待ちしております。
ハルヒのスタッフが、「文化祭で撮るくだらない映画」を再現するために払ったとてつもない努力と細部へのこだわりはよく承知しているつもりですので・・・。
まあ「拘束のドローイング9」は制作者の意図通りに仕上がっている、という点では「失敗作」ではないと思うんですよ。珍作・怪作ではありますけどね。まあ、機会があったら見て損はないです。
「失敗作」という点では、今度は「内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎」が話題になってますよね。私はまだ未見なのですが、そのへんは抜かりのないポールさんはチェックしておられることでしょう。来週見てみよ。
だっぽん。