話題の大作、とうとう行ってきました。今まで何度かこの場でも語ってきましたが、
小学生の頃に図書館で連合赤軍の歴史を読み漁った人間としては、これは行かないわけにはいかない。3時間の超大作だけど、
音楽のすばらしさ、カットつなぎのテンポのよさ、原田芳雄のかっこいいナレーションもあって、悲惨な話だというのに思わず引き込まれてしまう。まさしくこれぞ傑作といって疑いないでしょう。
いまどき珍しく「実録」と銘打っているだけあって、獄中の赤軍の当事者達に接見して集めた証言をもとに構成した正真正銘のノンフィクション再現
ドラマ。冒頭には「この作品はすべて事実をもとにしている」と字幕が堂々登場します。
そしてここで再現されていることが事実なのだとすれば、あさま山荘事件は山岳ベース虐殺事件のつけたしにすぎない、という若松監督の主張はまさしくその通りだと思います。そしてもう一点。本当にこれが事実なのなら、山岳ベース虐殺事件とは、永田洋子のまったく個人的な犯罪だということです。特に監督はそう主張してはいませんが、大半のメンバーが泣きながら同志を撲殺している中、ひとりほくそ笑み、無理やり殴らせ、山中なのに
化粧をしていた、私より
美人だ、男といちゃついていた、などなど、本当にくだらない理由をつけて
女たちを殺していく。しかも自分では直接手を下さず、いつも人にやらせる。みんな泣きながらおびえているのに、最高幹部の森の後ろに隠れて、森を炊きつけながら一人一人血祭りにあげていく。森はもともと内ゲバ抗争に参加せず脱走した前科があって、それを後ろ暗く思っているがゆえに、焦りを感じている。そこを巧妙に利用した永田洋子は本当に恐ろしい。
たぶん、永田洋子は
サイコパスか快楽殺人者だったんじゃないかと思う。事実、永田が山を降りて逮捕された後は、より厳しい冬山であるにもかかわらず、一人の死者も出ていない。いつの時代も過激なグループを立ち上げると、右左を問わずこういう快楽殺人者が漏れなくついてくる傾向はあるようで、今もイラクや
アフガンではその手の資質の持ち主が闊歩している。思想なんて実はどうでもよくて、敵味方問わず人を殺すのが好きでしょうがないものたち。まったくやりきれない気分になります。
それにしても注目すべきは、山中で軍事訓練を行うと称して大量の銃火器を集めていたにもかかわらず、同志の処刑には一発の弾も使われていないということ。すべて撲殺か刺殺か屋外での放置死。アメリカだったら30秒後には銃撃戦になっているだろうに、日本人には所詮、銃は縁遠い武器だってことを象徴する出来事ですね。
そして「結末」としてのあさま山荘。要するに山岳ベース虐殺事件が発覚し、メンバーが散り散りになって逃走していく途中で数人が逃げ込んだ場所があさま山荘に過ぎなかったということ。本質的に邪悪である永田洋子に対して、坂口弘という人はどこか応援したくなるかっこよさがありますね。山荘でつまらないことから同士討ちになりそうになったときに「銃は権力に向けろ」と一喝してその場を収めるとこなんか、まさしく
指導者の鑑…といいたいところだけど、彼にも山岳ベース虐殺は止められなかった、というか山岳ベースで彼はいったいどこにいるのか映画内では不明。常に永田と別のベースにいたのかもしれないけど、どうもはっきりしない。うーん。もう一回見てみるか。とりあえず分厚い解説書が出てるから買ってこよ。
少なくとも坂口にも連帯責任があるのは確か。だから、いろいろと批判の的になっているラストの高校生の発言ですけど、坂口の責任を指弾するという意味であれは必要なセリフだったと思います。確かにこの作品中では数少ない「事実ではない」セリフなんですけどね。
何にしても若松監督の「本気」が詰まった生涯の大傑作。ぜひとものおすすめです。
posted by てんちょ at 12:46| 大阪

|
Comment(2)
|
TrackBack(1)
|
映画
|

|