ストーリーが進むに従って、どんどん話が異常になっていく。スタート時は、みんな普通の高校生だったはずなのに。主人公も貧乏なだけでごくありきたりに見えたものですが。最初は便利屋みたいなものかと思っていた「揉め事処理屋」も、いつの間にかえらくスケールの大きなネゴシエーターと化している。
今回もまたすごい。よりにもよって「暗殺拳」ですか!そういうマンガ的な設定をおそろしくリアルな表現で記述していくところが、実に興味深い。こういうスタイルをとると、表層的なストーリーとしては特に何も起きていないのに、視聴者の側からみるとボロボロと現実の基盤が突き崩されていくような違和感がすさまじい。
アニメイトでの紹介文によれば、原作本は「ドタバタアクション」なんだそうです。さもありなん。別に駄作ではないけれど、よくある娯楽アクションにすぎないということですね。原作者は何も小難しいことを考えてこの話を作ったわけではない。このアニメ版を見たときに、どう感じたんでしょうか。ぜひとも知りたい。
登場人物たちにしてみればすべてが日常の出来事。真九郎が紫と一緒に電車を乗り継いで夕乃のところに格闘技の稽古に出かける。帰ってきて買い物をしてアパートの住人たちと鍋を食っておしまい。
ところがこの「日常」がすさまじく異常。崩月の「技」って、ごく実用的な護身術だとばかり思っていたんですが、なんと暗殺拳。そして稽古の相手は夕乃の父ではなく夕乃本人!この格闘シーンがまたおそろしく身体感覚を刺激される「痛い」表現でありまして。実際の格闘シーンではなく、稽古のシーンで作画枚数を使ってくるというのも、かなり明白な「哲学」を感じる次第。こんな荒唐無稽な世界を湯豆腐と同列で語る登場人物たちへの違和感がじわじわと高まっていくわけで。って、次回はまたさらにとんでもない何かが提示されるんだろうなあ。エピソードの順番をシャッフルするだけで、ここまで異様な世界が立ち現れてくるとは。

