2020年03月09日

「映像研には手を出すな!」#10

 今期「ほほー」「ふーむ」と観ながら唸ってばかりの作品が二本ありまして、一本は「マギアレコード」そしてもう一本はもちろんこちら。そういう向きは多いんじゃないでしょうか他にも。



 今回観ていて本当に感心したのは「これだけ無茶したら学校サイドが黙ってないよね」というのをちゃんと取り込んできていること。そして彼らは決して理不尽なことは言ってない。学生のやってることなんだから儲けすぎて目立つと叩かれるぞと親切に警告してくれてるわけであって。これ、ある意味で製作委員会のスポンサーたちの意見代表と言ってもいいですよね。圧倒的な存在感を持つ生徒会書記・ソワンデの介入は、いかにも絶対的な権力を持つ生徒会の横暴っぽいのですが、実はそれほど強権は振りかざしていない。無茶すんなというだけで。ただ、天才プロデューサー金森氏のビジョンが学生の本分の枠内に収まりきらないだけなのですよね。

 金森氏は「はいはいわかりました」と折れるように見せかけておいて、運営主体を学外に移しただけ。あいかわらずしたたかです。

 そしてクリエイターたちには、カネはなんとかするから、仕事を進めろとテキパキ尻を叩く。本当、優秀だなあ。浅草氏のストーリーづくりが宮崎駿と近いものだというのは前から指摘されていることであって、脚本を作らずストーリーボードを関心の赴くままに描いてストーリーを組み立てていく。このやり方には長所と短所があって、場面ごとの絵のインパクトは高まるけど、ストーリーは散漫になりやすい。あと、原作付きの場合は使えない。宮崎駿が中年期まで干された理由もなんとなくわかってきます。山師とか銭ゲバとか言われながらも鈴木敏夫との出会いは大きかったんだなあと思わざるを得ません。実際、鈴木敏夫をもってしてもコントロールできたのはトトロまでで、あとは好き勝手やっても客が来るのでどんどん散漫になっていってしまった。「風立ちぬ」とか、もはやなんだかわからない。

 
 それを知ってか知らずか、金森氏は、ギリギリと浅草氏を追い詰めていく。いいですよ、いい。それぐらいやらないとクリエイターからはなんも出ませんから。そして、振れば振るほど、どうでもいい脇のネタばかりザラザラ出てくるのもありがちな話で。攻めてくるのは誰なのか、というのがとうとう出ずじまい。そのあたりがクライマックスになるのかな。横でニヤニヤ見てるソワンデにもなんか共感してしまった。

 ていうか、海外でこの作品を見てる人たちが、2050年の移民が当たり前になった日本を舞台にしていて、移民の子たちがたくさん出てくることがストーリーの筋となんの関係もないことに感動していることに、なんか心動かされてしまった。そういうやり方もあるかと。本当、こんな30年後が来るといいですよね。
posted by てんちょ at 02:08| 大阪 ☀| Comment(0) | アニメ一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする