2015年08月01日

「乱歩奇譚」#5

 スタート時には、本当に期待していたのです。その答えがこれと? 心底失望しました。なにこれ。



 このエピソードはまったくをもって有害な作品であり、強く批判されるべきです。残虐な場面があっても過剰にエロチックでも有害とはまったく関係ありません。言いたいのはそういうことではない。この作品は不正確な知識をもとに視聴者の偏見を助長し、不必要な対立を煽る。そういう作品こそが「有害」と非難されるべきです。

 心神耗弱・喪失で無罪になる精神病患者は大変少ないし、精神病=無罪ではぜったいにない。そのあたりを故意に誤解させ、精神病患者への偏見を煽る内容は悪意の介在を疑われても仕方ないと思います。

 前回も申し上げましたが、刑法39条は精神異常=無罪とはみなしていません。自分がやっていることが法に触れるかどうか認識できていれば、精神病患者でも十分に罪に問えます。近年では、隣人五人を惨殺した被害妄想患者がいましたよね。でも、きちんと逮捕され、裁判にかけられています。彼は隣人が自分を殺そうとしていると思い込んだのですが、だからといってこちらから先制攻撃で皆殺しにすれば逮捕されることは認識できていました。その場合、心神耗弱とはならないのです。心神耗弱とは、現実をほとんど認識できない状態であり、そもそも取り調べで対話が成り立たないレベル。つまり心神耗弱で無罪・不起訴というのがいかにレアなケースかわかっていただけると思います。この作品中でセリフとして出てくる「半数が不起訴」などということはあり得ません。もしそんなに大量の殺人事件が不起訴になってたら、刑法39条への批判が殺到してとっくの昔に法改正されていたでしょう。

 実はこのエピソードに登場する精神病患者たちは、ワタヌキも含めて全員立派に罪に問えます。「オレは精神病歴があるから無罪だ」と言っている段階でまったく「心神耗弱」ではなく、自分が何をしているか分かっているということですからね。特に取調室で「精神病歴があるから何やっても罪に問われない」としれっと言うワタヌキは、その段階で自供とみなされて即送検でしょう。

 カガミが最初に捕まえた、過剰に酒を摂取しては犯罪を繰り返していた男、実は刑法39条の重大な判例になってます。酒を飲むと意識が飛んでその間のことは覚えていない、でもその間に乱暴を働く。一見心神耗弱の典型例に見えますが、酒を飲めばどういう状態になるか当事者は分かっており、酒を飲まないという選択肢もある。それなのに酒を飲むというのは、自由意志をもって犯罪を引き起こしてもよいと思いながら酒を飲んだのだと判定され、有罪判決を受けました。(1968年長崎地裁)明らかにこの脚本、この判例を知ったうえで意図的に嘘をついていますね。悪意があるとしか思えない。

 まあ、取り調べ中に脱走した男が刑事の家を探し当ててじっくり家族をバラす時間なんて絶対ありませんけどね。脱走したら即緊急配備で、30分以内に身柄確保でしょう。呑気に予告状送られたカガミに携帯で連絡してる場合じゃない。実際の警察だったら、数分以内に所轄署員が大量にカガミの家を取り囲んで、犯人は近づくこともできやしないはず。なんだこのザル脚本。そういう意味でも深く失望しましたよ。

 こんなもん二度と見るかと思いましたけど、まあ次回影男が再登場だと知り(^^;一応見ることに。しかしもうディスク保存はしないかも。期待していただけに、本当に残念です。スタッフは猛省してほしい。
posted by てんちょ at 02:19| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする