じわじわと妙な設定がにじみ出ているわけですが、登場人物たちにとってはそれが当たり前の世界、しかし実にあり得ざる設定を何とも妙な違和感のままに描き出している。原作のイラストを見れば、まさしく「そういう世界」の話だというのは明白なわけですが。
それを一挙手一投足を緻密に描き出す超リアルなスタイルがすさまじい。何しろ「クズシ絵」のマンガ的表現が一切なく、とことん実写的に細部まで描き出していく。むろんそれは実写そのものとは大きくかけ離れた間接的な表現であるわけですが。そこに「二の腕から刃が突き出す」といった荒唐無稽な表現が混入することによって大いに表現が混乱する。それを意図的に投入することによって、身体の違和感を描き出すのが松尾監督の作戦というわけですよね。上の原作イラストと比較すれば差異は歴然。
違和感は果たして空間から排除すべきものなのか。そうでない可能性もあるのではないか。そのあたりも含めて、実に趣の深い、考えさせられる演出といえますね。まさしく、「実写とは異なるリアルさ」を確立した日本アニメならではの表現のある極北。わずか12回で終了だそうですが、どう終わるか、それもまた注目です。

