2005年01月29日

「マドラックス」そもそもの原点

 同人誌でも言ったことですが、おそらくは豪のSF作家グレッグ・イーガンの「宇宙消失」(創元SF文庫)が、発想の源になっていることは、ほぼ間違いないでしょう。純粋に小説としてもおもしろいので、未読の方は、ぜひとも手にとっていただきたいところです。

 これまで指摘してきた量子論的アイデアの多くが、すでにこの本に収められています。ただ、内容的にはまったく似てもにつかないものであることはあらかじめ強調しておきます。「マドラックス」が「宇宙消失」をパクったとか原作にしているのに空とぼけている、というわけではない、ということです。実際、「宇宙消失」もはるかに凌駕して、とんでもない場所まで来てしまっているのです。ペンローズの量子脳理論は、ほんのサワリの部分だけイーガンも借用していますが、そこから先は彼のオリジナルの理屈です。これ以上触れるとネタバレになるので言いませんが、量子論を駆使して大胆不敵なホラ話をひねり出してしまうセンスはなかなかのものですよ。

 真下監督以下「マドラックス」のスタッフは、おそらく、イーガンの原作から逆にたどる形で、量子論や量子脳理論に関する文献を集めていったのでしょうね。ここまで違えば、それぞれ別の作品として楽しめます。

 でも、そうでない例もあるわけで…
GONZOの「青の6号」ってアニメがかつてありましたけど、小澤さとるが原作、というのはまったくの口実で、実際は日本を代表する前衛作家安部公房(「砂の女」とか「壁」とかの人)のSF長編「第四間氷期」(新潮文庫)が下敷きになっています。たぶん、スタッフたちは安部公房がやりたかったんだろうけど、それでは売れないからダミー原作として小澤さとるを持ち出してきた、ということのように思います。
 確かにねえ、それはそうなんだけど、ここまでアイデアとテーマを借りるのなら、ちゃんと断ってやってほしかった。「青の6号」はなかなかのできばえだっただけに、安部公房ファンとしては、とても悔しいのです。
posted by てんちょ at 22:33| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | MADLAX | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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