2006年06月03日

ツバサ・クロニクル第32話「魔術師とデート」

 今回もオリジナル。第1話でちぃが出てこなかったので、このまま無視するのかと思いましたが、こういう見せ方をするとはさすが真下監督。作品を通してこの物語に対する見解を語らせると天下一品です。物語の中では何を語り、何を語らないべきなのか、そのあたりの真下ならではの主張が非常にはっきりと出ている、という意味でサンプル的な一本といえそうですね。必ずしも5W1Hを明確に語ることが良い語り方とはいえない。演出によって一定の方向性は与えつつも、あからさまな結論は決して見せない。それは視聴者が細部を読み取って自分なりの姿に肉付けしていくべきものだから。そのためには、あちこちにあえて空白を残しておくほうがいい。

 問題は、その描き方があまりに直感的かつ前衛的であるために、主張が伝わっていない視聴者も多いということなんですが(^^;

 ほら、やっぱり「なんでちぃが王になるのを拒んでいたのか、なんでファイと逃げるのをあきらめたのか分からない」とか言ってる人がたくさんいますよ(笑)まあ、そういう人には「もう一度最初から見てみるともう少し分かりやすくなりますよ」と申し上げておきますが。

 確かに極めて押し付けがましいCLAMPの叙述とは水と油。CLAMP原作に忠実な「xxxHoLic」とは対照的といえるでしょう。まあ、少なくともオカルトで説教はされたくないよな。良いオカルトと悪いオカルトなんて、んなものはありません。オカルトはオカルト。いかがわしさこそが力の源であり、そのことを忘れると大火傷する。
 「ツバサ・クロニクル」も原作は説教しまくりなのですが、それらを一切排除し、ストーリーの骨組みは保ったまま、まったく異質の真下的な前衛叙事詩に脱構築してみせる力技。何というイヤミな妙技!もちろん、それを読み取るためには、それなりに注意を払う必要はありますけどね。ただ、まったくトンチンカンなことは言っていないつもり。指摘していることは「そういえばそんな見方もできるかも」と納得してもらえるもののはずだから。

 CLAMP原作ではとにかくみんなやたらと演説をぶちたがりますが、真下にしてみれば「そんなものは大きなお世話」であるはず。だから、このエピソードでもファイはほとんど世間話的なことしかしゃべっていない。

 それでいいんです。物語とは受け手の思索のきっかけを促すべきものであり、ある特定の思想を押し付けるものじゃない。

 たとえば、このエピソードの最後、なぜ鳥が飛んできたのか、なぜそのとき夜が明けたのか、なぜそのときちぃはファイとの別れを決断できたのか。それは細部を注意深く観察し、時に繰り返し見ることによってしか納得できないはず。

 もちろんここでファイの長台詞で延々と説明することはできるけれど、それはかえって物語をやせおとろえさせ、想像力を根絶やしにしてしまう。だから、私はあえて語りません。自分なりの考えはあるけどね。それは皆さんが一人一人見つけるべきものであるはず。

 …次回は原作付きか。あーあ。まあ仕方ないですが、桜都国篇のようにダラダラとやられるのは勘弁。さっさと済ませてくれることを祈ります。まあ、原作付き篇の方が原作に対する毒は冴えるので、それはそれで楽しいんですけどね(^^;
posted by てんちょ at 23:33| 🌁| Comment(3) | TrackBack(10) | ツバサ・クロニクル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。TBありがとうございました。

>なんでちぃが王になるのを拒んでいたのか、なんでファイと逃げるのをあきらめたのか分からない

すみません、ちょっとそう思いました。(^^;
ただ、理屈を越えたところで今回は面白いと思っている自分がいたことも確かなんです。
一から十まで説明されてはないんだけど、ファイとちぃの間の思いとか、切なさが、ビシビシ伝わってきて泣けました。もしかして、これが真下流なのでしょうか。(^^;

昔監督された「ロビンフッドの大冒険」がDVD化されて、今見直しているのですが、思えばこの作品も理屈を越えて好きな作品なんですよね。
Posted by 横溝ルパン at 2006年06月03日 23:55
鳥籠・・・小鳥さん・・・喋りすぎですか?

今回は前回と比べて非常に面白かったです。ええ話や。

「朝が来ない」・・・ファンタジーだとはわかっているけど、物理法則を考えたら気が狂いそうになりますね。実はリングワールドで遮光板が(以下略)。

それにしても国の者みんなが夢で王様を選んだくせして、実際に顔をつき合わせて誰もそれと気づかんのかまったく!

ちぃを抱きしめようとして泣く泣くあきらめるあのシーンは、まんまカリ城でしたなあ。どうせならファイに、「おれみたいに薄汚れちゃいけないんだよ」なんていわせてみたかったです。当然、ラストは黒鋼に「いやー、ファイはとんでもないものを盗んでいきました。それは、あなたの心です」といわせてシメ。・・・おふざけが過ぎますか?
Posted by ポール・ブリッツ at 2006年06月04日 16:59
>横溝さん
 あ、何かすいません(^^;
 真下流はとにかく直感で説明を嫌いますので、感じたものを自分なりに咀嚼していただければ。
 「ロビンフッド」出たみたいですね。「ロビンフッド」といえば何といってもアルウィン卿。江原正士との出会いの作品でした。児童文学の世界に飛び込んだマクベス、というべき演技の厚みが忘れがたい。各エピソードの出来の善し悪しって、結局アルウィンが出るか出ないかで決まったような気も。

>ポールさん
 何か思考回路が似てる似てる(笑)
 「夜来る」か?いやそれは逆だ。小松左京の短編に似たものがあったぞ、とかね(^^;
 「カリ城」は誰だって連想するでしょ〜原画マンのお遊びだったのかもしれませんが、食いつかずにあえて放置するのが真下ですか(^^;
Posted by てんちょ at 2006年06月04日 17:21
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